司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

代表取締役の重任登記と改印届出(お礼と結末など)その7

2017年09月04日 | 商業登記

おはようございます♪

本日は、意見書その2の内容をご紹介したいと思います。
内容的には、今までと違うトコロはないですし、ちょっと長いのでご興味のない方は飛ばしてください^_^;

 

昨日照会させていただいた件、追加の資料を添付いたします。
併せて、当方の意見も補足させていただきます。

1.商業登記規則逐条解説
 末尾の記載によれば、「代表取締役に重任された場合にもその者が改選前に使用していた印鑑を議事録に押印すれば、印鑑証明書の添付の省略が認められる。」とされており、議事録には従前の届出印を押印することが前提であると思われます。 

2.登記研究質疑応答  昨日お送りした資料の原典になります。
 再三になりますが、このケースは議事録作成時の届出印(改印前届出印)を押印し、その印鑑を紛失したため、代表取締役の重任登記と同時に改印届出を行ったケースです。当然のことながら、印鑑を紛失していますので、委任状には改印後の届出印が押印されたことが前提となっているはずで、本件と同様のケースであると考えられます。

 ここで問題となっているのは、まさしく、登記申請と同時に改印届出があった場合に、議事録に改印後の印鑑が押印されていなければならないか、という点であり、改印前の印鑑が押印されている場合であっても規則61条6項ただし書きの適用を受けることが明らかになっています。
 また、この質疑応答については、商業登記ハンドブックにおいても紹介されていることから、当該質疑応答の内容は現在も変更されていないと思われます。

3.商業登記ハンドブック 395頁2-エについて
 「代表取締役の改印届と同時代表取締役の重任登記申請があった場合、取締役会議事録の印鑑が改印後の印鑑と同一であるときは印鑑証明書の添付を要しない。」としつつ、「登記の申請時において提出されている印鑑」には、上記イ(すなわち、上記登記研究質疑応答のケースにいう改印前の届出印)及びウの場合のほか、登記申請と同時に提出した印鑑も含まれるとの記述があります。

 つまり、登記の申請時において提出されている印鑑とは、改印後の印鑑には限らず、改印前の印鑑も当然に含まれるという趣旨の解説であると考えます。

4.商事法務実務相談室 について
 ここで解説されているケースは、改印届出が登記申請日とは日を異にした場合であって、登記申請時点においては既に旧届出印の記録がなくなっていることが想定されていると思われます。

これは「平成10年2月10日民四269号回答」と同旨ですが、「取締役会議事録の印鑑がその作成時に登記所に提出している印鑑であっても申請時において提出されている印鑑と異なる場合には、規則61条6項ただし書きの適用を受けない」理由は、あくまでも、登記申請時点では印鑑照合が不可能であることなのであって、一律に改印前の届出印が押印されていた場合に、同ただし書きの適用を受けないという趣旨ではないと考えられます。添付資料「商業・法人登記先例インデックス」においても、申請日よりも前に改印届出がなされているケースであることが明らかになっています。
 よって、本件のように登記申請と同時に改印届出がなされたケースは、先例や実務相談室とはケースを異にすると思われます。

 貴出張所のご見解によれば、「代表取締役の届出印は一つであり、登記申請と同時に改印届出がなされた場合には、登記申請時点において登記所に届け出られている印鑑は、改印後の印鑑に限られる」とのことですが、どの解説を読んでも、「登記申請と同時に改印届出がなされた場合には、規則61条6項ただし書きの適用を受けるための議事録の印鑑は、改印後の届出印に限られ、改印前の届出印は含まない」という趣旨の記述は見受けられませんし、上記の質疑応答では、明らかに改印前の届出印が押印されているケースが認められています。さらに、この回答は先例や商業登記ハンドブックの解説との整合性もあると思えます。 
 
一方で、貴出張所のご見解に基づけば、一部において矛盾が生じると思われるのですが、その点はいかがでしょうか。

 確かに、代表取締役の届出印は常に1つであるという点は理解できますが、それはあくまでも登記申請書(又は委任状)に押印される印鑑についてであって、規則61条6項ただし書きに規定する「登記所に提出している印鑑」に関しても、それと同様であると考える必要はないのではないでしょうか。

 規則61条6項ただし書きの規定の趣旨は、従前の代表取締役が法務局に届け出ている印鑑を取締役会議事録に押印することによって、当該選任決議の真正を担保することにあるのですから、届出印の照合が可能な状況であれば改印前・改印後いずれの印鑑であっても同ただし書きの射程範囲だと考えます。

当初はね。。。。こんなコト長々と説明する意味はないと思っていたんです。
でも、一つ一つ丁寧に疑問点をつぶしていかないと、相手に伝わらないってコトが徐々に分かってきました。
登記官に対して、ココまでしないと理解してもらえないもんだろ~か。。。(@_@;)。。。って思いますケド、とにかく自分の理解が正しいと信じて疑わないヒトなんで仕方がありません。

一番のモンダイは、「登記所に届け出ている印鑑」についてでして、法務局では「改印後の印鑑に限るのであり、登記申請と同時に改印届出があった場合でも、旧届出印は含まれない」と考えていて、ワタシは「登記申請と同時に改印届出があった場合には、新・旧いずれの届出印でもOK」と考えていたトコロだったみたいデス。

ところが、「登記所に届け出ている印鑑」とは何ぞや?!。。。登記申請と同時に改印届出があった場合はどうなのか?。。。について明確な説明をしている文献はないんです。。。トホホ。。。けれどもソコが担当者を説得するための最重要ポイントだったと思いマス。

ですんで、「間接的にはこちらの意見の方が整合性があるよね?」。。。という攻め方にはなりますが、そもそも、商事法務などで想定されたケースは印鑑届出と登記申請をした日が違う。。。という設定がハッキリしていなかったワケで、今回の資料でその点が明確にできたことが大きかったんじゃないかなぁ~。。。って気がいたします。

。。。というワケで、さすがにここまですればダイジョウブだよね。。。と思いたかったけど、夢にまで出てくる始末。。。(ーー;)
もう、いいかげんに勘弁してよぉ~っ。。。

で、まだ続く♪

コメント
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