電脳筆写『 心超臨界 』

悲しみは二つの庭を仕切るただの壁にすぎない
( ハリール・ジブラーン )

脚本の根底にあるのは、トルストイの『戦争と平和』なんです――黒澤明

2024-05-01 | 03-自己・信念・努力
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「この脚本の根底にあるのは、トルストイの『戦争と平和』なんです。もう何十回読んだかわからない。細かいところまで覚えてるけど、その中からずいぶんいろんなことを学んでいますね。蔵原(くらはら)(惟人(これひと))さんが訳したファジェーエフの『壊滅』なんかも下敷になっている」(『七人の侍』ふたたび)


「黒澤明と『七人の侍』」
( 都築政昭、朝日文庫、p51 )

若き日ロシア文学を耽読した黒澤は、ドストエーフスキーから魂を、トルストイから小説の面白さと描写を学んだ。他人の不幸を見過ごせぬ勘兵衛は、多分にドストエーフスキイ的人物である。しかし、総じて『七人の侍』の構成と人物の設定とデッサンはトルストイの『戦争と平和』が与(あずか)って大きい。さらにファジェーエフの『壊滅』も、全体の流れや個々のシーンで具体的に影響を受けている。

「この脚本の根底にあるのは、トルストイの『戦争と平和』なんです。もう何十回読んだかわからない。細かいところまで覚えてるけど、その中からずいぶんいろんなことを学んでいますね。蔵原(くらはら)(惟人(これひと))さんが訳したファジェーエフの『壊滅』なんかも下敷になっている」(『七人の侍』ふたたび)

『戦争と平和』は、ヨーロッパ制覇を夢見たナポレオンのロシア侵攻が舞台である。ロシアの総司令官クツーゾフは優勢なフランス軍を迎え撃つが、まともに対戦せず内陸深くおびき寄せ、首都モスクワまで渡すが、ナポレロン軍は厳しい冬将軍に勝てず潰走する。その老獪で深読みの戦略は、村の心臓部に野武士を誘い、一人一人殺していく勘兵衛の戦術と一脈通じ、クツーゾフと勘兵衛は重なる。主人公の青年アンドレイはニヒリストで、戦場に死に場所を求めるが、久蔵もまた戦場に散る。志願して初めて戦場に出る好漢ニコライは勝四郎と重なり、初陣で勇敢に戦う。このニコライとソーニャの恋は雪と月光が舞台だが、勝四郎と志乃の恋は裏山のお花畑である。アンドレイの父老ボルコンスキー公爵は威厳と頑固さを持つ旧時代の象徴的人物であり、長老儀作もその面影を持つ。フランス軍侵入を前に死ぬが、燃える水車小屋と共に運命を共にする儀作と深く重なっている。

こうした個々の人物の相似よりも、すべてが時間の流れのうちに生起し、その大河をさまざまな人間が生き生きと躍動的に泳ぎ、その流れは善が悪を克服していく人間的興奮と感動を高める叙事詩的風格を備えていて、『戦争と平和』が、そこに生きている。

「恐らく文学の中でこんな面白い文学はないのではないかと思います」(「黒澤明のマイブック」NHK-ETV)
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