東電の原発事故による核汚染(放射性物質の拡散)の人体・健康への影響についての不安が広がり、深刻になっていることは今さら取り上げるまでもない。
核反応による発電が止まってしまっても核燃料はコンロールが効かない状態で発熱を続け、放射性物質を発生し続けている。それが発電所外に漏出し拡散しているわけである。
核兵器の唯一の被害国である日本、国民・住民の不安ははかり知れないものがある。
しかし、それだからこそ科学的にまた政治的ににもきちんとしたデータを把握し、情報を整理してあまねく国民・住民に周知すべきなのに、原発に関する事実や見通しや見解が全く信頼性を欠き、それが不要な、または無用な誤解、憶測を招いているのが現状であろう。
まさにそんな世情を映したものとして、社会面に「何を信じたらいいのか・・・質問殺到 放医研へ電話相談1万件」という記事があった。放医研というのは放射線医学総合研究所のことで、日本では放射線の医学的利用の最高の研究機関であり、医療機関である。
今回の原発事故では核被害が出た時の第一の診断治療機関になっており、そのため不安に駆られた電話相談が殺到しているというものである。
しかも、相談者は福島の原発近隣地域の人たちより首都圏からが多く、幼い子供や孫を心配する相談が目立つという。相談内容としては大気や土や雨、水道水、野菜など日常生活での放射線被害が主体で、「何を信じたらよいか分らない」という疑心暗鬼が不安を増幅させていることを伺わせている。
放医研の見解では大半の相談は心配の恐れがないもののようである。
私も、「直ちに問題があるという数値ではない」「今さし当たって健康に問題は生じない」というような政府や専門家のコメントは嘘であり、「危ない!危ない!」「これだけある問題点」と週刊誌が煽りたてるようなことが正しい、という風潮があるように感じて来た。
私の周りでも子供のために東京から長野へ引っ越するような例が出ているが、情緒的でなくもっと科学的に判断できるような社会にならないかと思う。
ただ、ちょうど同じこの日、「放射線と不安 感じ方の違い認めよう」という社説を載せていた。
「放射線への不安が被災地から離れた場所にも広がっている。・・・・福島県とは切迫感に差がある・・・自分のまわりでどうなのかかは分からない。不安を感ずるのも無理はない。まずは、わかりやすくきめ細かな情報を提供したい」とあった。
自分の子供や孫については科学よりも、自分ができる最善のことをしてやりたい気持ちも否定はできないということであろうか。
それにしても、原発および放射線に関する情報が信頼性に欠ける現実は否定しようがなく、実に情けないことである。
[今日の花]
クリ(栗)
木の実としては決して小さい方ではないが、花は10~15センチほどで大きくまた密に咲くので目立つ。この地域ではちょっと人家外れにいくとクリ畑を見ることもできる。写真は井の頭公園のもの。