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どうすれば、日本はデフレを脱却できるか?~その5

2009年11月14日 17時12分32秒 | 経済関連
シリーズの続きです。


(1)日本円(JPY)という通貨

昔、ドル円は固定レートで、1ドル360円だった。経済基盤が整い出したことや、世界経済への参加が深まったことなどもあり(対米輸出黒字などが一番大きな問題だったものと思われるけれども)、変動相場制へと移行した。ここで、ご存知の方々は多いと思うけれども、大雑把にドル円の歴史を振り返っておこう。まず、データ(月間平均)から見てみる。

年月
71.1  358
75.1  300
78.9  183
81.1  202
85.2  260
86.8  154
90.1  145
95.4  84
00.1  117
09.1  90
(単位 円)

つまり、日本円はドルに対して360円→90円と75%の増価を果たした。ほぼ4分の1になったのだ。それだけドルの価値が下落した、ということである。95年3月~4月は、猛烈な円高の嵐となり、80円割れという史上最高値を付けた。多分、通貨攻撃によるものだったと思うが(そうじゃなければ、円高を招く理由などないからである。住専問題などに揺れ、不良債権などバブル後遺症に悩まされる日本経済が調子良かったはずもないのだから)、人為的操作が去ってしまえば元の水準程度には戻ってしまうのだ。その後、小康状態が続いていたものの、経済危機後には再び円高基調に戻ってきたようである。

日本の実質GDPは、71年(たぶん世界2位?)から81年の10年間で約3倍となり、為替も約44%増価(358→202)した。その後におおよそ200円台前半くらいだったが、プラザ合意前後では260円から154円くらいまで円高が進んだ。当時のプラザ合意発表を受けて、1日で一気に円高が進み、かなり混乱を招いたようであった。当時の批判をするなら、日本の貿易黒字を殊更問題視した米国が中心となって、協調して「為替操作」に乗り出した、ということだな(笑)。双子の赤字の主要因はドル円の為替水準になんかなかったのに、米国の学者たちとか政策担当者たちは、先進諸国が協調して円高にしてやれば「米国の貿易赤字は解消される」と真剣に考えたからなのだろう。要するに、先進国にとって日本の貿易黒字が目障りでしょうがなかった、ということだ。今の中国みたいなもんだな。

で、大幅な円高になってしまい円高不況に見舞われたものの、日本は本当に不死鳥のように復活を遂げたのだった。その後には所謂バブル期を迎え、90年には145円程度になった。358→145円というのは、約60%増価ということだ。20年でここまで円高が進んだのである。90年145円→09年90円という増価でも、約38%増えている。そんなに経済成長していたとも思われないのに(笑)。実質GDP規模で見れば、90年→08年(09年はまだ終わってないので08年の数字)というのは、約460兆円から約556兆円ということで、1.2倍程度にしかなっておらず、増加率では約21%くらいでしかないのである。実体経済の面から見れば、僅かな増加率に留まり、通貨の円が倍ほど増価しているのと比べると、その異常さが判るはずだ。「強い円」信奉者なのか、通貨原理主義者?なのか知らないが、バブルは実体経済とかけ離れているとか言い募る割りには、どうして通貨高が行き過ぎていることには無関心なのか謎ではあるな。

その間に、米ドルの発行元である米国の実体経済の成長を見れば、日本なんかとは比較にならないほどにGDPは大きくなっているはずである。ならば、高成長国の通貨が高くなってもおかしくないではないか。なぜ、ドルが円よりも安くならなければならないのか。あるとすれば、日本の通貨供給が異常だから、という可能性はあるだろう。


(2)ドル以外の通貨と比べると

さて、成長著しい中国は、何故か元が安いわけである。
実質的にドルペッグだから、ということであり、これは昔の日本が米ドルに固定相場制だったのと同じだ。謎の通貨バスケット制にしてからは、僅かな切り上げが行われたものの、実質的には為替管理が行われているのだ。これが世界の貿易全体からすると、不均衡を生んでいるという面は否めないであろう。

