孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

チベット  後を絶たない焼身自殺  次期指導者・習近平の父がダライ・ラマ14世から贈られた腕時計

2012-11-01 21:22:46 | チベット

(文化大革命当時、“反党分子”として糾弾された父・習仲勲 “flickr”より By PRCHistory http://www.flickr.com/photos/prchistory/4380598751/

ダライ・ラマの腕時計云々を息子・習近平が意識しているかどうかは知りませんが、自身の下放の経験を含め、写真のような文化大革命によって家族と自身に降りかかった災難については記憶に深く刻み込まれているのは間違いありません。それがどういう形で表に出てくるのかはわかりませんが。)

繰り返し語られる“期待”】
中国の次期指導者とされる習近平の父親・習仲勲(しゅう ちゅうくん)は、1959年に副首相に就任しますが毛沢東に疎まれ失脚、文化大革命期間中16年間も拘束されましたが、その後復活、広東省で中心的役割を果たし、深せんの経済特区を実現した人物でもあります。

習仲勲は、チベット族・ウイグル族の他少数民族の権利を擁護し、また、1989年の 天安門事件での学生抗議に対する軍の対応に反対 、1987 年には保守派 よる胡耀邦解任をただ一人批判した“リベラル派・ハト派”であったとのことです。【8月31日 ロイターより】

習仲勲を紹介したのは、今朝のTVニュースで彼の名前が出てきたからです。
例によって朝の出かける前の慌ただしい時間帯に部分的に見聞きしただけで、どういう文脈・前後関係の報道だったかは定かではありませんが、習仲勲がチベットのダライ・ラマ14世と親交があり、彼から贈られた腕時計を長く愛用していたことからわかるようにチベットに対し比較的寛大であり、そうした父親の姿勢が息子・習近平の対チベット政策に影響する可能性も・・・といった内容でした。

この習仲勲とダライ・ラマ14世の関係については、前出【8月31日 ロイター】でも報じられています。
“Does China's next leader have a soft spot for Tibet?”(http://in.reuters.com/article/2012/08/30/us-china-tibet-xi-idINBRE87T1G320120830
あくまでも“?”付きですが。

また、2010年頃にも報じられていたことのようでもあります。
****ダライ・ラマ周辺、中国の次期指導者・習近平副主席に「期待」か****
消息筋によると、チベット亡命政府のダライ・ラマ14世周辺で、中国の次期指導者に実質的に決まったとされる習近平副主席に対して、話し合いの成果を期待する声が出ているという。

根拠は、習副主席の父親で、副首相を務めた習仲勲氏が、ダライ・ラマと親しかったことだ。ダライ・ラマは習仲勲氏に腕時計を贈ったことがあるが、習副主席も、同じものと思われる時計をつけていることがあるため、「状況の改善を考えているとの、意思表示」と受け止める人がいる。(後略)【2010年10月19日 サーチナ】
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1週間で計5人のチベット族住民が焼身自殺
現在のチベット情勢は極めて悪化し、中国当局への抗議の焼身自殺が後を絶たない状況に陥っています。

****チベット族の焼身自殺止まらず=中国****
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が28日までに伝えたところによると、中国チベット自治区ナクチュ地区で25日、チベット族男性2人が「チベット独立」などと叫び、焼身自殺を図った。このうち20歳の男性は死亡。25歳の男性は当局に運ばれ、生死は不明。

甘粛省甘南チベット族自治州夏河県では20日からの1週間で計5人のチベット族住民が焼身自殺。共産党大会開幕を11月8日に控え、焼身自殺で共産党のチベット政策に抗議の意を表そうとする動きがさらに高まる可能性がある。【10月28日 時事】 
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“チベット族居住区全体では2009年以降、60人のチベット族が自殺を図り、うち50人が死亡したと”【10月27日 時事】とも。

こうした情勢に当局側は治安維持体制の強化で臨んでいます。

****チベットでも治安維持強化=武装警察総隊を格上げ―中国****
中国国務院(政府)と中央軍事委員会は人民武装警察部隊の郭毅力チベット自治区総隊長を「正軍職」待遇の総隊司令官に任命した。中国紙・チベット日報(電子版)が29日報じた。

武装警察では、2008年に新疆ウイグル自治区総隊が「副軍級」から「正軍級」に格上げされ、新疆生産建設兵団指揮部も今月、「副軍級」に格上げとなった。11月の共産党大会を前に人民解放軍で大幅な人事異動が行われたが、武装警察でも治安維持の体制が強化されている。

チベット自治区では08年3月、ラサで大規模な暴動が発生したほか、チベット族居住区がある四川省や甘粛省などでも中国政府のチベット政策に抗議する活動が続き、焼身自殺を図ったチベット族は09年以降60人を超えている。【10月29日 時事】 
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胡錦濤は台湾関係を改善、習近平は?】
習仲勲がダライ・ラマ14世から贈られた腕時計の話は、次期指導者・習近平の政治姿勢に対する“予測”というよりは、“願望”に近いもののようにも見えますが、江沢民時代に悪化した台湾関係を胡錦濤が改善したように、前任者の残した課題を後任者が処理するという例もないではありません。

習近平は、父の残した腕時計をどのように扱うのでしょうか?
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