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「小さき者の幸せが守られる経済へ」

2020-02-23 | 気になる本

浜 矩子(2019)『小さき者の幸せが守られる経済へ』新日本出版社
 著者の本は幾冊か読んでいる。どれも納得行く筆致で、特に「アホノミクス」は子気味良い。はじめににあるように、この本は「アエラ」などに掲載されたコラムを下に、編集書き直しされている。タイトルの「小さき者の幸せが守られる経済」が良いとしている。強いものは自力でやっていける。経済は「弱き者」(小さき者)が幸せになれること。アダム・スミスの人間であることは共感力であることを引用し、他者の喜びを喜びとし、他者の悲しみを悲しみとする。本書は最近の経済・時事問題を掲げ、本質的な問題を易しく述べている。以下、そのポイントのメモ書きである。(  )書きは私のコメント。
 経済活動は人間の営みです。数字をあげて難しく言うのが経済学だけではない。「一方で・他方で」というエコノミストが多いが、本当のことはどちらかわからない。(政府・自治体の計画書では総花的であるが、本質的な問題解決に迫らないか軽視する作文が多い。)
 資源確保のために、政府はもっと戦略的に立ち回れ。新幹線も原子力発電も、世界の大型インフラ開発案件を戦略的に受注せよ。「国家プロジェクト」、「官民挙げて」という言葉が飛び交う世相に一抹の怖さを感じる。(経団連と一緒に「地球を俯瞰する外交」セールスで、原発輸出、新幹線、領土など大金を使っても「成果」はなかった。労働者には成果主義賃金を求めるのに?)
 成長幻想はもうやめよう!(アベノミクスは道半ば、毎月勤労統計のデータは偽装、株価は日銀などによるつり上げ、物価上昇率2%目標の実施できなければ辞める?ついに、19.10消費税10%でGDPが、10~12月期の年率換算-6.3%に。今年は新型肺炎でインバウンド減少、輸入制限などマイナス成長である。)日本のGDPは2014年489兆円、民間金融機関が246兆円、日銀が268兆円の国債を5割以上保有している。
 1つの経済社会において、いかに豊かな富が蓄積されていても、それが一握りの人々の手中に全て収まってしまっていては、その富が十分な幸せと豊かさを生んでいるとは言えない。(アメリカの大統領選挙では、民主党候補の指名争いで、サンダース氏がリードしている。連合会長が春闘の集会で、賃上げの流れを崩すべきでない。内部留保は溜まっている。使うべき時に使わなくては、と述べたそうである。時代の変化に注目したい。)
 成長経済と成熟経済とどう違う?バランスが大事である。(食料自給率の低下。国、自治体の1次、2次、3次産業のアンバランスは歴然である。地域経済は持続可能か地域循環のシステムが必要に思う。成熟経済を考えるには、JS・ミルの「経済学原理」のゼロ成長と広井良典「定常型社会」がお勧め。)
 大企業ばかりを優遇することにも、経済合理性はありません。中小零細企業を存亡の危機に陥れかねません。下請けイジメを黙認することにも、非正規労働者を冷遇することにも、経営合理性はありません。人権擁護の見地からも容認できないです。(下請け、非正規労働者は賃金、労働条件が悪い。声をあげれば身分も危ない。労働組合は弱い。政治が糺さなければ。)
 国家財政の歳入は税収よりも借金の方が多い。(サラ金のような)借金依存型人生がいつまで続けられるか。
 電子現金と物理現金。「キャッシュレス」に日本は遅れているが、著者は物理現金を支持する。それは、①電子現金が進むと頭脳が退化する。②電子現金は監視の目から隠すことが困難である。
 「高度プロフェショナル制度」は、専門性の高い「高給取り」だけだろうか。働いた時間でなく、達成した成果に応じた給与を払うものである。「働き方改革」でフリーランス化し、長時間労働で低賃金化する。政策がもたらす呼吸困難による経済的窒息死が近づいている。
 2018年イタリアで議会選挙が行われた。かろうじて右派連合が勝利した。その陰で中道が大幅に後退した。現代の偽預言者、ポピュリストどもは外敵を指し示すが、気づいたときに、人々は排外的な独裁体制下で、2度と真ん中に戻れない。これは他人事ではない。
 ジャーナリズムは、闇を照らす光で無ければならない。秘められた下心を明るみに引っ張り出す。媒体にそれはできない。メディアは止めてジャーナズムで行こう。
 

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