豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

栗原「はたらかないで、たらふく食べたい」

2021-08-13 | 気になる本

栗原康(2015)『はたらかないで、たらふく食べたい』タバブックス

 たらふくと言わなくても働かないで食べられるのは、恵まれた年金生活者か資産家である。年金生活者は何十年と働いた後の結果である。そんな生活を得るには、学生時代は学資で借金を数百万して、無事に正社員になって、結婚出来て、借金で家を建てるという高度成長時代の人生設計を歩めた人である。そのためには労働の苦痛や時間の制約など(「生の負債」)、我慢を強いられる。リーマンショックで「年越し派遣村」の村長だった湯浅は、「滑り台社会からの脱出」を提唱した。他人の利益のために社会運動した彼は、今は「認められ」東大教授である。

 栗原も有名大学を出て、レイシスト反対などのデモに参加するなど社会派であろう。ポスドクで執筆時はニートに近い。収入を得ようと読書・研究など自由な生活を制限し、努力したが彼女に振られた。その後大学の臨時教員に採油されたが、現在は不明である。新自由主義の下、若者が正社員で結婚し、マイホームを持ち、「普通の暮らし」をするのは大変である。そうでない人は「普通」に見られず、人間らしい自由が殺される。豊田市では「ミライのフツー」をスローガンに掲げるが、意味不明である。

この本は、政治社会というよりも、生き方や人生の思想を語っている。社会の常識や流れに乗らず、真実を求め、苦闘している。就職氷河期の時代に生まれ、実体験で語っているいることが興味深い。子どもや若者が希望持てる日本を創らなくては、日本の未来が開けない、と実感した。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 白井聡対話集ーポスト「戦後... | トップ | 西尾の町並み »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

気になる本」カテゴリの最新記事