司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

代表取締役の予選 その7

2013年02月21日 | 役員

おはようございます♪

え~。。。今回のケースのように社長サンを交代された会社サン。。。ご経験があるクライアントの皆様も結構いらっしゃいますよね~!?
代表取締役を予選しようと思って連絡したら、ワタシに「それは。。。できません。。。スミマセン。。。^_^;」 と言われ、「ぇえ~っ!!!?ナンデ~?。。。」と困惑されたことでしょう。

ま、しかし、予定通りにできないモノはできません。
何かをどうにか変えていただかなくては。。。

。。。というワケで、こういう案件のご相談を受けた場合、変更する内容はいくつか考えられますけれども、各社のご事情によって、「会社にとって最重要事項は何なのか」を決めていただくことになります。

1.前任者の辞任日
2.取締役・代表取締役の就任日
3.議事録への個人実印の押印の回避
4.取締役会の開催日

1.辞任日だけが3月31日であれば良いのならば、取締役Bサンの就任日を3月29日にし、3月29日に取締役会を開催して、4月1日付でBサンを代表取締役に予選することができます。取締役会議事録の押印も、まだAサンが押印できる状況なので、出席者全員の個人実印の押印も不要にすることができます。

2.Bサンの就任日が必ず4月1日でなければならない場合は、取締役会は4月1日に開催するコトが必須となります。
ただし、Aサンの辞任のタイミングを4月1日の取締役会終結時まで、とすれば、議事録への実印押印のモンダイは回避できます。

3.議事録への出席者全員の実印押印を回避することが最重要なのでしたら、上記2つのいずれの方法を採用すればモンダイありません。

4.取締役会の開催日(3月29日)を変更することが出来ないのでしたら、Bサンの取締役の就任時点を取締役会開催以前にすることが必須となります。ただし、Bサンを代表取締役に選定する決議は、4月1日付の期限付きとすることができます。
それから、取締役の就任日も変更できないし、取締役会を4月1日に開催することはできない、という場合は、少し間が空いてしまいますけれども、4月の定例取締役会で代表取締役を選定することも選択肢の一つではあります。ただ、この場合は、実印モンダイは回避できませんし、代表取締役の就任日は4月1日にはなりません。

もう一つ、4月1日付の取締役会を書面決議で行うのなら可能。。。という場合もあるのではないでしょうか?
Bサンが取締役に就任するのが4月1日ならば、同日中に書面決議の提案を行い、取締役全員の同意を得なければなりませんが、実際に開催するよりは現実的だろうと思います。

5.辞任日と就任日を予定通りにしたい場合は、4月1日に取締役会を開催(または書面決議)することは必須となりますね。そして、取締役会議事録には出席者全員の個人の実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。

ちなみに、書面決議の場合、議事録に取締役全員(監査役は不要と思われます)の実印の押印がない場合は、個別の同意書に実印を押印し、これを登記の添付書類にすればOKです。

↑ いかがでしょうか?
ま、これもね。。。また、取締役の改選期に交代する場合は、少しハナシは変わってしまうのですけれども、とにかく、コレ、各社の事情によって異なるワケで、ナカナカ難しいんですよね~^_^;
そこで、まずは、会社サンに「優先順位」を決めていただいております。

ただし、こういうのって、口頭で説明するだけではご理解いただけませんので、一覧表のようなモノを作成してお渡しすることがあります。
すると、数日後、ご担当者様からお電話がありまして、「伺いたいコトがあるのですが。。。」とのこと。

