電脳筆写『 心超臨界 』

影は光があるおかげで生まれる
( ジョン・ゲイ )

移民を水際ではじくための移民法――高橋洋一

2024-08-29 | 04-歴史・文化・社会
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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政府は法務省の入国管理局を外局の庁に格上げする方針だ。入国審査官らの定員を増やして予算を重点配分し、入管業務の司令塔としてルールを定める権限を強化する。この組織改正を、マスコミ報道では外国人労働者の受け入れのためと説明するが、正しくは受け入れを厳格に精査する組織であり、受け入れ歓迎というものではない。これまで法務省の出入国審査はあまりに裁量的であったので、法規制によって厳格化・透明化を図ろうとするものである。決して、入国管理庁への格上げ組織改正は外国人労働者を寛容的に受け入れるものではない。


◆移民を水際ではじくための移民法

『未来年表 人口減少危機論のウソ』
( 高橋洋一、扶桑社 (2018/11/2)、p77 )

ところで、なぜ日本では世界の潮流とは逆行するかたちで、移民受け入れの議論が浮上してきたのか。

2014年3月、少子高齢化で減少する労働力人口の穴埋め策として、政府が移民の大量受け入れに関して本格的な検討に入ったと報じられた。

その背景には、経済財政諮問会議の下に「選択する未来」委員会が設置され、人口減少などを議論する中で、一部の有識者から外国人労働力活用の拡大という選択肢が提起されたことがある。これが事の発端だ。

毎年20万人の外国人労働力を受け入れ、出生率が人口を維持できる2.07に回復すれば、今後100年間は人口の大幅減を避けられる。当時はそんな内閣府の試算があったのだ。

しかしなぜ、そうまでしてでも人口を維持する必要があるという考え方がまかり通ったのだろうか。

人口の構造や変化と経済を結びつける考え方は、実は古くからある。有名なのが、アメリカの株価アナリスト、ハリー・デントの「支出の波」( Spending Wave )だ。ごく簡単に言えば、個人支出のピークが45歳くらいなら40代半ばの人口の変化と景気に相関がある、という理論だ。人口動態だけで複雑な経済現象が説明できるので、経済学を知らない素人にも分かりやすいし、ウケる。

しかし、これは需要面の一部しか見ていないため、伝統的な経済学者はデントの説明には懐疑的だ。人口動態が、個別の問題で重要なカギを握る場合は別にして、特定分野を除いてマクロ経済ではそれほど重要な要素ではない。

さらに「デフレは人口減少とは無関係」というのは、すでに前章で指摘した通りだ。経済学的にはデフレは通貨量によって決まるもので、人口の増減とは関係ないのだ。そもそも、現在も人口が減少しているにもかかわらず、日本銀行の金融緩和ひとつでデフレを脱却しつつあることからもそのことがよく分かる。

人口減少によって「国内市場が縮小することが問題だ」と主張する人もいるが、人口の少ない国でも1人当たりGDPを高いレベルで維持している国もある。過去の研究だが、経済学者の原田泰氏が、人口減少によって労働人口当たりの成長率は、むしろ高くなる可能性があることを示した。先進諸国の労働力人口増加率と労働生産性伸び率の関係を見てみると、労働力人口が減少しているスウェーデンやイタリアなどで労働生産性が上昇していた。その理由は、労働節約的な技術革新が促進されたからだという。

だから、人口減少は経済成長率にさほど影響はない、むしろ筆者は、都市部における土地や住宅の過密問題が解消されると見ている。同様に電車や道路の混雑問題もなくなる。何なら環境問題にも人口減少は有効だ。

それにもかかわらず、政府が人口目標を掲げた理由は、こうした人口減少のメリットを享受しつつ、一方で急減することによる社会保険制度などでのデメリットを防ぎたいからだ。

人口には様々な要因が関係するが、最も重要なのは序章でも扱った出生率だ。だが、何度も繰り返すが、出生率は男女の性交渉の回数次第で決まるから、急に増えるものでもない。それでも政府が正式に「総人口1億人」という目標を設定するなら、かなり野心的な数字といえよう。

だから、仮に目標を達成しようとすると、やはり移民を本格的に検討せざるを得ない状況にあるのは分かる。1億人を目標にするなら、公的年金制度などの社会保障のために移民政策をドラマチックに変更し、移民の受け入れに転じるかどうか。さもなければ、年金支給開始年齢の引き上げや高所得高齢者の社会保障カットなどなど、いずれも厳しい問題に直面することになるだろう。逆に言えば、「人口1億人」という目標を建前だけにして、無理やり達成しようとしなければ何ら問題はないのだ。

最近、「政府が移民受け入れに本腰を入れた」などと煽る人も植えてきたが、それは移民が望ましいと思った人がそう叫んでいるに過ぎない。一方の安倍首相は、「移民は望ましいものではない」と考えているはずだ。

だから、これから移民を管理する移民法を作ることになるだろう。管理すると言うと、移民容認派は「これでどんどん移民を受け入れるようになる」と勘違いし歓喜するだろうが、本質は全くの逆。水際で移民をはじくことを考えているはずだ。なぜなら、移民を受け入れれば、必ず社会問題が起こるからだ。

その手始めに、政府は法務省の入国管理局を外局の庁に格上げする方針だ。入国審査官らの定員を増やして予算を重点配分し、入管業務の司令塔としてルールを定める権限を強化する。この組織改正を、マスコミ報道では外国人労働者の受け入れのためと説明するが、正しくは受け入れを厳格に精査する組織であり、受け入れ歓迎というものではない。これまで法務省の出入国審査はあまりに裁量的であったので、法規制によって厳格化・透明化を図ろうとするものである。決して、入国管理庁への格上げ組織改正は外国人労働者を寛容的に受け入れるものではない。
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