Con Gas, Sin Hielo

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「トロン:レガシー」

2010年12月26日 04時39分47秒 | 映画(2010)
見どころはデジタルなシンデレラ城。


前作が作られたのは1982年。映画館には観に行かなかったが当時のことは憶えている。

憶えているといってもディズニーとコンピュータというキーワードのみで、あとは宣伝も特にされず地味な興行で推移したということくらいであるが。

なにしろその頃は、ディズニーといっても泣く子も黙るようなブランド力があるわけではなかった(TDRもなかった)。逆にディズニーの映画とは珍しいねというくらいだ。

実際に観たのは、だいぶ時が過ぎてNHKのBSで放映したときだった。もはやそのときには、画期的であるが珍品というレッテルが貼られた後のことであり、印象も似たようなものだった(これもほとんど思い出せないが)。

そんな「トロン」の続篇が28年もの時を経て作られると聞いたときは驚いた。

ディズニーは何を考えているのか。世界を制覇したいま、過去の負の遺産を払拭すべく立ち上がったというところか。

よく考えると、確かに時期としてはおもしろい。主演のJ.ブリッジスが数十年のキャリアでついにアカデミー主演男優賞を射止め、3Dデジタルの覚醒元年ともいえる年だ。

音楽を仕切るのはDAFT PUNK。いまこの世界を表現するのに最適な顔の登場に、いやがおうにも期待は膨らんだ。

しかしだ。一応続篇なので、オリジナルをTV放映してくれないかなと思っていたのに、BSもCSもどこもやってくれない。

結局Wikipediaのみで復習して観賞に臨むことになったのだが、これが観て納得。

それは結局よく訳が分からないから。同じようなノリの前作を見せることで、客を減らすことを危惧したのではないか。

映像はきれいだ。コンピュータの中の世界で繰り広げられる攻防は、これぞデジタルであり、テーマパークのアトラクションとしたら「超」の付く目玉になるかもしれない。

しかし前作同様、プログラムの擬人化やシステムの映像化を含めた映画全体の構成については、まじめに作り過ぎたがためにかえって中途半端になってしまった感が拭えない。

主人公・サムは訳の分からない世界に放り込まれながら超人的な適応力を発揮する(どこか「アバター」的)。内部世界を取り戻し、父である創造主ケヴィン・フリンとともに現実世界へ帰るため無謀な戦いへ挑む。

暴走し内部世界を制圧したはずなのに、力を生かし切ることなく一人で戦う化身クルー。北朝鮮を彷彿とさせる巨大軍隊の映像が一瞬出るも機能せず。

物語を見返せば確かに辻褄は合っているのだが、映画館で見せられるとすっと入ってこない。擬人化されたプログラムが現実世界へ移行した後の描写も「?」だ。

期待したDAFT PUNKもあまり目立っていなかった。いっそのこと彼らのPV的に作ってしまえばよかったのにとも思うが、大メジャーと化したディズニーでそれは無理か。

これを観ると、「秘密結社鷹の爪THE MOVIE2 私を愛した黒烏龍茶」がいかに傑作であったかが分かる。無理のある世界観の描写はほどほどで抑えなければいけないのだ。

(65点)
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2 コメント

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こちらこそお世話になりました。 (クラム)
2010-12-31 15:50:18
mezzotintさん、こんにちは。

いよいよ2010年も終わりですね。
この映画が一年の最後だとすっきりしないのではないですか?
プログラムの中の世界を描くという発想だけはとても買うのですが。

関東地方は例年のとおりからっからの晴天です。
特に今年は、他の地方の方に申し訳ないほどの穏やかさです。
来年はどんな一年になるのやら。
また年が明けましたらごあいさつに伺います
返信する
ありがとうございました♪ (mezzotint)
2010-12-31 11:08:38
クラムさん
おぉ~クラムさん、ゲーム好きでも今一つ?
私はゲーム自体が分からないのもあるのですが、
どうもこのプログラムの世界が人間臭さを
感じるものではないので、、、。あまり好きには
なれませんでした。映像は美しいんですけどね(笑)
こちらは大雪です。現在も降り続いています。
こんな大晦日は初めてです。1年間ありがとう
ございました!クラムさんも良いお年を!
また来年も宜しくです
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