ま、ワタシ自身も「そう言われてみればそうだよね~。。。^_^;」と思ったわけですが。。。
続きはまた明日♪

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代表取締役の予選 その6

2013年02月20日 | 役員

おはようございます♪

早速昨日の続きです。

Bサンを代表取締役に予選するコトが出来るかどうか。。。ってトコロからでした。

今回のケースは、結論から申し上げますと、「Bサンが取締役に就任することを条件として、代表取締役に予選することはできない」ですね。

代表取締役の予選と言っても、すべてが出来ないというわけではありません。
取締役であるヒトを期限付きで代表取締役に選定するようなケースでしたら、可能なんです。
今回ダメなのは、代表取締役の被選定者であるBサンが、まだ取締役に就任していない状態で決議をしているから。。。。
代表取締役は取締役の中から選定しなくてはいけませんので、Bサンが取締役に就任してから(取締役会のメンバーになってから)でないと代表取締役の選定決議ができない、というワケです。

つまり、今回、取締役会は4月1日にBサンが取締役に就任した後に開催しなければならないんですね。
Bサンが取締役に就任していれば、Bサン本人が取締役会に欠席していても構いません。

そして、4月1日以降に取締役会を開催する場合、代表取締役を選定した取締役会議事録には、Aサンが会社の届出印を押印することが出来ませんから、原則通り、出席取締役及び出席監査役全員の個人の実印を押印し、登記の際は印鑑証明書を添付しなければなりません。(←いわゆる「代表者交代担保」ってヤツです。)

会社の印鑑を届け出ているAサンが、出席権限を持って取締役会に出席し、かつ、議事録に会社の届出印を押印した場合は、例外的に他の出席取締役・監査役は個人の実印を押印する必要はないのですけど、今回、4月1日にはAサンは取締役で無くなっているので、当然、取締役会への出席権限はありません。
なので、残念ながら、原則どおり、議事録には出席役員全員の個人の実印を押印しなければなりません。

ちなみに、Aサンの辞任後すると代表取締役に欠員が生じてしまいますが、取締役という前提資格を失った場合は、「権利義務代表取締役」にはなりません。
なので、権利義務代表取締役として、Aサンが4月1日の取締役会に出席し、届出印を押印することもできない。。。。(~_~;)

さらに、規模の大きな会社サンの場合、そう簡単に取締役会を開催することはできない。。。という事情も障害になります。
通常ですと、その手の会社サンは、毎月1回定例取締役会を開催されていることが多いのですけれども、臨時取締役会はよっぽどのコトがなければ開催されません。なので、取締役会の決議事項は、定例の取締役会のスケジュールに合わせて付議されています。

デッカイ会社が組織再編などをしようとすると、結構時間がかかってしまいますが、それは、「定例取締役会の開催日程とタイミングが合わない。。。」ってことも多いです。
「え~っと。。。今月の取締役会には間に合いませんね~。。。来月は○日ですから、そこからスタート。。。」ってコトで、効力発生日が1か月くらいズレたりすることもございます。
。。。というわけで、ちょうど良く「このためだけに」4月1日に臨時取締役会を開催するのって、なかなか難しいんです。

ただ、だからと言って、例えば、4月10日の定例取締役会において代表取締役を選定するとしたら、10日間の間、代表取締役が不在になってしまいますからね~。。。それはそれでチョットマズイ。

じゃ、取締役会を4月1日に開催するのはムリだから、これ、書面決議(取締役会の決議の省略)でやるとしますと、4月1日に代表取締役を選定するのなら、提案日は4月1日、同意日も4月1日とする必要があります。しかし、それも「それってなんだか嘘っぽ~い。。。どうも抵抗感があるな。。。」と思われるようです。

アチラを立てればコチラが立たず。。。^_^;

しかし、こういうコトって、本当に多いんですよ。しつこいですケド。。。

なので、優先事項を決め、何かをあきらめなければならないんですよね。
具体的には、また明日♪

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代表取締役の予選 その5

2013年02月19日 | 役員

おはようございます♪

以前もオハナシしたような気がしますが、ここ数年、代表取締役(社長)の交代は定時株主総会ではなく、事業年度の終わり(または初め)にする会社サンが増えているような気がいたします。