中国の通貨は古いデータが存在しないので、はっきりとは判らない。93年以降でしか判らないからね。でも、ここ10数年程度であれば、比較ができる。

97年1月には、1元=14.21円だったが、00年1月には約12.7円、09年1月では13.2円くらいである。ここから判ることは、中国の人民元は、殆ど円の価値と変わっていないのではないか、ということである。97年から09年の人民元は7.2%の減価になっている。97年から見ると、元高どころか、逆に円高になってしまっているのだ(笑)。日本がかつて大幅な円高を強要されたのと比べると、今の人民元はぬるま湯ではある。

ならば、実質GDPはどうだろうか。現地通貨(人民元)ベースでみると90年→08年では約5.86倍である。日本でいうと、70年→08年の
倍率がこれに近い(約5.1倍)。その間に人民元は殆ど高くなってこなかった。97年以降だけで見ても、実質GDPが97年→08年で2.73倍となったのに、円/人民元は元高にはならず、7.2%減だった。
日本の実質GDPが前項に書いたように、90年比でたったの21%増(年平均1~1.1%の実質成長率ということ)でしかなかったのと比べると、あまりに人民元の安さが際立っているのだ。日本円はその何倍もの円高を乗り越えたのに、だ。


中国の通貨の国際化が遅かったから、というような理由があるかもしれない。
そこで、香港ドルを見てみた。香港は97年に返還されたので、その前後では若干異なるかもしれないが、中国の中では高成長地域だったので、日本円との相対的比較というのは意味があると思う。
1香港ドルに対する円の為替は、90年1月には18.56円、95年4月の円高局面で10.81円、00年1月には13.55円、09年1月には11.63円だった。90年よりも、下がっているじゃないか(笑)。00年から09年で見ても、円高になっているのである。実体経済の実質GDPはというと、やはり高成長地域だけに、伸びが日本なんかに比べるとはるかに大きい。90年→08年で約2.1倍(日本は1.2倍)、返還の97年から08年でも約49%増であり、経済成長は日本と比較にならない。ところが、通貨は高くなるどころか、高くなっているとも言えない程度の変化なのである。

下に、比較の表を作ってみたよ。


00年→09年の変化は、

       日本      中国      香港
GDP   10.6%増   117.3%増   42.8%増


日本円の対ドル、人民元、香港ドルはどうなのかというと、

ドル     23.1%(円高)
人民元   -3.6%(円安)
香港ドル  14.2%(円高)
   
であった。


実体経済の上では、米国、香港、中国のいずれも、日本より実質GDP成長率が高かったにも関わらず、日本円は米ドルや香港ドルよりも増価し、円高となった。人民元は、僅かに3.6%高くなっただけ。GDPが2倍以上に大きくなった中国と、日本の通貨がほぼ同じくらい、というのは、解せないわけである(笑)。90年比では、日本がたったの1.2倍に経済規模が拡大しただけだったが、中国は約6倍近くにまで拡大した。97年に14.21円だった人民元は、09年にでさえ僅か13.19円である。GDPは2.73倍にも増大したのに、だ。

日本はかつて1年くらいで40%円高とか、3年で同じくらい円高とか、そういう経験を何度も乗り越えてきたのである。酷い時には、24時間で20円とか30円といった、猛烈な円高にさえも耐えてきた。GDPが大きくなる過程の中では、受け入れるよりなかったからなのだ。だが、今の中国はそれを人為的に逃れる管理を行っていると言われても仕方がないであろう。中国の戦略は、外貨を貯められるうちに貯めておけ、儲けられるうちに儲けておけ、みたいなものである。

日本から中国へのODAとして100億円せびっておきながら、中国は経済援助と称して途上国などに100億円を投資しているようなものだ。経済規模、経済成長に見合うだけの国際的なルールを守っているかというと、今の中国はそうとは言えないだろう。節操のない爆食、分捕り、環境破壊、不法投棄、そして「何でもかんでもパクリ」という、盗用天国なのだな。


話が逸れたが、つまりは、日本円は高成長地域に比べて高すぎる、ということだ。円高がここまで進むのは、当然に理由があるからである。その理由とは何か?
日銀みたいな連中こそが、この答えを明らかにすべきなのだ。




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