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( ヘラクリトス )

不都合な真実 歴史編 《 ウッドロー・ウィルソンが人類を不幸にした――倉山満 》

2024-08-24 | 04-歴史・文化・社会
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1918年1月、ウィルソンが議会において14カ条宣言を行います。ウィルソンの14カ条宣言は、パリ講和会議でも講和の原則となりました。この14カ条宣言こそ、人類の災厄の根源です。現在でも、これをありがたがる変質者が後を絶たないのは、ウィルソニズムという麻薬のせいでしょう。


◆ウッドロー・ウィルソンが人類を不幸にした

『ウェストファリア体制』
( 倉山満、PHP研究所 (2019/11/16)、p223 )

ウッドロー・ウィルソンは民主党から出た、第28代アメリカ大統領(在職1913~21年)です。

1917年、アメリカは第一次大戦の途中から連合国側で参戦します。

1918年1月、ウィルソンが議会において14カ条宣言を行います。ウィルソンの14カ条宣言は、パリ講和会議でも講和の原則となりました。この14カ条宣言こそ、人類の災厄の根源です。現在でも、これをありがたがる変質者が後を絶たないのは、ウィルソニズムという麻薬のせいでしょう。

その中身を確認しましょう。

第1条、秘密外交の廃止。これは、「第一次大戦中、俺がいないときに話し合われた事項は全部否定する」との意味です。

英仏露の3国がドイツ、オーストラリアに対し不単独不講和を結んでいたところ、ロシアが離脱します。そこへ、イタリアが入ります。日本は入らなくてもいいのに、政府内で石井菊次郎が強硬に主張して入りました。一次大戦後で戦後秩序を見据えてとった行動です。実際、最後まで一緒に戦ったので、ヴェルサイユ会議で大国として遇されました。当然、いろいろと密約もしています。

しかし、ウィルソンは「俺は聞いていない」と無効を宣言します。いきなり英仏日独の、ヴェルサイユ会議で大国とされた他の全ての国に喧嘩を売っています。

第2条、公海の自由。これだけをいえば、海の国際法を整備しようと呼びかけているように聞こえますが、まったく違います。

翻訳すると「大英帝国、退(ど)け」と、大英帝国に喧嘩を売っているのです。

大英帝国は通商破壊で海の帝国になりました。通商破壊とは、すなわち海賊行為です。大英帝国は、挑んできたドイツが第一次大戦で通商破壊をやりまくったのを返り討ちにして、世界の覇権を維持してきたわけです。それをアメリカが「退け」と言っているのです。

第3条、平等な通商関係の樹立。これもここだけ聞けば、まともな提案のように聞こえますが、違います。主な標的は日本で、チャイナ市場から閉め出そうという意図です。一方で、中南米に他の国を入れる気はありません。

第4条、軍備の縮小。レーニンをいじめるな、という意味です。大戦中、ロシアでは革命が起きていました。政変が続く動乱の中で、共産主義を掲げるウラジミール・レーニンがロシア革命を起こしました。そして皇帝一家を馬まで殺したのを手始めに、人民の虐殺を始めます。まるでフランス革命の再現です。列強は干渉戦争を始めます。日本も参加しています。シベリア出兵とは、ロシア革命干渉戦争極東戦線なのです。そんな時期に軍備の縮小など、レーニンへの援助です。

第5条、植民地問題の公正な措置。いわゆる「民族自決」を意味します。つまりは、イギリス、フランス、日本の帝国主義を全否定しているのです。一方で、中南米は「アメリカの庭」扱いです。「自分はいいが、お前たちが植民地を持つのは許さん」ということです。

第6条、ロシアからの撤兵とロシアの自由。やっぱり、「レーニンをいじめるな」です。この時のレーニンは国際共産主義を唱えています。共産主義とは、「全世界の政府を暴力革命で転覆して、世界中の金持ちを皆殺しにすれば、全人類は幸せになれる」という思想です。それを世界中でやろうとするのが国際共産主義です。「世界同時革命」とも言っていました。

