司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

株主割当 OR 第三者割当

2009年06月18日 | 株式・新株予約権

会社法になって、用語もいろいろ変わってしまい、なかなか面倒な思いをしているのはワタシだけでしょうか?
さて、今日は増資のお話です。増資というのは「資本金の額を増やすこと」なのですが、たぶん、一般的には「新株発行」のことを意図して使われていたコトバだと思います。今は「募集株式の発行」と言うようですが。。。

今、増資の手続をしている会社さんがありますが、珍しく株主割当の方法でやっています。株主割当というのは、ご承知のとおり、既存株主さんに対し、現在の持株比率に応じて株式を割り当てる方法です。

実際、増資をする会社のほとんどが株主割当をしているのですが、手続自体は株主割当の方法をとっていません。
会社法施行前は、株主割当をするためには基準日を設けなければならず(登記は関係ないんですケドね)、適法に手続するために手間と費用がかかるというのが理由だったと推察しています。
現在は、基準日は必ずしも設定しなくて良くなりましたので、じゃあ、株主割当が圧倒的に増えたか? というと、やっぱりそうではありません。

実際にはどうするかというと、第三者割当の手続で増資をしています。たまに、「実質が株主割当なのに第三者割当でやってもいいの~?」というギモンを持たれる方もいらっしゃいますが、法律的にはOKだと思います。
モンダイは税務なのでしょうが、以前税理士さんに伺ったら、「実質が株主割当だったら、手続はどちらでやってもおんなじです。」とのことでしたので、税務的にも大丈夫のようです。

基準日のモンダイがなくなったのに、なんで株主割当にしないか? というと、第三者割当で総数引受契約をする方法が一番手っ取り早いからなんです。


総数引受契約をする場合、会社法203条、204条の規定が適用除外になるので、やることは、①株主総会で募集事項の決定、②総数引受契約の締結 だけです。超簡単!
一方、株主割当をする場合、①株主総会(または取締役会)で募集事項の決定、②株主さんに対して募集事項等の通知、③株主さんからの申込

見た目的にはあまり変わらないように思えますが、②の書面は色々書くことがあるので結構面倒です。それから、②の通知は申込期日の2週間前までに送らなければなりませんので、①の決議の日と申込期日の間が2週間ない場合は、登記の添付書類として、株主全員の期間短縮同意書が必要になります。さらに、①の決議を譲渡制限会社が取締役会で決議する場合は定款規定が必要ですので、登記の際は定款も提出しなければなりません。

総数引受契約の場合の注意事項としては、引受人が複数人でもいいのですが、「みんなで全部を引き受けます」ということが必要で、だれかが払い込みをしなかった場合は、全部がパーになってしまうことです。

以上のように、総数引受契約のほうが圧倒的に簡単ではありますが、株主総会を開きにくい会社さんであれば、原則どおり株主割当にしたほうが良いでしょうね。
ちなみに、通常の第三者割当の手続は株主割当よりも面倒なので、あまりおススメしていません。

増資の手続は微妙に変わっていて、条文を読み解くのもなかなか困難なんですよ(個人の感想)。

 

コメント (8)
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