雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

虹の岬の喫茶店

2011-12-18 19:22:17 | 
森沢 明夫
幻冬舎
発売日:2011-06

森沢明男著"虹の岬の喫茶店"を読みました。
海に突き出た小さな岬にポツンとある喫茶店が舞台の
話です。
この場所のイメージは表示の絵から得たものです。
この絵が喫茶店はこういう場所にあるに違いないと
思わせるびったりの絵です。
こんな場所で海を見ていたい、こんな場所でコーヒーを
飲みたいと思わせます。
これに似た場所を知っています。三重県の志摩の安乗
灯台がある場所です。絵の岬よりはもっと大きくて
台風でもだいじょうぶそうな場所です。
絵の岬の家はとても魅力的なんですがちょっとした風で
飛んでいってしまいそうです。

喫茶店を経営しているのは初老の柏木悦子さん。
喫茶店の奥の部屋で暮しています。
壁には亡くなった夫が最後に書いた虹の絵が掛かって
います。いつか二人で見たいといっていた虹をいつか
見たいと願っています。
この喫茶店に迷い込むように訪れた人たちとの
ひと時の交流が描かれています。
病死した妻を亡くしたばかりの夫が小さな娘とやはり
虹を追いかけて喫茶店へやってきます。
就職試験に落ち続ける大学生がやってきます。
事業に失敗し妻子と別れた男が夜ドロボウとして
やってきます。
甥が喫茶店の隣にスタジオ付きのバーを自力で建築して
います。出来上がった時に若かった時のバンド仲間と
今一度演奏したいと願います。
悦子さんを思っている男性が遠まわしに告白しますが
わからない風を装います。
台風で吹き飛ばれそうになった翌日の朝日を見て
見たかったもの目にします。

とてもいい話です。悦子さんのやさしさが伝わってきます。
きっとそばにいて話をしたいと思う人です。
でもなんか物足りないのです。
とてもさみしいのです。
甥は、建物が完成した後ずっと隣に住んで家族が出来て
小さな子供もいます。それでもさみしさがただよいます。
喫茶店がこの話のような場所なら常連さんがいて、常に
数人の人がいる和やかな場所であるはずです。
それなのに本の雰囲気はいつも人がいないように
描かれています。
前に登場した人がリピータとして訪れている気配が
ありません。
ちょっとへんと感じます。

あぁ、いつかこんなふうな海の見える場所で何日か
過ごしたいです。ずっととはいいません。
1週間ぐらいでいいです。
やろうとすればできることです。
出かけたらいいのだとはわかっているんですけどね。