雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

虚栄の肖像

2011-12-28 19:43:09 | 
北森 鴻
文藝春秋
発売日:2008-09

北森鴻著"虚栄の肖像"を読みました。
続けて花師であり絵画修復師である佐月恭一の登場する
本です。

"虚栄の肖像"
加賀美家から火事で焼けた絵の修復依頼がきました。
有名な人が描いた絵ではない父親が母親を描いた絵です。
修復代にと古備前の甕が預けられます。
貿易商の朱大人、その娘の朱明花、大人のボディガードの
ミヤギ、政治家の渡瀬泰三、その秘書の折本、そして
冬の狐の冬狐堂の陶子などが関わってきます。
話がややこしくて説明しにくくていけません。
詳しくは読んでください。
依頼された絵にはメスで切られた跡があり何かが隠されて
いたように見られます。
加賀美が企みを仕掛けてきます。

"葡萄と乳房"
この話もややこしくて説明がむずかしいです。
大道寺家から藤田嗣治の作品の修復依頼がありました。
藤田の作品は贋作が多いそうです。
佐月は大学時代の師の倉科の娘の由美子と恋人でした。
倉科に反対され、さらに陥れようとされ由美子を
諦めた過去がありました。
その由美子とばったりと出会いました。
偶然と思えましたが由美子は大道寺の妻になっていました。
依頼された藤田の作品は倉科が昔学生に修復させたため
贋作とみなされ持ち主は金策に失敗し自殺しています。
由美子は病死してしまいます。

"秘画師異聞"
秘画あるいは秘図といわれる女性の緊縛画が持ち込まれ
ました。
縮緬図(ちりめんず)といわれる紙をもんでちりめんの
ようにしたものです。
名前が世に出てない作者の絵です。
緊縛師を探し出して聞き出してこの絵が5年前から
2年前までの間に描かれた新しいものであることが
わかりました。
使われている絵の具の材料は花でした。
どんどん退化していきます。
紙を伸ばし2枚に剥いで裏から手当てする方法を
取ろうとします。
佐月はこの絵を誰が描いたかに気づきます。
前作に登場した倉科由美子です。
自分でモデルをして自分で描いて佐月が目にすることを
意識して描かれました。
この絵の依頼者は姪の九条繭子です。
佐月は結局絵に修復を加えませんでした。
自分と共に絵も老いていく道をとりました。

絵の修復という仕事があるということはテレビで
紹介されたりしてますから知っています。
絵というものを長持ちさせる技術は難しいものですね。
でも何回も手が加えられているとその絵は本物
なのかどうかわからなくなる様な気がします。