司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

【メルマガ記事】株式交換 その5

2019年07月04日 | いろいろ

おはようございます♪

昨日の続きをどうぞ~♪


【第6回(2015.3.18)その2】

●事業目的

目的変更の要否の確認も必須です。完全親会社は完全子会社を通じて事業を行っている、つまり、親会社自身が子会社の事業を行っているのと同じ、と考えられますから、完全親会社の事業目的は、完全子会社が行っている事業を網羅する必要があるのです。親会社の目的としては、親会社が純粋持株会社である場合(←親会社自身は事業をしない)と事業持株会社である場合(完全子会社の株式を保有しつつ、親会社自身も事業を営む)とで表現が異なると言われておりますが、その辺はあまり細かく考える必要はなく、要は、完全親会社の目的が完全子会社の事業(←実際に行っている事業)を網羅する目的であれば良いと思っています。当事会社では、事業目的についての問題意識はほとんどないですし、どのように変更すれば良いかも分かりませんから、司法書士のアドバイスは重要ですよね。しかし、私自身は、この目的の見直しが大の苦手です。細かいですし、結局は、グループ会社全体の資本関係を確認したうえで、受託した案件とは関係のないグループ会社の目的も含めて全体を見直すことになったりするのですよね。頭を抱えてしまうこともしばしばでございます。

 

●発行可能株式総数

前回の記事にも書きましたとおり、株式交換比率は各社の株式の時価が算定されるために、なかなか決定いたしません。そのため、交換比率の決定と同時並行で日程やら必要書類やらの準備をするわけですが、いざ交換比率が決定してみたら、「完全親会社の発行可能株式総数が足りないっ!」という事態に陥ることがございます。まぁ、発行可能株式総数を増加すれば良いだけ、と言ってしまえばそうなのですけど、例えば、簡易組織再編に該当するケースで株主総会は開催しない予定だったとすれば、定款変更のために急遽株主総会決議が必要になるなど、手続開始直前に日程が変わったり、手続きが増えたりいたしますから、そういう事態はなるべく避けたいところです。そこで、司法書士としては、簡易な確認をいたします。極端な例ですが、完全子会社の貸借対照表上の純資産額が1億円、完全親会社の純資産額が1000万円、完全親会社の発行可能株式総数(=授権枠)が発行済株式総数の4倍だったとしますと、単純に考えて、完全親会社の残りの授権枠は3000万円分で、受け入れる子会社株式の対価として発行する株式は1億円分ということになりますから、現在の授権枠では足りないことが分かります。実際は時価での計算ですし、こんなに単純ではありませんけど、必要になりそうかどうかを予め把握しておくと安心ですよね。株式分割等の必要性も、計算書類からざっと確認することができます。

 

●資本剰余金への計上

組織再編の場合、計算の知識がある程度は必要になってまいります。私自身も、威張れるほどに詳しくはなく、いつも大変苦労しております。が、共通支配下の株式交換では、資本剰余金への計上の問題がありますので、その点をご紹介しておこうと思います。共通支配下の吸収合併や吸収分割のケースですと、存続会社等の計算としては、株主資本等変動額の範囲内で、資本金、資本準備金、資本剰余金に適宜振り分けることができることになっています(会社計算規則第35条、第37条の適用を受ける場合)。そのため、多くの場合、資本金や資本準備金は増加させずに、株主資本等増加限度額の全額を資本剰余金としています。ところが、株式交換の会社計算規則第39条の規定では、資本剰余金への計上が原則として認められておらず、仕方がないので、全額を資本準備金に計上することになるのです(←株式交換契約書の記載に影響します。)。何故なのか?株式交換では、新株予約権付社債の承継をする場合等を除き、債権者保護手続きが不要だから、と説明されています。通常の募集株式の発行ですと、払込金の半額以上が資本金に組み入れられ、残りは資本準備金となります。これらを取り崩すためには、債権者保護手続きを経る必要があり、その結果、取り崩された資本金等が資本剰余金に計上されるわけです(←簡単に使えるお金ということですね。)。吸収合併や吸収分割では、原則として、債権者保護手続きが必要なので、最初から株主資本等変動額の全額を資本剰余金に計上してしまうことが認められていますけど、株式交換の場合には、通常、債権者保護手続きが不要ですから、それなしに資本剰余金への計上は認められない、というわけです。じゃあ、任意に債権者保護手続きをすれば資本剰余金への計上ができるか、というと、残念ながらダメなんですよね。法律上、債権者保護手続きが必要なケースに限ると解されているのだそうです。ま、つまり、株式交換契約書に記載する「増加する資本金、準備金の額」については、株主資本等変動額を資本金と資本準備金に振り分けなければならないってことです。資本剰余金は増加させられませんのでね・・・お間違えのないよう。


(なんだかバタバタしてきましたんで、今日はオマケはなしで。。。(~_~;))

ではまた明日~♪

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