電脳筆写『 心超臨界 』

悲観論か楽観論かの問いにはこう答える
私の知識は悲観的なものだが私のやる気と希望は楽観的だ
( シュヴァイツァー )

もっとも日本にも上品な笑いを解する人がいないわけではない――外山滋比古

2024-09-13 | 05-真相・背景・経緯
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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われわれの会話はとかくおもしろ味に欠けることがすくなくない。それでは淋しい、と思う人たちが、冗談を言うが、たいていは駄じゃれのたぐいである。さらに気のおけない仲間だと下品な話題がとび出す。これは女性を意識しないでいい男だけの話が多かったことを反映している。そういうネタでないといっしょに笑うことができないというのは、ことだまのさきはふ国などと自称した国だけに情けない話である。


◆ユーモアの笑い

『心を伝える「ひとこと」の作法』
( 外山滋比古、PHP研究所 (2002/05)、p193 )

われわれの会話はとかくおもしろ味に欠けることがすくなくない。それでは淋しい、と思う人たちが、冗談を言うが、たいていは駄じゃれのたぐいである。さらに気のおけない仲間だと下品な話題がとび出す。これは女性を意識しないでいい男だけの話が多かったことを反映している。そういうネタでないといっしょに笑うことができないというのは、ことだまのさきはふ国などと自称した国だけに情けない話である。

もっとも日本にも上品な笑いを解する人がいないわけではないイギリスの教養を身につけていた吉田茂首相はユーモアの名人だと言われた。あるとき、ある人がきいた。

「総理はいつもたいそう元気そうにしていらっしゃいます。お肌もつやつやして……なにか特別なものでも召上がっていらっしゃいますのでしょうか」

どうせお世辞にきまっている。吉田茂はにこりともせず(こういう場合、自分で先に笑うものではない)。おもむろに答える。

「なにしろ、人を食っていますからね」

そのころ吉田は、世間の一部から、人を人とも思わぬ傲岸(ごうがん)なおやじのように悪く言われていた。それを逆手にとって使ったところがおもしろい。ことばにこだわらず、見方を変える、ところからユーモアは生まれるものである。

おかしさはしばしば、地口、しゃれによって生れる。地口には外国語との偶然のズレをもとにしていることがすくなくない。ドイツ文学者の成瀬無極もしゃれがうまいというので有名であったが、

「ドイツへ行ったとき、便所では本当に困りました。一方のドアにはダーメ(淑女)と書いてあるので、もう一方へ入ろうとすると、これがなんとヘーレン(紳士)と書いてあるのさ」

と言って笑わせた。

ユーモアはものごとをちょっと突き放してながめるゆとりがないと生れない。

イギリスの大経済学者ケインズがあるとき記者団からきかれた。

「長期的に見て、われわれはどうなるのでしょうか」(目先はともかく、先ざきイギリス経済の見通しはどうなるだろうか、という質問である)

ケインズ先生、すこしも騒がず、

「長期的に見れば」

と言ってひと息いれると

「さよう、われわれはみんな死んでいるね」

とやった。神様でもないかぎり、景気の見通しなどわかるわけがないではないか。とか、ノー・コメントと応ずることもできないではないが、長い目で見たら人間はみんな生きていないとトボケた方がおおしろい。ユーモア好きなイギリス人記者は、さすがだと喜んだが、ドイツから来ていた記者が、われわれはそんな冗談をききに来たのではない。まじめに答えてほしい、と言った、というのでまたみんなの笑いものになった。わが国でもこういう答えでは承知されないだろう。

ある人がイギリスの元首相チャーチルに言った。

「一度も絵を画いたことがないような人が名士というだけで美術展の審査員におさまっています。こんなことがいいものでしょうか」

チャーチルいわく。

「別に悪くないでしょう。私はタマゴを一度も生んだことはありませんが、それでもタマゴが腐っているかどうかは、ちゃんとわかりますものね」

さきの世界大戦で、シンガポール要塞を守っていたイギリス軍の司令官はパーシバル将軍であった。開戦前、

「日本兵が1ダース(12人)やってきよっても、イギリス兵1名で撃退してみせる」

と豪語していた。ところが日本軍に攻められると、あっという間に不落のはずの要塞は陥落してしまった。敗軍の将となったパーシバルに向かって、新聞記者から意地の悪い質問が飛んだ。

「貴官は英兵1名で日本兵1ダースをやっつけると言っていたが、どうしてこんなにあっさりやられたのか」

パーシバルはただ

「いや、日本兵が13人(デビルス・ダズン〈悪魔の1ダース〉不吉な数)やってきたものだから」

とのみ答え、そばにあった砲弾の破片をさして、

「日本軍からのプレゼントだ、よかったら、どうぞ。カサ立てくらいにはなる」

とつけ加えた。敗軍の将が兵を語ってもしかたがない。それをユーモアでかわしたのだ。

日本人だって、昔からユーモアのセンスがなかったわけではない。

江戸時代の女優俳人加賀千代(かがのちよ)

  「起きてみつ寝てみつ蚊帳の広さかな」

に対して、読み人知らずで

  「お千代さん蚊帳が広けりゃ入ろうか」

とまぜかえしたのがいる。
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