雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

月の扉

2011-12-02 20:48:15 | 
石持 浅海
光文社
発売日:2006-04-12

石持浅海著"月の扉"を読みました。
男二人、女一人が国際会議のため厳戒態勢の那覇空港で
飛行機をハイジャックする話です。
柿崎、真壁、聡美の三人は飛行機が離陸する前に側に
座っていた人の赤ん坊をそれぞれ人質に抱え込んで
警察に留置されている師匠の石嶺孝志を飛行機まで
連れてくることを要求します。
彼らは沖縄の島で社会に馴染めないなど問題を抱えた
子供達とキャンプをしています。
師匠と呼ばれる石嶺は特にどうするというわけでもないのに
人を癒し生きていく力を与えられる人です。
父親がキャンプに連れてきた子供の母親に子供を誘拐
したと訴えられ警察に留置されています。
無理な訴えでいずれは釈放されるはずですが彼らには
今日という日でなければいけません。
何千年に一度の皆既月食の今日でしか。

乗客を掌握した飛行機の中のトイレで乗客の一人で
人質にした赤ん坊の母親がカッターで腕を切られて
死んでいました。
彼女はキャンプに関わりのある人でした。
回復していた妹を連れ戻し再度苦しみの中へ追い込み
自殺させてしまった姉でした。
トイレの近くの座席の座間味島のシャツを着ていた
男性にハイジャック犯は殺人事件を解決するよう
命じます。
彼は座間味くんと呼ばれることになります。
ハイジャック犯と警察側との攻防、殺人事件の調査で
話は進んでいきます。

場所は飛行機の中で登場人物は限られています。
ひねった部分もなくすらすら読めます。
なんか無理がある話だなぁとは思いますがそのへんは
無視して読みます。
師匠は人を癒す力を持った人として描かれます。
そして三人はその力のおかげで立ち直ったとされてます。
でもほんとうにそうならこんな事件は起きなかったでしょう。
師匠はこの世を捨てようとしていたのだし、三人はそれに
あやかりたいと望んでいたわけです。

最後は思ってもなかった事態が引き起こされます。
本の最後は座間味くんが2年後に沖縄へお墓参りに
来る場面です。
でもだれのお墓?彼がお墓に来るほど感情移入した
人物はいないと思うのであれっと思います。