A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

塚口サンサン劇場「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」見てきました!!

2019-06-02 23:02:04 | 映画感想

 前作に当たる「キングコング: 髑髏島の巨神」のラストで人類史上最大のズルいヒキをブチ食らって「こんなん次まで待てるかああああ!!!!11!!」(でも待つ)と悶え転がったあの日から幾星霜。
 ついに公開されました「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」。
 もうポスターからトレーラームービーから気合が入りまくってるのがビンビン伝わってきて、期待に全身をパンパンに膨らませておりました。
 また、前回のゴジラ(2014)の不満点のつとして挙げられていた人間ドラマ云々に関しても、最低限に抑えられているという報を聞いて、まあ期待値はうなぎのぼりでした。
 そして、どうせ見るなら天が震え地が揺れる塚口サンサン劇場のウーハーで見ようということで、今日行ってきました。
 ちなみに劇場前のポスターはこんな感じ。

 さて、感想に移ります。
 まだ公開から間がないので、一応ネタバレ反転ということで。

 ↓以下、ネタバレゾーン開始↓

 まず、多くの人が前回からの改善点として期待してたであろう怪獣プロレスマシマシ度合いについてですが、これはもう完璧と言っていいレベルにまで増量されてたんじゃないですかね。
 前回では「ゴジラが出てくるまでが長い」「ゴジラの本格的な戦闘シーンが短い」という不満点が挙げられており、僕自身もそう感じていました。
 対して今回ですが、今回は言われていたような「ゴジラ焦らし」はナシ! もういきなり怪獣大バトルから始まります。
 前置きの部分は最低限にして、いきなりバトルに突っ込むその意気やよし!
 でも、バトル一辺倒ではなく、ちゃんと起伏のあるバトルで楽しめました。
 人間ドラマに関しては、むしろ「怪獣バトルのための舞台装置」っていうところまで抑えており、まあそのせいで若干強引だったりほぼ全員狂人に見えたりもしますがこまけえこたあいいんだよ!!の精神で見ましょう。むしろ怪獣映画とはそういうもんです。
 つうかもう今回の人間側はいろいろ戦ってはいるものの、基本的に「マジかよおい……」って感じでポカーンとするのがメインの役目というか、BASTARDでいうところの「もーダメぢゃー!!!」とか言って泣き叫びながら転げ回る大臣ズのポジションなんです。誰がわかるんだろうかこの例え。
 あるいは「衛府の七忍」の中馬大蔵言うところの「指くわえて見惚れうのが礼儀ごつ!」ですよ。誰がわかるんだろうかこの例え。
 でもいいんです。神に等しい怪獣たちの大バトルの足元で人間がやるべきことといえば、畏れ畏まることだけなのです。
 さらには今回、前作ではできなかった「ゴジラ映画に必須の要素」が2つあります。
 まずひとつは、前作ではなかった見せ場のBGMがおなじみの「ゴジラのテーマ」そして「モスラのテーマ」を盛り込んだものになっているという点。
 これのもたらすアドバンテージをドラゴンボールに例えるとヤムチャがフリーザ様(最終形態)になった感じですかね。
 これについてはもはや、「前作でそれができなかった」っていう不満点がタメとして効いていて、もう叫びそうになりましたね。
 「あのテーマ」に合わせて咆哮するゴジラを見てアガらない日本人などこの宇宙に存在せん!!!
 わたくし今作のゴジラが最初にあのBGMとともにあの咆哮を上げたシーンで、もはや老中・影成と化して「か 完璧!」ってなってましたからね。誰がわかるんだろうかこの例え。
 そしてもう一つがその咆哮。これも、54年版ゴジラのそれに限りなく近いものとなっているのです。(調べてみたら、「そのもの」ではないようです)
