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労働法を考える

2010-06-15 | 気になる本
 脇田 滋(2007)『労働法を考える』新日本出版社
 労働法の学者なら本来は労働者のことを考えた立場であって欲しいものですが、使用者側の立場が多くなっています。著者は労働者の立場であり、若者の利益、人間を取り戻すための働き方を提案しています。HPも立ち上げ、相談、アドバイス、裁判支援などされています。第1章で、相談活動から労働者を護る労働法のない日本に変化していること、企業にのみ都合のよい「フルタイム型非正規の低賃金」の実態を指摘しています。そして、ストライキもなく正社員のことしか考えない労働組合の弱体化をあげています。第3章の「働くルールの形成と発展」では労働法の歴史を説明しています。また、日本は「ILO条約の批准の少ない国」、「少ない労働基準監督官」、企業別組合の弱点などを述べています。第4章では世界の事例として、組織率は低くても未組織の利益を守って闘う運動、私も最近気づいた韓国の産別組織への転換、派遣労働と同一労働同一待遇、パート労働法を紹介しています。第5章の「日本の制度と大企業の思惑」で、派遣法の歴史的経過と背景(省略)、97年の「禁じ手」の職安法の規則改正、諏訪康雄氏と菅野和夫市の「労働市場法」論が「日本労働法体系の全面的再編を企図した野心的」ものとしています。それは85年に日経連の「日本的経営」を、市場原理主義に大きく転換するものでした。その問題は、①解雇を含めて使用者責任を不随にする(派遣法)、②同一労働同一賃金の考え方を否定、③労働組合は正社員を前提にしていることに違和感を示しています。04年に製造業へも派遣対象業務とされ、ワーキングプアが社会的に注目されました。このような労働法の規制緩和は、「日本の雇用社会、さらには、社会自体をも崩壊させかねないほどの状況につながると予想されます」。実際に08年の世界経済危機で、非正規切り、派遣村は社会崩壊の予想に進んでいます。第6章、7章で「働くルールの確立」が具体的に書かれています。弱い立場にある非正規労働者がどのように立ち上がり運動するか、正規労働者がどのように連帯するか、この国で人間を取り戻すために、この闘いは大きな意義があると思います。ディセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をみんなができる会社・社会・政府にすることが必要です。(写真は庭のどくだみと紫つゆ草です。今年はどくだみ茶を作ろうと日陰干ししています。)
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