フランス革命の共和派の焼き直しです。

そうした連中を野放しにせよというのが、ウィルソンです。

なお、アメリカがロシア革命干渉戦争において、まったく役立たずなので、英仏は戦争目的を切り替えます。北はフィンランドから、バルト三国のエストニア、ラトビア、リトアニア、そして南はポーランドまでの計5カ国をソ連から切り離して独立を認めさせ、レーニンと和睦し引き揚げました。最初からやる気がないアメリカも引き揚げ、戦争目的がわかっていない日本だけがひたすらシベリア出兵と称する「鬼ごっこ」に明け暮れる羽目になりました。

第7条、ベルギーの主権回復。これは一見、平穏です。ベルギーという国は、イギリスにとってのいわば“任那日本府”。朝鮮半島の任那が日本の領土であったように、ベルギーはイギリスのヨーロッパ大陸における領土同然でした。イギリスとベルギーは、対馬と朝鮮よりも近い距離です。

ドイツが中立を破ってそんなベルギーに攻め込んだので、イギリスは参戦したわけです。ヨーロッパにおける覇権国家の地位を維持するためでした。

それを、ウィルソンが「それは俺がやる」と言っているのが第7条ですから、「ベルギーは俺の舎弟」という態度です。

第8条、フランス領の回復、アルザス・ロレーヌのフランスへの返還を、俺が認めてやる。フランスも「俺の舎弟」扱いです。

第9条、イタリアの国境調整。イタリアは、大国になりたいのであれば、「俺の舎弟になれ」です。

第10条、オーストリア、ハンガリー統治下の二重帝国の自治。オーストリア=ハンガリー二重帝国に民族自決をけしかけ、ハプスブルク帝国を八つ裂きにしようとします。正確には“四つ裂き”です。オーストリア=ハンガリー二重帝国から、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ポーランドなどが独立していき、領土が戦前の4分の1になりました。

第11条、バルカン諸国の独立保障。その後のバルカン紛争地獄絵図の原点がここです。2000年まで続く、殺し合いの原点です。

第12条、オスマン帝国支配下の民族の保障。オスマン・トルコ帝国は抹殺という意味です。「抹殺」というのはトルコ人の歴史認識です。

現在のトルコ共和国で国父とされるケマル・パシャは「セーブルは死! ローザンヌは生!」とトルコ人たちを奮い立たせました。セーブルとは、連合国とオスマン・トルコ帝国の間で、1920年に締結された講和条約セーブル条約を指します。セーブル条約はオスマン・トルコを切り刻んで抹殺してしまいそうな過酷な条件でした。

第一次大戦停戦から約半年後の1919年5月、ギリシャが仕掛けてきた希土(きと)戦争で、ケマル・パシャ率いるトルコが勝ちます。ケマル・パシャは1920年に第1回トルコ大国民議会を招集し、1922年にはスルタン制をひっくり返し、連合国がスルタンと結んだセーブル条約を破棄させ、1923年に新たにローザンヌ条約を締結しました。トルコは主権国家に返り咲き、ローザンヌ条約でまさに生き返ったのです。トルコ共和国の成立を宣言します。第12条は、セーブル条約の先駆けの意味を持ちます。

なお、第10条、第11条、第12条が、バルカン紛争、中東紛争、そしてコーカサスあたりの紛争を全部起こしています。ウィルソンが人類の災厄のタネを撒いたというのはこうした事実を指します。

第13条、ポーランドの独立。ポーランドは日本の友好国なので、心情としてはあまり言いたくないのですが、第一次大戦が終わって第二次大戦が勃発するまでの戦間期、ポーランドは国際連盟の大問題児でした。

ポーランドは分割されてから123年間、頑張って独立回復した途端、そこで緊張の糸がプチーンと切れてしまい、「俺を国際連盟の常任理事国にしろ」などと言い出し、周辺すべての国と紛争を起こします。

ポーランドだけでなく、他の東欧北部の国もバルカン(東欧南部)のように、身の程知らずの要求を掲げるようになっていきます。これが第二次大戦の原因となります。東欧諸国はヒトラーに侵略されているにもかかわらず、ナチスドイツの尻馬に乗って国境の領土を掠(かす)め取ろうとする有様です。

第14条、国際連盟設立。国際連盟は「仮面をつけた大国主義」と言われます。

以上すべて、それまでの国際秩序を全否定し、世界をウィルソンの思うように作り変えようとしたのです。

ウッドロー・ウィルソンの14カ条宣言で、「ウェストファリア体制」は風前の灯火になってしまいました。
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