 あの咆哮こそ、放射能火炎、「ゴジラのテーマ」に続く3つ目の「ゴジラの顔」とも呼べるアイコンなので、もうこれで「ゴジラ映画」としての条件は十分に果たしていると言えるでしょう。
 ゴジラ自身についてのデザインも、背びれが54年版を踏襲したものになっているのがより「ゴジラ映画」……さらにいうなら「初代ゴジラへのリスペクト」を感じさせてくれました。
 また、個人的に非常に気に入っていた、「ゴジラが放射能火炎を吐く際、背びれが順番に光っていく」というギミックが今回も採用されてて俺によし。
 そして今回、さらなる「ゴジラのギミック」として、なんとバーニングゴジラ形態に!!
 しばしば作品の感想として、わざとらしい感動ポイントを配置していることに対して「『ほら、これが見たかったんだろ?』ってやられると萎える」というのがありますよね。
 わたくし自身もそれについては完全同意なんですが、本作ではドハティ監督の「ほら、これが見たかったんだろ?」ラッシュに対しては「そうでしゅううううッッッ!!!! こりぇがみたかったのおおおほおおおッッッ!!!」とか言ってみさくら語で絶頂するほかないんですよ。
 わたくし恥ずかしながら劇場で7回は昇天してましたからね? なにが「ね?」なのかは知らん。
 いやでも見てるほうがこのザマなら撮ってる方はもっとアレだったんじゃないですかねドハティ監督。もう撮影中にビクンビクンしまくりだったんじゃないの?
 もちろんゴジラ以外の怪獣についても非常に魅力的です。
 本作ではゴジラをはじめ、地球上に現れた怪獣を、前回の「MUTO」ではなく「Titan」と総称しています。すなわち「巨神」ですよ。
 そのため今作に登場するゴジラ、モスラ、キングギドラ、ラドンは、誰もがただ巨大な怪物としてではなく、「巨いなる神」として描かれています。え? ラドン? ラドンはまあ……ああいう役柄なんですよ。アンギラス的な。
 まずギドラ。
 直近で登場したアニゴジの方では、ギドラはとてつもない強大な怪獣というよりは、「とてつもない怪獣の姿をしたなにか」という、設定通りの「雲を掴むようなあやふやでとらえどころのない存在」として描かれていました。そのため、怪獣というよりはどちらかと言うと「災害」や「現象」に近い存在として描かれていた印象です。
 対して本作のギドラは、言わば「実在感のある、地に足の着いた存在」「とんでもなく強大だがあくまで『生物』」という印象。
 故にゴジラとのバトルも、文字通りの肉体と肉体がぶつかり合う肉弾戦をこれでもかと見せつけてくれました。
 あとですね、ギドラはご存知の通り首が3つあるんですが、なんだかこのギドラは人格が独立してるっぽくて左首が不憫可愛い。
 よもやギドラ相手に萌えを感じる日が来ようとはこの海のリハクの目をもってしても見抜けなんだわ。
 今回のギドラはハリケーンとともに移動し、暗雲の中から姿を表すわけですが、稲光にともなってその影が雲の中に一瞬だけシルエットが映るという演出は完全にGダラにおけるG.T.のそれでありわたくしいやおうなく絶頂をキメるのでありました。
 また今回のギドラは、敗れた後もラストシーンにおいて強大なインパクトを残してくれましたっていうかそれ完全にメカキングギドラ登場フラグですよね!? というかこらだったらもうフラグじゃなくて確定サインだろ!
 まあギドラは首もがれるのとメカに改造されるのが仕事みたいなところありますからね。
 そしてモスラ。
 本作の怪獣の中では一番話が通じそうなポジションで、「怪獣の女王」と呼ばれているようにまさに本作のヒロインと言えるでしょう。
 どうせなら繭を作ってそこから羽化するところをはっきり見せてほしかったとか、幼虫形態で暴れるところも見たかったと思ってしまいますが、羽化シーンのあのほとんど歌舞伎の見得同然のシーンはまさに「荘厳」の一言。
 あと冒頭の目覚めのシーンも好き。
