司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

100%減資と増資 その2

2010年01月20日 | その他会社法関連
減資と増資の順番が入れ替わってはいけない理由、それは、100%減資が株主を総入替するために行う手続だからなんです。

今までの株主さんには、例えば債務超過の責任を取ってもらい、新たな株主さんに出資をお願いするというわけです。
旧株主さんがいる状況で増資してしまうと、例えば今までの1株あたりの純資産額がマイナス1万円だった株が、増資によってプラス5万円になってしまうこともあります。逆に新たな株主さんは、1株あたり10万円出資したとしても、それ以前に発行された株式があれば、1株あたりの純資産額が平均化されてしまい、出資後の1株は0円になった。。。なんてことも起こります。

そのために、必ず減資(株式消却)してから増資するという順番にしないといけないワケです。
その手続に当たっては、いくつか疑問に思っていたことがありました。

①募集株式の発行決議をする株主は、新株式が発行される時点では株主ではないのに、そういう人たちが株主総会の決議を行うことに意味があるのだろうか?

②順番は減資が先になるのに、増資の効力が発生しないと減資はできません。そのため、減資の決議では、増資の効力発生を条件とするんです。先に効力発生するものが、後で効力発生する手続を条件にするのは何だかおかしくないのだろうか?

③増資の方も、払込期日自体は具体的に定める(減資の効力発生日と同日)のですが、減資の効力が発生しなければ増資しないということで、こちらも条件付決議としているケースが多かったと思います。その場合、循環参照のようにがエラーが発生することはないのだろうか?

という点です。

100%正解かどうかは分かりませんが、①それしか株主総会決議ができないから仕方がない、②③減資・増資どちらも有効に効力発生することが必要なので、一方だけの効力が発生することはないという趣旨で記載するようです。もちろん、条件が成就しなかったケースは扱ったことがありませんけど。。。順番の問題も、本当はヘンだけど実務上はそのように運用されているということのようです。

そして、登記をするわけですが、減資(+株式消却)・増資を一括申請しなければいけなくて、減資のところで一瞬、資本金0円、発行済株式総数0円とされます。資本金0円は、この手続でしか登記されることはありませんでしたから、不思議な達成感がありました。(?)

会社法になってからは、幸か不幸か、こういう案件を受託する機会がありません。実際、会社としてはあまり良い状況でないので、喜ぶべきかも知れませんね。

さて、明日は別の点で100%減資の手続の変更されたこと、のオハナシでございます。
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