電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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糸を持ってぶら下げた瞬間、二本の箸は触れ合って、チン、と澄んだ音を立てた。「これだ!」。思わず河野さんは叫んで、友人をびっくりさせた。何度揺すっても、同じ音で鳴る。しかもその音は透明なうえ余韻がある。これこそ、サウンドチェックの理想的な音源だった。開発中のマイクの前で毎日、河野さんは明珍火箸をぶらぶらさせるようになった。朝から晩まで、チン、チン、音が鳴っている。
◆火箸とマイクの仲
『読むクスリ 30』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1998/12)、p47 )
「アー、ただいまマイクのテスト中」
運動会の朝、先生がマイクを叩いたりしながら、声を張り上げている。
もしマイクの調子が悪いと、運動会は統率がとれなくなり、興ざめになる。
カラオケセットだって、どんなにアンプやスピーカーが高価でも、マイクが悪かったらあなたの美声は死んでしまう。
音は出口よりむしろ、入口のほうが大事なのだ。
「とりわけCDを録音するような業務用マイクの開発には、細かすぎるほど神経を使います」
とソニーのB&Pカンパニー課長、河野治さん。
ナマの音を忠実に拾っているか、音の質はどうか。ノイズレベルが高すぎたり、低すぎたりしないか……。
「そうした点について、実際に音源を使いながら、サウンドチェックを繰り返していきます」
*
しばらく前、真空管を使ったレコーディング・スタジオ用収音マイクの開発にとりかかっていた河野さんは、そのサウンドチェックに悩んでいた。
当時、レコーディング・スタジオ用はドイツのノイマン社の独壇場で、日本の音響機器メーカーはまったく歯が立たなかった。
「それをひっくり返してやろう、と意気込んでいたのですが、微妙な音の再現が要求されるだけに、サウンドチェックが思うように進まないのです」
いろんな音源を試してみた。
まず歌が得意な人に頼み、開発中のマイクの前で歌ってもらって、音をチェックする。
ところが、同じ人の声なのに、日によって再生される音がデリケートに違ってくる。
「それが、マイクの周波数特性が悪いのか、それとも歌う人が風をひいたせいなのか、はっきりしないんです」
では、人間の声でなく、打楽器でやってみよう、と太鼓を叩くことにした。
しかし、これも、叩く力の入れ方が変わると音も変化し、正確な再現性がチェックできない。
オルゴール、拍子木……、さんざん失敗を繰り返した。
*
そんなある日、河野さんは兵庫・姫路の友人から、鉄製の火箸(ひばし)をもらった。
「姫路の名産でね、明珍(みょうちん)火箸というんだ。明珍家はもともと甲冑師(かっちゅうし)の家柄で、刀の鍔(つば)なども作っていたんだよ」
いまは火鉢で火箸を使うことはめったにないので、何本かまとめて窓辺に下げ、風鈴代わりにすることもあるのだという。
鉄細工の伝統を誇るだけに火箸は、すらり、と長く美しい姿で、二本の太いほうの端が糸で結んである。
糸を持ってぶら下げた瞬間、二本の箸は触れ合って、チン、と澄んだ音を立てた。
「これだ!」
思わず河野さんは叫んで、友人をびっくりさせた。
何度揺すっても、同じ音で鳴る。しかもその音は透明なうえ余韻がある。
これこそ、サウンドチェックの理想的な音源だった。
*
開発中のマイクの前で毎日、河野さんは明珍火箸をぶらぶらさせるようになった。
朝から晩まで、チン、チン、音が鳴っている。
「立ち上がりの音の鋭いところがいいんです。それに高音は伸びるし、低音はよく広がる。なにより、耳に快い音なので、チェックしていて楽しいんです」
開発はとんとん拍子に進み、収音マイクは4年後に完成した。
レコーディング・スタジオ用だけに1本70万円するが、いまではこのマイクは世界中で使われる傑作モデルになった。
「このマイクでなければ歌わない、と自分専用のを持つ歌手が現れるまでになったのですよ」
いま河野さんの部屋には、明珍火箸が何セットも置いてある。
「海外からのお客さんがありますと、差し上げるんです。ぶら下げて鳴らしながら、これが日本の音です、といって」
