冬コミの間違いだろって?
残念! 去年の冬コミに収集した本のレビューでした!
・電脳軍事探偵あきつ丸貳・參(渡辺書房)
超ボリュームの艦これ+サイバーパンク二次創作小説本、ようやく読み終わりました。
2巻3巻ぶっ通しで読んだのでゲップが出そう。
本作は、ゲーム本編の深海棲艦との戦い「深海棲艦禍」の収束後の国家、そして艦娘たちの暗黒の戦後を、電脳軍事探偵あきつ丸の視点から描いた作品。
両巻合わせて13篇の物語はどれも読み応え抜群です。
これは個人的に二次創作を読む時の大きな楽しみの一つなんですが、もう書いてる人たちがノリノリなのが文面から分かるんですよね。
語彙一つ取っても「あーこれもう完全にギブスン作品大好きな人が書いてるな」というのが読んでて伝わってきます。
そういうのが好きな人達が集まって書いているせいか、 それぞれ別の人が書いてて、内容もそれぞれ違うのに統一感があるのがふしぎ。
内容どころか難解な言い回しや文体も似通ってるのが笑えます。
これたぶん入念に話し合って世界観をすりあわせたとかじゃないんだろうな……。
世界観を高度に構築した二次創作は、しばしば原作の要素が薄くなってしまい、実質的に「タームが同じなだけのオリジナル作品」になってしまう事がありますが、本作はどの作品も原作ゲームの要素をうまくサイバーパンク世界観に組み込んでいるので、原作ゲームにはないサイバーパンク要素に違和感がなく仕上がっているのはさすが。
2巻では「ちいさな、ちいさな、まるゆ」が一番好きかな。
ちょうどクリスマスの時期に読んでたのでシンクロしてました。
やはりサイバーパンクでカウンタースナイプは王道ですよね。
あとまるゆのキャラ付けがすごく意外。
3巻ではもう「激突迷宮」がダントツに好き。
サンダとガイラは不意打ちにも程がある。そしてラストでザ・グリードとかもうズルい。
そして一連の作品群にて登場する「廃艦試験部」に所属する、異形の艦娘たち、「廃艦娘」。
この廃艦娘のデザインがもう素晴らしくエグくてもうたまらん。
そもわたくし、艦これ二次創作でしばしば見受けられる「人間の女性、それも少女の姿をしている者が武器として、資材として消費されている」という歪んだ世界観がもうたまらなく好きでして。
二次創作では原作の要素をうまく使うのが重要ですが、それを「人間の形を失うほどに改造された艦娘に原作での代表的なセリフを喋らせる」という形で表現しているのがまたエグくてステキ。
3巻の巻末にはその設定画が収録されていますが、劇中に登場した全ての廃艦娘の設定画を見てみたいですね。
3巻の巻末によれば、今年には「電脳軍事探偵あきつ丸・改」が出る予定なので、そこら辺にも期待大です。
今日はここまで。
次回からは去年冬コミの艦これ本レビューに戻ります。