司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

会社分割に伴う剰余金の配当決議 その1

2010年01月14日 | その他会社法関連

会社法では人的分割の手続が大きく変わりました。
話は逸れますが、私共の業界では、会社分割の種類を物的分割・人的分割、新設分割・吸収分割という言葉で分けています。物的分割は縦(たとえば親子)、人的分割は横(たとえば兄弟)の関係というイメージです。

ところが、税理士さんとお仕事をご一緒すると、物的分割を分社型、人的分割を分割型分割と言われます。最初はこの言葉に慣れなくて、頭の中で一生懸命 「どっちのことだっけ??」と考えながら会話をしておりました。
段々考えなくても分かるようになりましたし、どちらかというと、その言葉でしゃべった方が話が早いような気がして、今では分社型・分割型という言い方をする方が多くなってきました。不思議なものです。

人的分割は条文上登場しなくなりましたが、実際は規定が整理されただけで実質的にはなくなったわけではありません。
物的分割は、分割会社に対価を交付し、人的分割は対価を分割会社の株主さんに交付します。商法の時代は、人的分割という手続が規定されていてダイレクトに対価を株主さんに交付することが出来ました。
現在は、対価の交付は一旦は分割会社に対して行い、分割会社がもらった対価を剰余金の配当等で株主さんに交付する場合は人的分割である、と説明されています。

人的分割を行うためには、分割契約書(計画書)には分割会社が剰余金の配当を行うこととし、分割対価を交付する、と記載します。
この分割契約書等の記載は、 概略的なもので足り、詳細については実際の剰余金の配当の議案で定めれば良い事になっています。 契約書としては、「これは人的分割です」ということが分かればよし! ってことで、剰余金の配当決議と会社分割とのリンクを貼るようなものみたいです。

剰余金の配当決議の内容は、期末配当を行うような通常のケースと同じです。決議事項は、①配当財産の種類及び帳簿価額の総額、②株主に対する配当財産の割当てに関する事項、③剰余金の配当の効力発生日 (会社法第454条)ですね。

通常と違うのは、分配可能額がなくても配当できることです。例えば分割会社が債務超過であれば、普通は剰余金の配当をすることが出来ませんが、人的分割の手続の一環として行う場合は可能です。

ワタシが会社法が施行されて初めて担当した人的分割の案件は、債務超過の会社でした。かなり苦労しましたので、ご紹介したいと思っています。

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