雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

裏閻魔

2011-12-05 20:08:40 | 
中村 ふみ
エイ出版社
発売日:2011-03-04


中村ふみ著"裏閻魔"を読みました。
紹介文からは読みにくそうな印象を受けましたが、
さらさらと読めます。
一ノ瀬周は新撰組へスパイとして送り込まれました。
ばれて切られ瀕死の重傷を負ったところを掘り師の宝生梅倖
に助けられます。
気を失っている間に右の掌に「鬼込め」で不老不死となる
梵時を梅倖に彫られてしまいます。
宝生閻魔と名乗ってずっと二十歳のまま生きていくことに
なります。
首をはねられるとか心臓をえぐられるとか再生のしようが
ないほどの破壊をされないと死ねません。
怪我はすぐに治ってしまいます。

梅倖を師匠として閻魔は彫り物を習います。
その後の人生を掘り師として生きていくことになります。
新撰組でよく面倒をみてもらった岡崎が警察の暴行で
亡くなりその娘の奈津のめんどうをみることになります。
酒に溺れていたのを閻魔が刺青を手に入れてやることで
牟田信正を救いました。
この二人が生涯をかけて閻魔のそばにいてことあるごとに
守ってくれました。
信正は上層部の警察官僚から貿易商となります。
奈津は当時女性では少数の医師となりました。
彼女は出会った子供のころから閻魔に恋していました。
でもそのことは口にはしません。
年を取っていく奈津は妹から姉へ母から祖母へと、
周りへの関係の説明は変っていきます。

梅倖には破門した弟子がいました。宝生夜叉といいます。
自分で鬼込めをしてやはり不死身です。
殺人を繰り返しています。
閻魔に殺されたいと願っていて幾度となく接触してきます。

閻魔には奈津と信正がいてくれました。
この二人がいなかったら閻魔は生きづらかったでしょう。
閻魔は若いままです。
まわりが老いていく中で若いままで生きていくのは
つらいものですね。
不老不死がつらいなんて思ってもみませんでした。

ずっと側にいた猫が亡くなりました。
普通の猫ではこのように長くは生きません。
猫にも鬼込めがされていたのでしょうが、それでも
死にました。
不老不死とは言っても永遠ではないのだとわかります。
死ぬのがわかってほっとするなんてのはなんだか
妙な感覚です。

おもしろかったです。
閻魔、奈津、信正それぞれいい人たちです。