雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

貴船菊の白

2011-12-01 22:26:22 | 
柴田 よしき
実業之日本社
発売日:2000-03

柴田よしき著"貴船菊の白"を読みました。
7編のミステリーの短編集です。
全部の話が京都が舞台です。
短編ですから切れ切れの時間に1編を読むという具合に
読みました。
先頭と最後の話がいいです。
先頭の話は題名の"貴船菊の白"です。
浮気をしていた夫の相手が殺されます。
夫が殺したと警察は追いかけますが自殺してしまいます。
15年後京都でその妻を見かけた事件を担当した元刑事が
真相を聞かされる話です。

以下ねたばれです。
"幸せの方角"は唯一ミステリーではありません。
作家と昔付き合いがあった編集者と京都で10年ぶりに
出会い食事を共にし、お互いの心境を語る話です。
編集者の元妻を巡る心境をお互いに打ち明けるものです。
作家は編集者の妻だった人を結婚する前から知っており
唯一結婚したいと思っていました。
でも女性と打ち解けて話せない性格から何もいわない
うちに彼女は編集者と結婚しました。
編集者と彼女はお互い深く愛し合っていたのにどちらも
強情なため関係が壊れていきました。
結局は離婚して彼女は海外へ去ってしまいました。
まだ離婚前に作家は彼女と京都で偶然会いました。
桜を見ながら何も話せませんでした。
作家はあの時何か言っていれば違った展開があったかも
しれないと考えます。
彼女は数ヶ月前に事故で亡くなりました。
作家が彼女を思っていたことを編集者は知っていました。
編集者は現在妻子がいます。
亡くなった彼女を思い静かに悲しむ二人です。

いい話です。ですがなんだか変、とも思います。
作家の方は打ちとけることができない性格から
彼女と進展しなかったのはしょうがないことです。
ずっと好意を持っていたとしてもそれはストーカーと
いうようなものではなく普通の感情の内です。
一方編集者と彼女はなぜ関係を修復するための努力を
しなかったのか不思議です。
大切な人で失くしたくないならそれ相当の努力を
するものでしょう。
しなかったということはそれだけの相手だったという
ことなのかと思えます。
一人の人を思う二人が出会い話し合う、こういうこと
できるもんなんですか。
恋愛感情にはうといので二人の心境がよくわかりません。