雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

ほらふき茂平

2011-12-19 19:51:05 | 
宇江佐 真理
祥伝社
発売日:2010-08-31

宇江佐理恵著"ほらふき茂平"を読みました。
六篇の短編集です。
このうち"千寿庵つれづれ"と"妻恋村から"は同じ人が
登場します。

"ほら吹き茂平"
茂平は大工の棟梁ですが現場の仕事は若いものにやらせ
様子を見に行くぐらいになりました。
本当は仕事が好きなのですが棟梁が顔を出すのを嫌う
職人たちに年だから怪我したらいけないからなどと言われて
仕事から遠ざけられています。
ほらを吹くのが大好きです。

"千寿庵つれづれ"
本所小梅村の千寿庵に真銅浮風という庵寿さんが住んで
いました。元は刀剣商を営んでいましたが夫に先立たれ
店を畳みました。
千寿庵の桜が咲くころ飾り物屋のお内儀お峰が毎年
やってきます。桜の下で娘と弁当を広げて楽しい時を
過ごします。
蝋燭問屋のお磯もやってきます。
実は浮風には見えるのです。幽霊が。
娘もお磯も幽霊です。

"金棒引き"
佐兵衛は菓子屋の吉野屋の主人で妻はおこうといいます。
佐兵衛は佃煮屋の川越屋の新兵衛と幼馴染で大人に
なってもいつもいっしょにいます。
おこうはうわさ好きでどこへでも飛んで行きます。
徳川家茂に嫁いだ和宮のうわさを追いかけていました。

"せっかち丹冶"
丹冶は大工です。お清という娘がいます。
年下の仕事仲間に銀太郎がいて家によくつれてきます。
おきよに米問屋の新倉屋との縁談が差配から持ち込まれます。
両親の介護が必要で妻というタダで使える労働力を
求めてのものでした。
そのことを知っておきよは断りました。
銀太郎とおきよが親しくなりいずれは所帯をもつことに
なりそうです。

"妻恋村から"
ふたたび千寿庵が舞台です。
前妻お春と娘のおゆみの供養をしてもらいたいと
浅間山の麓にすむ長治が浮風を訪ねてきます。
浅間山の噴火で熱泥流にのみこまれて二人を亡くしました。
その後家族を亡くしたものどうしが結婚をするよう
すすめられおすと結婚しました。
幸蔵という息子が生まれますがおすがは亡くした息子と
較べて幸蔵を虐待します。
そのおすがも亡くなりました。
その晩、お春、おゆみそしておすがまで現れます。

"律儀な男"
醤油屋の冨田屋の市兵衛は養子で女房のおまきと姑の
おやすは刺し殺されました。
おまきは市兵衛には見向きもせず名前だけの夫婦でした。
二人で芝居に明け暮れていました。
仕事で旅に出た時に行き倒れ状態の夫婦を助けて
やりました。
市兵衛は家庭の不満を二人にぐちりました。
おまきとおやすを殺したたのはその時に出会った留蔵です。

千寿庵の浮風の話はおもしろかったです。
あとの話はなんだかしりきれとんぼで物足りません。