シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

解夏

2005-08-30 | シネマ か行

大沢たかおがベーチェット病という病気になって目が見えなくなってしまう主人公を演じます。この病気にかかると、すぐに目が見えなくなる人もいれば人によってはずっと失明しないでいる人もいるらしい。そして、失明の時はいつやってくるか分からないし、さっきまで見えていたのに突然、ということもあるらしい。(この説明は劇中同じ病気にかかって失明したという役どころの柄本明によって語られる。このくだりも物語の邪魔にならないようにうまく病気の説明を観客にしていてうまい)その事実を知った主人公は恋人石田ゆり子に「君が幸せになれないから」と言い別れを告げ、仕事も辞め、故郷長崎に帰る。

自分が病気で恋人が幸せになれないから別れよう。という展開はワタクシは好きではない。実際には、確かにこういうことってあるだろうし、その気持ちも分かるけど、、、でも、映画のストーリーをそれで引っ張っていかれるといかにもメロドラマ調になってもう虫ずが走るというか、「はい、はい」って気分になってくるからだ。

この作品も始めのあたりでは、「私の幸せを勝手に決めないで」とかなんとか恋人が言って、ここからぐじぐじそういうやり取りが始まるのかと思ってげんなりしかけたんだけど、故郷に帰った主人公を彼女が追いかけて押しかけて行くあたりから、少しおもむきが変わってくる。結構あっさり彼女のこと受け入れるんですよね。心の中ではもちろん別れなくてはと思っているんだろうけど、物語の焦点が主人公が目が見えなくなるまで大好きな故郷の町を見て周ろうというところにスライドされていくんです。主人公が独りで、または彼女と長崎の町を見て周る。最後に見ておきたいものを心に納めておくために。

そこで彼らには貴重な出会いがある。発作を起こして休憩していた寺にいた住職の松村達雄だ。この住職が劇中でこの主人公たちに「解夏」についての話をしてくれるのだ。この作品を見る前には「げげ???なんじゃそりゃ???」と思っていたワタクシも(多分観客の多くも)この住職の言葉を通して「あー、そういうことなんかぁ」と納得がいくようになっている。そして、この住職が主人公に言う「あなたの目が見えなくなるまであなたはその恐怖と戦い続けなければならない。その目が見えなくなるとき、あなたはその恐怖から解き放たれるのです。なんとも皮肉なことですなぁ」という言葉は正に的を射ていて主人公を(観客も一緒に)開眼させる。非常に重要な役どころを松村達雄が演じると本当に悟りを開いている人のようでもの凄く説得力があった。

もう一人素敵な役を演じていたのは、主人公の母親役の富士純子だ。彼女は年を取ってもキレイで上品で、でも少し抜けた感じのする人で、おっとりした感じのお母さんにはぴったりだった。そして、それだけではなくて、息子の病気のことを察し心配しながらもどうしていいか分からない前半と、彼女のことを気に入りながらもやはり息子と一緒にさせて不幸にするわけにはいかないという気持ちでいる母ごころを演じる後半ともに非常にうまかった。そして、息子や彼女のためにお団子をいそいそと買いに行っている姿も田舎のちょっと天然ボケのお母さんという感じがすごく出ていて素敵だった。

他にも団子屋の女主人の渡辺えり子、石田ゆり子の父親の林隆三、主人公の友人役の田辺誠一がそれぞれ自然に役を演じていて素直な感じがしました。


ジャンル:
ウェブログ
コメント (7)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
« 愛についてのキンゼイレポート | トップ | いまを生きる »
最近の画像もっと見る

7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トラックバックありがとうございます (viggo_eric)
2005-08-30 09:59:39
はじめまして、viggo_ericといいます。

トラックバックありがとうございます。



原作は読んでいませんが、映画についてはキーワードの

「解夏」についてしっかり描かれていて納得でした。

というか、たぶん、これが一番言いたかったことなのでは・・・・とも思います。

だからドラマ(いとしきみへ)みてがっかりでした・・・

viggo_ericさんへ (coky)
2005-08-30 10:11:44
ワタクシはドラマのほうをまったく見てないんですよー。他のブログに書いているのを見ると、賛否両論って感じでした。



この作品は淡々としているので、嫌いな人は嫌いかもしれませんね。
TBありがとうございます☆ (kamepengin)
2005-08-30 13:11:00
えぇ~っと、わたしもドラマは見ておりませぬ!

が、映画ではかなり満足しました!

終わり方とかがあっさりしていてワタシの

周りでも賛否両論でしたが、わたし的には

あの終わり方だからこそ、心に残るのではないかな。

と、考えます!ちなみに富士純子さんのその時々に

応じての演技はかわいらしくて個人的には

ゴリ押しですね(笑)

kamepenginさんへ (coky)
2005-08-30 14:19:08
>あの終わり方だからこそ、心に残るのではないかな。



ワタクシもその通りだと思います。やたらに盛り上げよう盛り上げようという意図が見えてしまう作品はイヤなので。



ほんとに富士純子さんはかわいらしいですよね。彼女と渡辺えり子のやりとりが細かく物語の状況を表していて良かったです。
泣きました。。 (かおり)
2005-08-30 22:52:40
わたし、大沢たかお大好きなんです

骨がありそうな感じだけど、繊細で・・・



この作品、映画館で見ました。

cokyさんのおっしゃるとおり、脇を固める俳優さん達がいい味だしてましたね。



松村達雄さんの解夏の説明、

わたしも「へぇ。ほほぉ。」と一人納得。

大沢たかおがお父さんのお墓を見つけられないシーンで、息苦しくなるくらいの号泣・・・



私、来月に長崎訪問の予定なので、

この映画に出てきた町並みを歩くの楽しみにしてるのです。

私もこの映画観ました。 (e-mon)
2005-08-31 16:21:25
引いていく波のように静かな映画でしたね。



最後に見ておきたい故郷の町。

でも、日に日に見えなくなる目。

恐怖と戦いつつ、目にした風景を

心に焼きつけていく・・。



長崎は友達が住んでいるので何回か行ってますが

本当に坂の多いとこですよね。

雨の日のシーンが印象的でした。



私にはこんな強い精神力があるのか

考えさせられました。。。



かおりさん&e-monさんへ (coky)
2005-08-31 21:50:56
>かおりさんへ

長崎の町ってすごい独特の雰囲気がありそうですよね。また、どんなだったか書かれるのを楽しみにしています。



>e-monさんへ

長崎といえば雨も多いんですよね。すべての情景がこの作品にぴったりでしたね。

コメントを投稿

シネマ か行」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

2 トラックバック

顔に似合わず?泣く夫ヌノ (viggo_eric 気まま主婦とオモシロ夫)
うちの夫ヌノは、よく泣く。 泣くといっても、「悲しくて」「うれしくて」 泣くわけではない・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ TVや映画で涙を異常に流す男である つまり、単純な男である。 その泣き方は尋常ではない。 つつーーーっと、美しく涙が流れるの
ON AIR#150 ~のびのびシネマライフ 磯村一路監督作品「解夏」~ (BLOG RADIO~のび太のラジオコンタクト~)
今日は、一足遅いクリスマスパーティー的に、家族と外食してきましたよ。 場所は近くで超ひっそりやってる焼肉屋さん。 お客は多くないっていうか僕ら以外に誰もいなかったのですが