 モスラはこれまでの作品だとヒーラーというか後衛魔法使い系のポジションが多い印象でしたが、今回はラドンとの大怪獣空中戦をたっぷり楽しませてくれました。
 さらに過去作オマージュのビーム受け止めからの仲間を回復もしっかり抑えてて、モスラというキャラクターの役割をしっかり押さえてた感じです。
 次にラドン。
 火山の溶岩の中から出現するというのがもう最高に怪獣してて最高。
 そしてひとっ飛びするだけで眼下の街はソニックブームで大崩壊というあのシーンは、前回のハワイにゴジラが出現しただけで空港が津波で壊滅するというあのシーンを思い出させました。
 特に明確に攻撃をくらわなくても、移動されるだけで人類はああなるっていうまさに格差を見せつけるシーンでした。
 さらにラプター編隊との空中バトルも、人間の通常兵器なんか歯牙にもかけない存在っていうのが強調されててよかったし、アルゴとの空中チェイスも素晴らしかった。
 ……その割にはモスラを追い詰めたと思ったらあっさり反撃されてるし、最終的に生き残ってた割にはゴジラに服従してるしというなんとも言えない情けなさがチャームポイントですかね。
 そして忘れてはいけないのが芹沢博士えええええええ!!!!! アンタ……アンタ漢だよ!!!! まさに理想の死に様だったよ!!!!1!1!!
 前作において、渡辺謙演じる芹沢博士は、ポジションは非常に重要なキャラだったものの、アクションの方はそれほど具体的なことをしてなかったという印象だったんですよね。そのため、魅力的なキャラとポジションではあるものの、「いるだけ」って感じでした。まあいるだけであの存在感なわけですが。
 しかし、今回の芹沢博士は具体的、そして超重要なアクションを行います。
 それこそが、「自分の命と引き換えに、核弾頭をもってゴジラを復活させること」。
 もうこれだけで、芹沢博士がゴジラを復活させるっていうこのひとつのアクションだけでドラマなんです。
 言うまでもなく、初代ゴジラにおいて、芹沢博士が自分の命と引き換えに、オキシジェン・デストロイヤーをもってゴジラを葬ったシーンに対応してるんですよここは。
 前作では、仮にも「芹沢博士」の名を持つキャラクターが、ゴジラに対して直接的にはなんのアクションも起こさなかったというのが最大の不満点だったんですが、全部許しましたね。(ちょろい)
 だってこんなことやられたらもう……ねえ?
 ちなみに見たのは字幕版だったんですが、ここのセリフだけ、日本語で英語字幕だったんですよ。
 そのセリフが……「さらば、友よ(Goodbye.My Old friend)」……!
 この「Old」のひと単語にいかに多くの思いが込められていることか……!!
 ここは正直泣きそうになりましたわ。
 一応本作には怪獣バトルの理由付けの部分を支える家族の物語があるにはあるんですが、なんかもうこのへんになるとそんなんどうでも良くなってきてました。多分ドハティ監督もそんな感じだったんじゃないの?
 今作のキーとなる怪獣をコントロールできる装置「オルカ」を開発した女性科学者・エマの娘であるマディが、目の前で孵化したモスラに微笑みながら手を伸ばすシーンが冒頭にありますが、謎の勢力の襲撃もあって彼女はモスラには触れることはできず、平成ガメラにおけるガメラと浅葱のように怪獣と心を通わせることもありません。
 無垢な少女が異形の怪物と触れ合って心を通わせるというのはお約束で王道なわけですが、本作ではその役割は無垢な少女ではなく、かつて広島型原爆で父を亡くした被爆2世である芹沢博士に委ねられる形となっています。
 極めて象徴的ですよね。
 あの世界で、人の身でありながら神たるゴジラに直接手を触れ、「友」と呼べるのは彼一人なのでしょう。
 その役目を、日本人である渡辺謙に委ねたのもドハティ監督の意図を感じます。
 人ならぬ神性を持つ怪物であるゴジラが、人類によって作り出された神をも恐れぬ兵器である核兵器をもって、人たる芹沢博士によって蘇る。
