雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ひそやかな花園

2011-12-04 18:40:26 | 
角田 光代
毎日新聞社
発売日:2010-07-24


ひそやかな花園角田光代著"ひそやかな花園"を読みました。
7組の親子が子供が小さなころ数年を山の中の別荘で
いっしょに過ごしました。
子供達は仲良く遊びました。大人たちも普段は見せない
顔を見せて楽しそうでした。
ある年を界にこのサマーキャンプは途切れました。
どうして行けないのか聞いてもごまかされてしまいます。
手紙を出したいから住所を聞いても知らないといわれます。
あれはなんだったのだろうと疑問に思いながら子供達は
大人になります。
ずっと子供達は昔いっしょに過ごした時や仲間を忘れ
られません。
そんなにも結びついた子供達だったのです。

賢人は仕事で樹里に出会います。樹里はデザイナーです。
その内容からもしかしてキャンプでいっしょだった
人ではないかとメールをします。
紗有里は波留の歌を聞いてその歌詞からキャンプの
仲間だと知ります。
雄一郎も同じです。
弾は別荘の持ち主の子供でした。
別荘が現在は弾のものだということから見つけられます。
紀子は樹里のブログを見て自分に呼びかけられていることを
知ります。
こうして7人は20代後半に再会します。

ねたばれになります。ご注意を。
彼らの親が集まっていた理由が明かされます。
親から知らされていた人がいます。
実は彼ら、彼女らは父親が実の親以外の人との間で
人工授精して生まれた子供だったのでした。
同じ病院で知り合って情報の交換や悩みを打ち明け
あったりするために集まっていたのです。
病院は高い志の基に始めたことだったのですがしだいに
いい加減な状態になっていました。
相手の情報は自己申告で信用できないものであり
何度もドナーとなった男もいました。
小さな子供同士が結婚すると言い出し親はあわてます。
もしかした兄弟ということもありえるというわけです。
親同士の間もぎくしゃくしだしてキャンプは唐突に
中止されました。

昔の仲間が集まって初めてあのキャンプがなんだったか
知った人がいます。
目の病気に侵されて実の父親の病歴を知りたいと願う
人がいます。
両親の仲がうまくいかなくなって離婚している人たちが
います。
現在幸せでない人がいます。
自分の出生を知ってそれを受け止めていきます。

ここで取り上げられていることはあまりに大きな問題で
何を言っていいかわかりません。
こういう生まれた方をした人がいる。
彼らの中にはとても悩む人たちがいる。
そういうことがあるということを知っているという
ことに留めます。