久しぶりに映画を観に行く。
舞台は昭和三十四年の東京。
“ALWAYS 続・三丁目の夕日”
洋画の大作なんかでは、大概
続編にはがっかりさせられるのだが
この映画は
前作と同じ気持ちで観ることができた。
やはりアクションものや
一大スペクタクルもの等と違って
一話完結型ではないからだろうか?
ストーリーも前作の続きを踏襲し
イメージをそのまま引き継いでいるから
違和感を感じずに鑑賞することができた。
全編どこか懐かしい風景…。思わず
父母に抱かれているような気持ちになる。
つまり、この映画はとても心地よいのだ。
安心して最後まで観ることができる。
何より結末はハッピーエンドだし
子供を取り戻しに来る豪腕社長も
人情に付け入る詐欺師も
手塚理美扮するアンニュイな踊り子梅子も
集団就職で就いたコックを辞めてしまって
悪の片棒を担ぐ同級生武雄も
いわゆる悪びれキャラもすべて
どこか憎めない善人なのである。
心穏やかに安心して観ていられる
安堵と好感情の予定調和の世界が
全編に醸し出されているのだ。
我が人生、いろいろ苦労もあった。
辛い思いもした。けれど今思えば
こうした昔が懐かしい。振り返ってみると
自分の人生は人並に幸せだったのだ。
これでよいのだ…、と人生を
肯定的に感じたい人が観る映画なのである。
昭和三十年代の待並みを再現した
映像技術も素晴らしいし、また
人の視線ではないカメラアングルも入れたりと
なかなか飽きさせない仕掛けもいい。
この辺のレベルがしっかりしているから
しらけずにたっぷりと
この予定調和の世界に入っていけるようだ。
わたくし事だが新入社員時代
毎日営業に出されるのだが、仕事が無くて
朝の喫茶店でモーニングを食べながら
必ず読んだ週刊まんが雑誌があった。
そこで毎週楽しみにしていたのが
この西岸良平の「三丁目の夕日」だった。
懐かしいなあ。
喫茶店でサボったあの頃も
今は懐かしく肯定することにしませう。