現任の取締役の中から社長さんを選ぶ場合は、さほど問題はないのですけれども、今回のケースのように、取締役じゃないヒトが取締役と代表取締役(社長)に就任するのでしたら、決議のタイミングに気を付けていただかなければなりません。

で、今回ちょっと焦ったケース。。。

新規の会社サンだったのですが、その会社の社長サンが交代することになったのだそうです。
(仮に、)3月31日に代表取締役Aサンが取締役と代表取締役を辞任し、現在取締役でないBサンが4月1日に取締役と代表取締役に就任する、というコトでした。

会社としては、Aサンが3月31日午後12時に辞任すると同時に4月1日の午前0時にBサンを就任させたいと考えたワケです。

そこで、3月29日に臨時株主総会を開催し、Bサンを4月1日付で取締役に選任するという期限付き選任決議をし(Bサンは即時就任承諾)、株主総会直後に取締役会を開催し、Bサンが取締役に就任することを条件にBサンを代表取締役に選定しようと考えました。

取締役Bと代表取締役Bを予選すれば(かつ、Bサンが3月31日までに就任承諾すれば)、当初の目論見どおり、Aサンは3月31日に辞任により退任し、その後任として4月1日にBサンが就任することができます。そして、辞任と就任の間に時間が空くこともありません。

さて、これ、どうでしょうか?

同業者の方々でしたら、至極当然に「それはできないよ!」って、即答されると思いますが、実際、会社の方たちは、「当然できる♪」って思っていることが多いんですよね~^_^;

ま、キモチは分からなくもありません。
条件付き決議や期限付き決議は、イロイロな場面で使われているでしょうから、取締役じゃないヒトを代表取締役に選任するなんてコト(が初めてであれば)も、当然できると思うのでしょう。

実際、この手のハナシは非常に多く、ワタシも、全てを聞かずとも、「また、あのハナシだな。。。(ニヤリ)」って想像できちゃうくらいなんです。

ま、念のため、ご説明しますと、まず、株主総会における取締役Bの予選に関しては特に問題はございません。効力発生日までの期間があまりにも長い場合を除いては、期限付きで選任決議をすることができます。これは原則通り。

モンダイは、代表取締役の予選なのですが。。。
続きはまた明日♪

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代表取締役の予選 その4

2013年02月18日 | 役員

おはようございます♪

年度末が近くなってきたせいでしょうか。。。最近、多くなってきた質問がありましてね。。。
今まで何度も書いた話題なのですが、再度。

え~。。。ま、お題で分かっちゃうと思いますケドもね。。。^_^;
「代表取締役(社長)の交代」のコトであります。

ご同業の皆様方にとっては、「今さらぁ~?。。。つまらんっ!!」という話題だと思うのですが、クライアントの皆様方からこれほど多く質問が寄せられ、実務上、これほど苦慮するハナシってそんなにないハズ。

なので、おそらく、多くの会社サンが同じようなケースに遭遇されることでしょうから、ちょっとケースを変えてご説明しておこうかな。。。と思った次第であります。

で、その3 はコチラ⇒ http://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/006a839b2a5ebdb19868d7e0beb732bb

現在、社長サンの交代をしようとしていらっしゃる会社サンは3社。
うち、2社は、月初めに交代をする予定とのことです。
つまり、月末に現在の社長が辞任(取締役、代表取締役とも)し、翌月初めに後任の社長が就任する。。。というケース。

もう1社は、定時株主総会で交代するか、その翌月初めに交代するか。。。悩んでいらっしゃいます。
モンダイは、3社とも新社長サンが今現在は取締役じゃないってコトです。
なので、株主総会でまず取締役に選任され、その後、取締役会で代表取締役に選定される。。。というワケ。

社長さんが交代されるケースって、例えば上場会社なんかですと、取締役じゃないヒトが代表取締役(社長)になるなんてことは考えにくいですよね~^_^;
ほとんどは、下からの繰り上がりで、まずは平取締役、そんで、常務⇒専務⇒副社長。。。のような段階を経て社長になるじゃないですか?

