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東電融資は銀行の暴走?

2011年05月31日 22時04分33秒 | 政治って?
今となっては、経団連も全銀協以下銀行団も、ひっそりとしているようだが、あの元気はどこにいった?
銀行団の言い分というのは、どうも怪しいのだ。
以下、思うところを書いてみた。


①追い詰められていった東電

11日の震災の影響によって、短期的な株価下落は予想されたであろう。ただ、東電の場合には、メキシコ湾原油流出事故となったBPよりも深刻な状況と看做されたはずである。12日の1号機爆発以降、東電に対する不安と恐怖は日増しに強まっていたからだ。

週末の明けた14日から東電の株価は連続ストップ安をつけた。10日には、2153円の終値だったが、11日には小幅安の2121円で済んだ。地震発生が市場の閉まる終了間際だったこともあるだろう。ところが、14日には1621円、15日1221円、16日921円と連続で下げることになったわけである。これには、東電も東電株を持つ金融機関等も恐れおののくことになった。決算期末が目前に迫っていたことも、より不安を増大させたであろう。17日には売買成立で798円の終値を付けて、とりあえず底なし沼状態は止まったようだった。ここまで、10日の株価から約3分の1まで下落していた(率では約63%)。翌18日には、僅かに値を戻してはいたものの、更に困ったことが発生していた。

それは、格付けの引き下げである。S&Pもムーディーズも揃って格付け引き下げを発表し、更なる引き下げで検討継続とされた(実際、期末の31日までに、5段階引き下げとなってしまった)。
資金調達が困難になると伴に、自己資本が細ってゆくことが懸念されたはずだ。そこで東電はメガバンクに泣きついて、融資の要請を行ったのである。これが18日と、報道では伝えられていた。


週末に入り、銀行サイドでは急いで検討に入ったのであろう。どうしても東電を救済して欲しい、東電の資金繰りについては政府が全面的にバックアップして欲しい、といったような要望が銀行を中心に、経済界からも出されていたに違いない。
19日からは丁度3連休になっていたので、動く時間も確保できたはずだし、検討したり相談したりする時間もあったであろう、ということである。銀行団は東電に追加融資を実施するということで意見集約したのであろう。その時の話としては、東電が賠償責任を被るということは何とか避けよう、ということだったのではないか。思惑として、銀行や財界、東電、経産省、それらが「3条但書適用」に向けて足並み揃えて動き出した、ということだったのでは。


②枝野官房長官の爆弾発言

東電の債務超過不安等を払拭するには、巨額の資金調達を宣伝する必要があった。メガバンクの融資検討というような報道から、週明けには「融資実行」ということで東電の株価急回復などを狙っていたはずではなかったか。
恐らく、21日までには各メガバンク含めて融資実施がほぼ固まっていたはずだろう。

ところが、である。
驚くべき事態が発生したのである。それは、枝野官房長官の爆弾発言が飛び出したからだ。
21日の官房長官会見後の質疑応答で、次のような発言があった。

補償は、金額の見通しはこうした措置がどの程度続くかで全く変わるので現時点で予断をもつことはできない。基本的にはまずは一義的には、原子力災害に起因するものなので、まずは東電に責任を持っていただく。それがもし十分に補償できない場合は国においてしっかり対応する。これが法律の基本的構成だし、それにそって対応する。』(朝日新聞記事による)

この「一義的には、原子力災害に起因するものなので、まずは東電に責任を持っていただく」という部分こそが、銀行団等東電擁護一派の目論んでいた、「3条但書適用」という願望を打ち砕く政府見解となっていたのである。

多分、経産官僚も銀行も、そして東電も、腰を抜かしそうになるほど驚いたであろう。彼らの思惑が狂ってしまう、という危惧を抱いたのは当然だったろう。
ここから、マスコミを動員して、一派の巻き返し工作がスタートしたわけだ。その匂いは、ぼくにでさえ感じ取れた。

22日>福島第一原発~重大事故の連鎖
『東電の負うべき賠償責任について、政府が肩代わりするといった観測記事のような報道があるようだが、経営陣を含め、会社としての責任を問われるのは当然であろう。』

追い打ちをかけるように、22日の国会答弁で、高木大臣はやはり東電に賠償責任がある旨、発言しているわけである。これで政府見解というものが、3条但書適用の予定はなさそう、ということがほぼ確定的と見られたわけである。


◇ 2011年3月23日03時03分 読売新聞
(一部引用)
 同法は、原発事故の損害について原則、電力事業者がすべて賠償すると定めている。ただ、地震や津波などの災害が理由の場合は、国が原発1か所あたり1200億円までを負担する決まりだ。政府は、福島第一原発の事故がこれに該当すると判断している。同様に周辺への避難指示が出た福島第二原発も含めれば2400億円となる。

