Con Gas, Sin Hielo

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「ミッドウェイ」

2020年10月03日 15時29分45秒 | 映画(2020)
かつての戦争にはヒーローがいた。


ディザスタームービーの巨匠、R.エメリッヒ監督が突然太平洋戦争の映画を作った。

「もうひとりのシェイクスピア」の時ほどの衝撃ではなかったが、宇宙やら災害やらフィクションに振り切ったものを得意とする印象があるだけに、過去の戦争をどのように描くのかに興味が湧いた。もちろんわが国がどのように扱われるのかも。

真珠湾攻撃から破竹の勢いえ進撃を続けてきた大日本帝国軍が初めて米国軍に敗退を喫し、その後の敗戦への転機となったとも言われるミッドウェー海戦。大昔にも三船敏郎が出演した同名作品があるが、それは未見である。

事前の評判では日米双方の人物を掘り下げてバランス良く描いたとのことであった。キャストに豊川悦司浅野忠信国村隼といった日本の著名俳優を配置した辺りにも配慮が見られている。

ただ、中身は良くも悪くもエメリッヒ作品の延長線といったところか。真珠湾攻撃の場面は、いきなり攻撃してきた「インデペンデンスデイ」の宇宙人が日本人に置き換わったように見えたし、勇敢な主人公の活躍によって米国が救われるのも同じ系統であった。

米国人ヒーローをきっちり描く傍らで、少しテイストが違ったのは、前述のとおり敵であるはずの日本の軍人の心情も描いていた点である。

山本五十六は冒頭に戦争は誰も望んではいないということを口外していたし、敗軍の将となった南雲中将や山口少将の誇りを持った最期には一定のリスペクトを見ることができる。意地悪く見れば、勧善懲悪が崩れて作品としてカタルシスを感じる妨げになったかもしれないが。

戦闘場面の迫力はさすがに手慣れたものである。画面いっぱいに光線のような弾丸が飛び交い、昔の戦争は決死であることがひしひしと伝わってきた。

それでも主人公は当然撃墜されず。最後に登場人物のその後が紹介されるので事実に基づいてはいるのだろうけれど、演出はあったのだろう。これもエメリッヒ流ということで。

いずれにせよ、アナログ時代の肉弾戦は大変だった。いまはドローンで攻撃したり、手を汚さずに国を窮地に追い込むことができるからね。・・・って、どっちの時代の方が怖いんだ?

(75点)
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