シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

キス☆キス☆バン☆バン

2005-08-16 | シネマ か行
お前はつのだ☆ひろか?みたいなタイトルのロゴですが…かなりレトロにハードボイルド、フィルムノワールといったものを意識した作品ですね。主題歌もすごく60年代チックです。フランス系よりも60年代イタリア映画に近い感じですかね。ポップな主題歌が映画を見終わった後もずっと頭に残ります。“ミニシアター系しか見ない”といういかにもな(自分はオシャレと思っている)若者にウケそうな感じです。とはいえ、映画的にはなかなかに良い。

引退を決意した殺し屋ステランスカルスゲールドの再就職として、アンティーク密輸業者の息子ババクリスペンのベイビーシッターをすることに。クリスペンの子守?はぁ?と彼を知っている方なら思うでしょう。彼は、「千と千尋の神隠し」に出てくる坊のように親が過保護で部屋から一歩も出さず体だけ大人になった子供を演じています。

クリスペンといえば、ショーンペンの弟です。ストイックで危険な香りの兄とは対照的に太っちょでクリクリおめめが特徴の彼。とはいえやはり、ギャングや刑事役が多いのですが、今回はその体系と顔にぴったりの可愛らしい役です。巨大なキリンのぬいぐるみを抱えた彼は本当に大きな赤ん坊のようです。その彼に初めて外の世界を見せるのが殺し屋というのはなんとも奇妙な組み合わせですね。

全体的な流れとしては、淡々と進んでいくのですが、その内にだんだんとこの二人に愛着が湧いてきます。もちろん、この二人もお互いに愛着を感じていきます。最後は、悲しい結末で、みんなハッピーになって欲しかったなと思いつつ、映画のラストとしてはイケてるんじゃないかなと思いました。

クリスペン演じる坊が初めて感じる雨をなめて「おいしい」と言ったり、「地球の涙が集まってできたのが海。だから、海はしょっぱいんだ」なぁんてあのクリクリおめめで言っているのを聞くと心が洗われるような気がしますねぇ。