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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糸を持ってぶら下げた瞬間、二本の箸は触れ合って、チン、と澄んだ音を立てた。「これだ!」。思わず河野さんは叫んで、友人をびっくりさせた。何度揺すっても、同じ音で鳴る。しかもその音は透明なうえ余韻がある。これこそ、サウンドチェックの理想的な音源だった。開発中のマイクの前で毎日、河野さんは明珍火箸をぶらぶらさせるようになった。朝から晩まで、チン、チン、音が鳴っている。
◆火箸とマイクの仲
『読むクスリ 30』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1998/12)、p47 )
「アー、ただいまマイクのテスト中」
運動会の朝、先生がマイクを叩いたりしながら、声を張り上げている。
もしマイクの調子が悪いと、運動会は統率がとれなくなり、興ざめになる。
カラオケセットだって、どんなにアンプやスピーカーが高価でも、マイクが悪かったらあなたの美声は死んでしまう。
音は出口よりむしろ、入口のほうが大事なのだ。
「とりわけCDを録音するような業務用マイクの開発には、細かすぎるほど神経を使います」
とソニーのB&Pカンパニー課長、河野治さん。
ナマの音を忠実に拾っているか、音の質はどうか。ノイズレベルが高すぎたり、低すぎたりしないか……。
「そうした点について、実際に音源を使いながら、サウンドチェックを繰り返していきます」
*
しばらく前、真空管を使ったレコーディング・スタジオ用収音マイクの開発にとりかかっていた河野さんは、そのサウンドチェックに悩んでいた。
当時、レコーディング・スタジオ用はドイツのノイマン社の独壇場で、日本の音響機器メーカーはまったく歯が立たなかった。
「それをひっくり返してやろう、と意気込んでいたのですが、微妙な音の再現が要求されるだけに、サウンドチェックが思うように進まないのです」
いろんな音源を試してみた。
まず歌が得意な人に頼み、開発中のマイクの前で歌ってもらって、音をチェックする。
ところが、同じ人の声なのに、日によって再生される音がデリケートに違ってくる。
「それが、マイクの周波数特性が悪いのか、それとも歌う人が風をひいたせいなのか、はっきりしないんです」
では、人間の声でなく、打楽器でやってみよう、と太鼓を叩くことにした。
しかし、これも、叩く力の入れ方が変わると音も変化し、正確な再現性がチェックできない。
オルゴール、拍子木……、さんざん失敗を繰り返した。
*
そんなある日、河野さんは兵庫・姫路の友人から、鉄製の火箸(ひばし)をもらった。
「姫路の名産でね、明珍(みょうちん)火箸というんだ。明珍家はもともと甲冑師(かっちゅうし)の家柄で、刀の鍔(つば)なども作っていたんだよ」
いまは火鉢で火箸を使うことはめったにないので、何本かまとめて窓辺に下げ、風鈴代わりにすることもあるのだという。
鉄細工の伝統を誇るだけに火箸は、すらり、と長く美しい姿で、二本の太いほうの端が糸で結んである。
糸を持ってぶら下げた瞬間、二本の箸は触れ合って、チン、と澄んだ音を立てた。
「これだ!」
思わず河野さんは叫んで、友人をびっくりさせた。
何度揺すっても、同じ音で鳴る。しかもその音は透明なうえ余韻がある。
これこそ、サウンドチェックの理想的な音源だった。
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開発中のマイクの前で毎日、河野さんは明珍火箸をぶらぶらさせるようになった。
朝から晩まで、チン、チン、音が鳴っている。
「立ち上がりの音の鋭いところがいいんです。それに高音は伸びるし、低音はよく広がる。なにより、耳に快い音なので、チェックしていて楽しいんです」
開発はとんとん拍子に進み、収音マイクは4年後に完成した。
レコーディング・スタジオ用だけに1本70万円するが、いまではこのマイクは世界中で使われる傑作モデルになった。
「このマイクでなければ歌わない、と自分専用のを持つ歌手が現れるまでになったのですよ」
いま河野さんの部屋には、明珍火箸が何セットも置いてある。
「海外からのお客さんがありますと、差し上げるんです。ぶら下げて鳴らしながら、これが日本の音です、といって」