 そしてその直後、復活したゴジラが天に向かって放つ放射能火炎、あれはまさに、神がたった一人のただの男のために送った弔砲だったのではないでしょうか。
 ここについても、前作の不満点を改善しつつファイヤーミラーのごとく1万倍にして跳ね返してきたドハティ監督にはひれ伏すしかない感じです。
 ただ本作、芹沢博士周りでひとつ大きな不満点がありまして。
 アメリカ政府がゴジラとギドラを両者とも一気に殲滅するために新兵器を投入するシーンがあるんですが、その新兵器がなんとあのオキシジェン・デストロイヤー!
 もう最高にアガるわけですが、しかし、実際には本作でのオキシジェン・デストロイヤーは、「大威力の兵器」ってだけになってた点が非常に、非常に残念。
 まあ見終わった後だと、上記の芹沢博士とゴジラのドラマに加えてオキシジェン・デストロイヤーのエピソードも絡めるとなると、上映時間は3時間超えになること間違いなしなので完全版作ってくださいではなく、まあ無理だよね、というのはわかります。
 わかるんですが……ゴジラ映画においてオキシジェン・デストロイヤーを「ただの威力の大きな兵器」として使うのは、核兵器を「ただの威力の大きな爆弾」として使うのと同じ、「ゴジラ映画では絶対にやってはいけないこと」のひとつだったんじゃないですかね。
 正直なところ、オキシジェン・デストロイヤーの名前が出た瞬間のテンションとの落差で、このシーンはかなり冷めてしまいました。ここは落としちゃいけないとこだろ……。
 最高のゴジラ映画だっただけに、ここだけが非常に残念なポイントでした。
 そしてラストバトルからのスタッフロールのあのBGMでもう目から放射能火炎が。
 前回でどういう事情で伊福部BGMがおおっぴらに使えなかったのかは知りませんが、今回のBGMはどれも最高でした。
 BGMと言えばなんか今回のBGMって芸能山城組っぽくなかったですか? ソイヤソイヤ言ってるし般若心経混じってるし。
 そしてスタッフロール、キャスト欄にゴジラ、モスラ、ギドラ、ラドンもクレジットされているばかりか、そのキャストが「HIMSELF」「HERSELF」となっててお前はスペースチャンネル5かよ!!!
 目どころか全身の毛穴から涙が吹き出そうになりましたわ!!
 これについてはいろんな解釈があるでしょうが、僕はドハティ監督にとって、ゴジラを始めとする怪獣は「架空のキャラクター」ではなく、しっかとこの世に存在する「人物」であるのだなあ……と感じました。彼の中では、「自分の作品の中に登場させた」ではなく、それこそ「偉大なる神に人間の世界に降りてきて頂いた」といった感じなのではないでしょうか。
 そう、この作品は単なる怪獣作品などではなくある種の宗教儀式というか神楽だったんだよ!!!(ぐるぐる目)
 そう考えると怪獣たちのキメ場がことごとく宗教画チックだったことにも説明がつくってもんですよ! そりゃあ人間なんぞおとなしく隅っこの方に引っ込んでるほかないわな!
 または、あの怪獣たちのキメ方はもう完全に歌舞伎の世界だった気もします。
 さらにはスタッフロールの最後に、初代ゴジラスーツアクターの中島春雄氏の写真が……!
 って感動してるところにタイトルドーン!! YES!! このタイミングよ……惚れ惚れするわ……完全に「わかってる」タイミングでもう若干引くレベルだわ……。ベストタイミングのタイトルインでした。
 とうぜんというかなんというか、上映後には拍手が起こってましたわ。そりゃあこんなもん見せられたら拍手するしかないわ。

 さて、晴れてネタバレ解禁ということで鑑賞後にtwitterにて感想を漁ってるんですが、どうもというかやはりというか、1回では拾いきれないネタや仕込みがあるようなので、今度は吹替版見てみますかね。
 
↑ネタバレゾーン終了↑

 は~疲れた……。気がついたら5時間くらいぶっ通して書いてたぞこれ……。
  

コメント
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