電脳筆写『 心超臨界 』

もっとも残酷な嘘の多くは沈黙の中で語られる
( ロバート・ルイス・スティーブンソン )

不都合な真実 歴史編 《 菊池寛の消された名著『大衆明治史』――西尾幹二 》

2024-08-09 | 04-歴史・文化・社会
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西尾幹二教授は「GHQ焚書図書開封」シリーズ第3巻のなかで、焚書された書籍のひとつである菊池寛著『大衆明治史』を取り上げました。その中で菊池寛は、露独仏三国干渉により遼東半島を無条件で返還した日本の軽率ぶりを手厳しく批判しています。

  *『大衆明治史』https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1041878


◆菊池寛の消された名著『大衆明治史』
 露・仏・独の三国干渉に対する菊池寛の卓見

『GHQ焚書図書開封3』
( 西尾幹二、徳間書店 (2014/12/5)、p365 )

さて、日清戦争で獲得した遼東半島を清国に返せ、という要求を突きつけられて日本国内は大騒ぎになりますが、明治政府は涙を呑んでそれを受け入れました。国内にはものすごい反対運動が沸き起こり、「許しがたい」という声があがります。暴動に近い反発も起こりますが、三国の要求に屈服せざるをえなかった。というのも、もし遼東半島を返さないでいたらロシアがそれを口実にしてわが国に襲いかかってくる危険があったからです。少なくとも、朝鮮半島に手を出してくる危険性は高かった。そうなると、こんどは台湾まで奪われたり、賠償金を取られたりしかねない。とんでもないことが起こりはしないかという恐怖もあって、わが国はその要求を呑んだ。そして心のなかでは、なんとかしてもう一度蘇るんだ、という思いを募らせます。このとき、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」という言葉が叫ばれたのでした。

ここで菊池寛は次のような言葉を記しています。これはとても大事なポイントです。

  日本は遼東還附を約したと同時に、なぜ露獨佛三國に對し、將來そ
  の地を合併または、租借(そしゃく)せざることを約束させなかつた
  のか。日本が還(かえ)したのだから、他の國も遼東半島には手を着
  けるべからずと、なぜ彼等の言質(げんち)をとらなかつたのだらう
  か。露國は數年ならずして、旅順を租借してゐるが、若(も)し此(こ)
  の時、この約束が出來てゐたなら、露國はこれほど露骨にその野望
  を逞(たくま)しうすることも出來なかつたらう。

そうなんです。涙を呑んで三国の意に屈服したのは日本のリアリスティックな外交政策だったかもしれない。したがって、それは仕方がなかったとしても、なぜあらかじめ遼東半島にロシアが進出してくることを封じておかなかったのか――。ロシアはほどなくして遼東半島に出てきて、それが日露戦争の大きな原因になるわけですから、どうして釘を刺しておかなかったのかと、菊池寛がいうのは理の当然です。

わが国が涙を呑んで放棄したその地をロシアに貸し与えるシナの弱腰。あるいは、どうにも国家として成り立っていない朝鮮半島。そこへロシアがガーッと進出してきたから、日本は騙された口惜しさもあり、その脅威感は二倍になった。

そういうことを考えると、日露戦争の前段階が日清戦争の帰結にあったということができます。日本はいつも甘いんですよ。外交音痴なのです。善意で返上した遼東半島にまさにほかの国が手をつけることはないだろうと頭から思いこんでしまった。だから軍事力で勝ちながらも外交で敗れてしまう。そういうことの繰り返しで、この場合もそうでした。
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