電脳筆写『 心超臨界 』

明日への最大の準備はきょう最善を尽くすこと
( H・ジャクソン・ブラウン・Jr. )

日朝交渉文書欠落を振り返る――阿比留瑠比さん

2018-06-21 | 04-歴史・文化・社会
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★河野元衆院議長の無情――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.06.15 】https://tinyurl.com/y9t3ll6q

★玉虫色の米朝合意をどう読むか――西岡力・モラロジー研究所教授/麗澤大学客員教授
【「正論」産経新聞 H30.06.14 】https://tinyurl.com/ybdxaeel

★「トランプ外交」は危機の叫びだ――西尾幹二・評論家
【「正論」産経新聞 H30.06.08 】https://tinyurl.com/ybg67og3
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日朝交渉文書欠落を振り返る――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.06.21 】

もはや「モリ・カケ依存症」とでも言うべき野党のワンパターンな国会質問の中にあって、18日の参院委員会での立憲民主党の風間直樹氏の質問は白眉だった。今後、北朝鮮との交渉で焦点となる可能性が高い部分について、正面から取り上げたのである。少し長いが紹介したい。

【風間氏】「(平成14年の小泉純一郎首相の初訪朝)当時の交渉担当者は、2回分の外交交渉記録を外務省に残していないとの国会答弁がある。安倍晋三首相も『彼は交渉記録を一部残していない』と(25年6月の)フェイスブックで批判している。公電が欠落している2回の交渉で北朝鮮と何を約束したか知っているか」

【安倍首相】「ご指摘の部分は記録が存在していないため、当時の田中均外務省アジア大洋州局長が北朝鮮とどのような交渉を行い、何を約束したかについては残念ながら承知していない」

【風間氏】「国交正常化の際に、日本から1兆円規模の経済協力資金を提供するとの合意が図られ文書も交わされたと耳にしている。抜け落ちた文書にはこの部分が記載されていたと思うが、日朝間にそういう約束はあるのか」

【安倍首相】「日朝平壌宣言自体、北朝鮮に行く飛行機の中で見せられた。交渉過程、宣言作成過程については全く承知していない」

この問題について産経新聞は、10年以上前から何度も書いてきたが、他のマスメディアはなぜか関心が薄いようである。参院決算委翌日の19日の在京各紙を見ても、この部分には一切触れていない。そこで改めておさらいをしたい。

この件は、田中氏が北京などで北朝鮮側の「ミスターX」らと30回近く非公式折衝を実施したうち、14年8月30日に政府が小泉初訪朝を発表し、9月17日に金正日総書記と日朝首脳会談を行うまでの間の2回分の交渉記録が外務省内に残されていない―という大問題なのである。

通例、外交上の重要な会談・交渉内容はすべて記録に残して幹部や担当者で情報を共有し、一定期間を経て国民に情報公開される。そうしないと、外交の継続性や成果は無に帰するし、どんな密約が交わされていても分からない。それが欠落しているのだから、看過できる話ではない。

安倍首相は25年7月の日本記者クラブ主催の党首討論会で、かつて谷内正太郎外務事務次官(現国家安全保障局長)に「すべて(日朝交渉の)記録を見たいから調べてほしい」と依頼したところ、佐々江賢一郎アジア大洋州局長が「2回分がない」と報告してきたと証言した。田中氏本人に確かめると「私は知らない」と答えたことも、同時に明らかにしている。

これは、ふだん野党が何かに取りつかれたように追及している森友学園への国有地払い下げをめぐる財務省の文書改竄問題や、愛媛県と加計学園とのやりとりの備忘録メモよりも、はるかに重大で深刻な問題ある。日本側は把握していない2回分の記録を北朝鮮側が持ち出し、何を要求してくるか分からない。

その点を野党議員が提起したことに、少し救われる思いがしたが…。

その後の野党幹部の発言に注目したが、やはり「(財務省の文書改竄は)民主主義の土台を揺るがす前代未聞の不祥事」(社民党の又一征治党首)などと相変わらずで、外務省の文書欠落への言及は見当たらなかった。野党もメディアも根本的にずれている。
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