 同法には「社会的動乱、異常に巨大な天災地変の場合」にはすべてを国が補償するとの例外規定もある。しかし、政府は、今回の事故の原因が「社会的動乱」や「異常に巨大な天災地変」にはあたらないとして、東電も責任は免れないと判断している。高木文部科学相は22日の参院予算委員会で「一義的には東京電力に責任を持っていただく。その上で、被害者救済を最優先に国も必要な対応をしなくてはいけない」と説明した。

 賠償は、営業できなくなった企業や農産物が出荷できない農家が対象となる見込みで、支払いの範囲によっては総額が数兆円になるとの見方もある。東電の支払い能力を超えた場合に、国がどのように賠償を支援するかが焦点となりそうだ。一方、与党内には国がすべて負担する例外規定を適用すべきだとの声もある。

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参考までに、この読売記事は、以前拙ブログにて紹介した見出し(損害賠償、国も負担へ)を持つ記事だ。


③巻き返し工作

まず、東電会見では「異常な津波によるもの」ということが殊更強調されたのだった。これが22日だ。武藤副社長がそういう発表を行ったのだ。土木学会の想定を超えてるだとか、何とか解説したのだった。
そして、政府が賠償を負うかも、とか、天災地変に該当するといったような記事が23日以降に出されてゆくわけである。

【放射能漏れ】原発事故、国が賠償負担 被害数兆円、例外適用で全額負担も (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

天災地変だから、ということで、3条但書適用で当然じゃないかというような空気を醸成する為だ。

その一方では、銀行団の融資実施という速報などが出されていて、少なくともこの時点で銀行団は融資をほぼ決めていたはずだ、ということである。日経記事にあったのは、25日に松永次官と奥頭取の会談があって、そこで融資要請をされたかのような話だったが、本当はそうではなかったのではないかということだ。23日時点で、銀行団の融資実施が大々的に報道されていた、ということである。

東電への2兆円緊急融資、3メガ銀行など相対方式で全額実行へ=関係筋 | ビジネスニュース | Reuters

この2兆円融資話の効果は、週明けの市場で好感されたと見えて、東電株価の値を戻すのに一役買った。22日終値で1098円まで戻した。翌日も1049円と持ちこたえた。しかし、日が経つにつれて、やはり東電はどうなるか不明ではないかという疑心暗鬼が広まり、28日696円、29日566円、30日466円、31日466円とストップ安をつけるまでに戻っていた。

政府が賠償する気がなさそうということと、放射能漏れが発覚してゆくにつれて賠償額が巨額になりそうだということで、一派の目論見からは大きく外れて、株価大暴落+格付けも奈落に転落ということになったのだった。
融資実行に踏み切ったのに、東電を救える目途さえなかったのだ。

このままじゃ終われないと焦った銀行団と霞が関官僚は、3条但書適用の大合唱をしつこく行ったわけだ。経団連会長も担ぎ出して、幾度となく天災地変だから賠償は国がやれ、と言い、全銀協も、同友会も、使える手は何だって使って、大運動を展開したというわけである。

昨日紹介した日経記事によれば、大手銀行首脳が「事実上の政府からの要請」ってことで、緊急融資をしたみたいに書いてあったが、金融庁がそういう要請をしたってことなのか?
それは、一体誰だ?名前を言ってみろ。
本当に、金融庁が「東電に金を貸して下さい」って言ったのか?
それも、金融庁長官とか金融担当大臣とかの大物ではなく、もっと下っ端の官僚が言ったものを「政府の要請」とまで言うのは、どんだけ偉い官僚なんだよ(笑)。
官房長官や所管大臣よりも、格上か?おい。

それでいて、松永経産次官に会う前から、融資実施がほぼ決まっていたんじゃないか。そりゃ、銀行の勇み足だったんじゃないのか?
格付け引き下げをされたばかりの会社に、審査もロクにせず2兆円もぶち込んでおいて、焦げ付きそうになると国に「払え」と勘定を付け回すってか?
それのどこが「民間企業の貸し借り」なんだよ。出鱈目言ってるのは、どっちだと思うか?これが、資本主義か?市場原理か?

「一部債権放棄でも考えてみたらどうかね」とたしなめられると、ふざけるんじゃねえぞ、民間の話に国が頭を突っ込んできて、あれこれヘンなこと言うな、口出すなってか?
何、調子いいこと言ってんだよ。
銀行のやってるのは、談合と一緒だろ?
官製談合みたいなものと同じなんじゃないのか?


一官僚だか何だか知らんが、ペテンにでもかけられて、ホイホイ金を出したのが悪かったんじゃないですか?それも、政府の要請というくらいに重要なポジションにいる人物って、誰だよ。銀行団にとっては、官房長官よりも上の人間、という扱いに違いないわな(笑)。
これが、権力サークルの秘密クラブじゃなくて、一体何なのよ。

クズが集まるってのは、やはり想定内だったということか(クズがクズを呼び、権力中枢にはクズばかり)。




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