日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

そして 誠光社へ

2020-12-09 | リブレリア
ガーディアン紙による「The world’s 10 best bookshops」にも選ばれたことのある、京都の『恵文社』。
はじめてここを訪れた時の新鮮な感動は今でも反芻できるほど。
沢山の本がありながらも駅前にある大きな書店とは違う独特な品揃えであり、ピンと張り詰めたような静寂さと柔らかな時間がまみえていて特別な雰囲気を作り出していたのだ。少し昔の辻仁成・江國香織の『冷静と情熱の間』という小説のタイトルを思い出す。
古書と雑貨と新刊が絶妙に溶け合って整然と並んだ本棚は、まだ見ぬ世界への扉が並んでいると同じことだ。
開けたいと思える扉がここには必ずある。
恵文社にはそんな扉を沢山持つ本が醸し出す期待みたいなものが満ちているからいつだって行きたいと思わせる。

そんな恵文社の名物店長 堀部篤史さんが独立して誠光社という本屋をつくったのは数年前。
恵文社の恵文社たるコアが動いて、恵文社イズムを色濃くより濃密にした本屋が新しく京都にできたということだ。
行きたい!と思うのは必然であろう。



本に対する造詣と愛情が色濃く滲み出るような文章を書く人が選ぶ本はどんな扉がついていて、その先には何が見えるのだろう。
店主堀江さんの文章は文庫の解説だけで一個の読み物だし、そこから本屋の矜恃と覚悟と未来が見えるからいつだって何かを期待する。
新しい扉が開かれることを。


そうだ、誠光社の扉を開きに。





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水で、火で消えゆく言葉

2020-12-09 | リブレリア
尾道 20dbで手に入れた水に文字が漂う水温集。
儚くて、不思議な一冊。
もったいなくて水にページをはなつことができないけど、その刹那をたのしみたいと強く思う。
本に出会うということはいつだって一目惚れに近い。
新鮮な驚きと確かな確信を持って惹かれてゆく。
いつもはそれが感覚の中ではじけてなくなっていくのに、この本の言葉は事象として散ってなくなるから面白い。
いろんな思いがない混ぜになった感情が水に溶けていくということ。





さて、もう一冊。
千葉のmitosayaから取り寄せたもの
本に火を放てという。
水で消えゆく言葉の次は火で消えゆく言葉。
火で立ち上ってゆく詩、レモンの香り。




果実は空に投げ たくさんの星をつくること





消えゆく言葉は事象で残像は心象であり、
失われるものほど記憶にのこりけり。
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