電脳筆写『 心超臨界 』

一般に外交では紛争は解決しない
戦争が終るのは平和のプロセスとしてではなく
一方が降伏するからである
D・パイプス

人間通 《 定説――谷沢永一 》

2024-09-18 | 04-歴史・文化・社会
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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我が国では、東京帝国大学教授の権威に平伏(ひれふ)す従順を以(もっ)て、知的誠実の証(あか)しとして信じる牢固(ろうこ)とした伝統がある。肩書きのない在野学者の立論が無視され軽蔑(けいべつ)されるにとどまらず、結束した学閥によって迫害を受けてきた事情は、考古学者の森本六爾(ろくじ)を描く松本清張の小説「断碑」(『或る「小倉日記」伝』新潮文庫)に詳しい。我が国民は今も甚(はなは)だしく権威に弱いのである。


◆定説

『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p102 )

エンタシス、という建築用語がある。円柱の中央部に僅(わず)かな膨らみをつけて豊かな立体感を醸(かも)しだす技法をいう。和辻(わつじ)哲郎が『古寺巡礼』(岩波文庫)に、法隆寺の柱が著しいエンタシスを持っていることはギリシャ建築との関係を思わせてわれわれの興味を刺激(しげき)する、と書いて以来、エンタシスはギリシャから来た、と誰もが思いこむようになった。言い出し兵衛(べえ)は伊東(いとう)忠太である。この提唱を押しだした明治二十六年の論文には具体的な証明が全然ない。どういう経路でギリシャの影響が日本にまで及んだのか、中間地帯の痕跡(こんせき)を辿(たど)る手間を省いて放言した一時(いっとき)の思いつきである。しかるに伊東忠太が東京帝国大学の教授として建築学界の大ボスになるとエンタシスはギリシャの伝来であるという固定観念が、疑うべからざる真理として、仰ぎ見るべき大発見として常識のようになった。

しかしエンタシスがギリシャとは関係なく我が国で独自に創出されたのであることは、ギリシャと日本との中間に連なるどの国にも見出(みいだ)せないという事実から推して明瞭(めいりょう)である。ギリシャ伝来説は明治期の西洋崇拝から生まれた妄説(もうせつ)にすぎない。しかし現実の問題として我が国では、東京帝国大学教授の権威に平伏(ひれふ)す従順を以(もっ)て、知的誠実の証(あか)しとして信じる牢固(ろうこ)とした伝統がある。肩書きのない在野学者の立論が無視され軽蔑(けいべつ)されるにとどまらず、結束した学閥によって迫害を受けてきた事情は、考古学者の森本六爾(ろくじ)を描く松本清張の小説「断碑」(『或る「小倉日記」伝』新潮文庫)に詳しい。我が国民は今も甚(はなは)だしく権威に弱いのである。
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