ですが、例えば、上場会社の子会社サンなどの場合は、親会社の業務命令で突然どこからか社長がやって来る、というコトは珍しくありません。

そこで、代表取締役の予選のモンダイが出てくるワケです。

「代表取締役の予選」というと、以前の記事のように、「取締役の改選前にあらかじめ改選後の代表取締役を選定することができるか?」ってコトを考えてしまいますが(ワタシなどは特に)、具体的なケースとしては、今回みたいなモノの方が断然多いように思います。

つまり、具体的には、3月31日に現任の代表取締役(および取締役)が辞任し、4月1日に新任取締役兼代表取締役が就任する、というケースです。

。。。というワケで、今回は、こういう場合の留意点などをまとめておこうと思います。
続きはまた明日♪

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端株のこと その10

2013年02月15日 | 株式・新株予約権

おはようございます♪

備忘録のはずがずいぶん長くなってしまいました。。。失礼。。。^_^;

じゃ、早速昨日の続き。

端株を解消するための手法の残りについて。

★株式買取請求
これは、株主が会社に対して「ワタシの端株を買い取ってちょ~だい!」と請求するモノです。
単に株主が請求するだけなので、簡単ではあるのですが、会社が株主に対して請求権を行使することを強制できないですから、株主がイヤだ!と言えば、出来ない。。。というワケです。
ま、実際問題として、非上場会社サンであればできないことはないのでしょうけど、やっぱり、現状を維持したいというコトもあるようで、あまり乗り気ではないみたいです。

★株式買増請求
こちらは、平成13年の商法改正時に端株券が廃止されたことに伴って新設された制度でして、株主が会社に対して請求すると、会社はその株主サンの端株を解消する分の端株(自己株式)を株主サンに譲渡するんですね。つまり、例えば株主サンが0.5株の端株を持っていた場合、株式買増請求をいたしますと、会社は0.5株分の端株を株主に譲渡します。すると、買い増し後は1株になって、端株は解消される。。。という具合です。

ただし、株式買増請求の制度を利用するためには、定款の定めを設ける必要がありまして。。。ま、面倒でしょうね。
あ、そうそう、定款規定は、会社法施行後でも新設することができることとされていますから、やりたければ今からでもできますが、定款規定を設けることの他に、会社が自己株式を保有していることが必要ですし、端株分を譲渡した結果、自己株式の方に端株が生じる、という不都合もあります。
ですのでね。。。非上場会社サンに関しては、この制度をわざわざ設けるのは現実的ではないと思います^_^;

★端株の廃止
思い切って、端株制度を廃止する方法もありますね。
どうやるかというと、現在端株がある会社サンが、旧商法の規定に基づいて、「端株原簿不記載の旨」を定款に規定するワケです。
結果、通常の端数処理と同じように、端数株式の合計から端数分を除いた株式を売却し、その代金を案分して端株主サンに分配して、端株は無くなる。。。という具合。

例えば、株主サンの端株が、A 0.9株、B 0.4株、C 0.5株  だったとしますと、端株合計1.8株のうち、1株は売却して売却代金をそれぞれ持株(端株)比率に応じて分配し、0.8株は消える。。。というコトです。

株主の協力なしに実行できる、という点では良いのかも知れませんが、通常の端数処理の場合と同じように、非上場会社がコレをすると、株式の売却の方法は、競売によるかまたは裁判所の売却許可決定を得て任意売却するしかなく、やっぱり、現実的ではないでしょう(~_~;)

。。。というワケで、いくつかの方法は考えられるものの、やっぱり「株式分割」が一番良さそうだな。。。との結論に至りました。
端数等無償割当てが出来そうなコトを言ってしまったので、クライアントさんには、チョットご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした m(__)m

で、このハナシは一応終わりますね♪
イマドキ端株なんて。。。ご興味のない方も多いと思いますが、長々とお付き合いいただきまして、ありがとうございました!

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