少し前の話になるが、東京都美術館で開かれていた「ルーブル美術館展」を観に行った。ルーブル美術館展と言っても、「モナ・リザ」や「ミロのヴィーナス」などの美術品を展示したものではない。サブタイトルは「地中海四千年のものがたり」と銘打ち、その名の通り地中海周辺地域の4千年に亘る歴史の美術・工芸品等を時代別・地域別に編集展示したもので、時空的に壮大な美術展であった。ルーブルからは8つの部門の200点ほどが出展されていた。
実はこの美術展が新聞に紹介された時、65歳以上無料のシルバー・デーというのがあるのを知り、その日は近くの広小路亭の講談定席があるので併せて出かけたのだが、開場30分後に着いた時には長蛇の列で並んで入場を待っていた。(写真下) 夏休みの親子連れや一般の来場者も見受けられたが、さすがにこの日は”シルバー”が圧倒的に多かった。「待ち時間30分」のプラカードが立っていたが、入場までに小一時間を要した。展示場に入るや、古代エジプト文明やメソポタミア文明、ギリシャ文明、古代ローマ帝国、フェニキアやカルタゴ、アレクサンダー大征軍・・・などなど高校時代に好きだった世界史に出て来たキーワードの数々に胸躍る思いがした。今、地中海と言えば温暖な地中海気候とかオリーブ、青い海などを思い浮かべるのではないかと思うが、こうして見事に編集された美術展を観て改めてこの地域一帯のダイナミックな歴史的意義が浮かんで来た。もう一度観たい思いに駆られるし、出来ることならこの足で遺跡などを訪ね歩いてみたいものだ。
今朝の朝日新聞の「日中関係 非難の応酬、抜け出すには」というコラム記事には頷くところ大であった。中国総局長の署名記事である。終戦記念日の閣僚の靖国参拝や安倍首相の戦没者追悼式での式辞について報じる中国の新聞を暗澹たる気持ちで読んだことや、報道管制下の情報で中国人の日本に対する誤解を憂える一方、こうして膨らむ反日感情に対抗するかのように日本人の反中感情をも懸念している。そして、中国という「国家」は付き合い方が難しいが、そこには13憶の「人間」が暮らす。「中国」と「中国人」は必ずしも一致しない・・・・と書いている。
丁度、私は明日から一週間ほど中国を訪ね、13憶の中の20~30人の「中国人」(主に日本語の教え子)に会って交流をして来る。彼ら彼女らは「日本」と「日本人」は違う、と理解をしている。交流に何の不安も懸念もなく、曇りない気持ちである。
という訳で、一週間ほどブログの方はお休みをさせていただく。