平安夢柔話

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もっと知りたい源氏物語

2006-03-03 20:45:46 | 図書室2
 誕生日のプレゼントとしてだんなさんに買ってもらった本、「もっと知りたい源氏物語(大塚ひかり・著 日本実業出版社)」、3週間ほど前に読み終えました。新しい発見が色々あって大変興味深い内容の本でした。先日UPした「源氏物語の現代語訳の本 ~その2」でも予告しました通り、本日はこの本について紹介したいと思います。

 なお、当ブログの2006年1月27日の記事「今日は誕生日♪」に「晴れのち平安」のなぎさんがこの本についての記事をトラックバックして下さっていますので合わせてご覧下さいね。

☆もっと知りたい源氏物語
 著者・大塚ひかり 発行・日本実業出版社 本体価格・1500円

[出版社商品紹介]
光源氏の恋愛遍歴から、絶妙な口説き文句、衣食住のしきたりや登場人物にまつわる謎、物の怪伝説まで、長編物語の世界を一気読み。

 では、目次と内容を紹介します。各項目の☆以降はえりかによる紹介文です。

1章 恋の駆け引きでわかる人物キャラクター―愛とセックスは『源氏物語』に欠かせな

☆源氏物語の登場人物の身体的特徴、光源氏の女性に対する口説き文句などがまとめられています。特に光源氏の口説き文句を読んでいると、「口がうまい」と思うと同時に、「この人、実際にいたらちょっと嫌な男かも…」という気がしました。
 光源氏のモデルとなったと思われる歴史上の人物の紹介もあって、こちらも興味深かったです。

2章 衣食住でわかる光源氏がいた時代―物語が書かれた背景を読み解く
☆「源氏物語」の背景となっている平安時代の暮らしについて迫っています。「源氏物語」にはあまり描かれていない平安時代の食事についての話が面白かったです。上流貴族の姫君は食べないことが上品だったとか…。

3章 土地や建物にまつわる伝説・風習―人間関係やイメージを巧みに演出
☆光源氏が住んでいた二条や六条は縁起の悪い土地だった。宇治十帖は「日本書紀」のウジノワキイラツコの伝説が下敷きとなっているなど、興味深い話が満載です。

 4章 物語をリアルにする影の主役たち―バラエティに富んだ召使の役割
☆「源氏物語」には女房たちの役割が重要な位置を占めている。特に物語が終盤になるにつれてその色が濃くなるとのこと、なるほどと思いました。女房たちに注目して「宇治十帖」を読むと全く違った面白さが味わえるかもしれません。

5章 趣味や特技に託されたメッセージ―出世や運命をも左右する重要アイテム
☆「源氏物語」の登場人物の趣味についての話は興味深かったです。そしてその中でも、「絵画」という趣味が物語に大きな影響を与えているとのことです。

 6章 物語を支配する闇の力“物の怪”―オカルト的な要素が象徴するもの
☆物語前半を支配した明石の入道の夢のお告げ、柏木の夢に登場した猫、入水しようとしたところを助けられた浮舟にとりついていた怨霊は実父の八の宮……など、とても興味深かったです。 

7章 多くの謎に包まれた『源氏物語』―作者・紫式部の人物像に迫る!
☆「源氏物語」や紫式部には謎がいっぱい。紫式部はどのような目的で「源氏物語」を書いたのか、唐突に終わる「源氏物語」のラスト、「源氏物語」は本当に完結したかなどの謎に挑んでいます。ネタ晴れになるのでここでは答えを書きませんが、非常に納得のいく説明が成されています。

巻末資料 『源氏物語』をより身近にするために―時代の評価を追う
☆千年の間、「源氏物語」はどのように読まれてきたのでしょうか?時代を追って説明されています。
 また、「源氏物語」関連の本の紹介ページもあります。

 以上のように、「源氏物語」の面白さが色々な角度から味わえる本です。少しでも「源氏物語」に触れたことのある方なら充分楽しめると思います。お薦めです。
 私はこの本を読んで「源氏物語」や平安時代にますます興味が出てきました。「源氏物語」の現代語訳もまた読み返してみたいです。そして、いつになるかわかりませんが原文でも読んでみたいですね。