電脳筆写『 心超臨界 』

悲観論か楽観論かの問いにはこう答える
私の知識は悲観的なものだが私のやる気と希望は楽観的だ
シュヴァイツァー

人物とは言葉である――藤尾秀昭

2024-07-15 | 03-自己・信念・努力
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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「致知」は毎月、ひとつのテーマを取りあげて特集を組み、そのテーマの由来を編集長の藤尾秀昭さんが1ページの解説にしたためています。このページを読んだだけでも、「致知」を購読した甲斐があります。2003年の1月の特集は「言葉が運命を拓く」。言葉によって運命を拓いていった人生として、関西師友協会副会長・豊田良平さんの生涯が紹介されています。わずか1ページの文章に藤尾さんの言霊が燃えあがるようで、静かな興奮のなかに深い感動が広がっていきます。


◆人物とは言葉である

『致知』2003年1月号
【特集・言葉が運命を拓く】

 関西師友協会副会長・豊田良平氏が急逝された。電話でお元気な声を耳にした数日後の訃報(ふほう)。ただ瞑目(めいもく)して合掌するのみである。


 豊田氏が安岡正篤(まさひろ)師に初めて手紙を書いたのは17歳の時であった。『童心残筆(どうしんざんぴつ)』や『東洋倫理概論』を読んだ感動を直接伝えたかったのである。だが、期待していた安岡師からの返事はなかなか来なかった。あきらめかけた頃に届いた一通の封書。返事の遅れを詫(わ)び、結びにこうしたためられていた。

 「求道は一生のことである。そのためには冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐える。これをもって大事をなす」

 17歳の少年の心に火がついた。豊田氏は安岡教学の研鑽(けんさん)に生涯を懸けることになる。

 その3年後の昭和16年、豊田氏は出征して中国に渡り、戦火の中を転々とする。黄河のほとり、運城でだった。古本屋で一冊の本を見つける。安岡師の著書『続経世瑣言(ぞくけいせいさげん)』である。この本は中支からマレーシアまで6千㌔を転戦した豊田氏と行を共にした。

 中で「人物学」の一節が豊田氏をとらえた。

 「人物修練の根本的条件は、怯(お)めず臆(おく)せず、勇敢に、而(しこう)して己を空(むな)しうしてあらゆる人生の経験を嘗(な)めつくすことです。人生の辛苦艱難(しんくかんなん)、喜怒哀楽、栄枯盛衰、そういう人生の事実、生活を勇敢に体験することです。その体験の中にその信念を生かして、初めて吾々(われわれ)は知行合一的に自ら人物を練ることができるのです」

 ここに豊田氏の生涯のテーマは定まったと言えよう。豊田氏はよく言われたものである。

 「古典をどれだけ知っているかではない。いかに人物を練るか。いかに人物となるか。それが安岡教学の神髄だ」

 60歳を過ぎ、豊田氏は元京大総長・平澤興氏と出会う。「あなたこなたのおかげ」「いまを喜びなさい」「人に希望と喜びを与えるのが最高です」――豊田氏の口からこんな言葉が出るようになったのはそれからである。

 「安岡先生との出会いだけだったら、自分は堅苦しい人間で終わっていたろう。平澤先生と出会って、新しい世界が開けた」

 豊田氏のしみじみとした述懐を思い出す。

 言葉によって運命を拓(ひら)いていった人生。それが豊田氏の生涯であったと言える。


 人物とは言葉である。日頃どういう言葉を口にしているか。どういう言葉で人生をとらえ、世界を観ているか。その言葉の量と質が人物を決定し、それにふさわしい運命を招来する。運命を拓く言葉の重さを知らなければならない。

 折りしも一人の若い企業家が豊田良平氏の言葉を集め、『仕事と人生』と題して上梓(じょうし)した。言葉に出会い、運命を拓いていく人の陸続たらんことを願ってやまない。
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