日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

ああ、金色夜叉

2014-05-04 | ドレステリア
かくしてかれよりこれに伝え、甲より乙に通じて、

「金剛石!」
「うむ、金剛石だ」
「金剛石??」
「成程金剛石!」
「まあ、金剛石よ」
「あれが金剛石?」
「見給へ、金剛石」
「あら、まあ金剛石??」
「可感(すばらし)い金剛石」
「可恐(おそろし)い光るのね、金剛石」
「三百円の金剛石」

瞬く間に三十余人は相呼び、相応じて紳士の富を謳へり。





これを『金色夜叉』状態というのである。
泉鏡花の金色夜叉にこんな文章があったことを川上未映子のコラムで知る。
さすが小説家。
ティファニーでダイヤモンドに悶絶する様を泉鏡花の金色夜叉でたとえるとは。
ティファニーで金剛石(ダイアモンド)に出会った状態をひとり『金色夜叉』状態と称していたのだ。



またしても、またしてもティファニーである。

 このあいだある女性誌の特集でごろりとしたダイヤモンドをつけて撮影する機会があったのだけど、指に嵌(は)めるやいなや「成程(なるほど)金剛石!」「まあ、金剛石よ」「あれが金剛石?」「見給(たま)え、金剛石」「あら、まあ金剛石??」「可感い(すばらしい)金剛石」「可恐い(おそろしい)光るのね、金剛石」と脳内はひとり『金色夜叉』状態に沸騰し、それがもう、綺麗の何のって。



朝日新聞 川上未映子 「おめかしの引力」より抜粋





流石にあたし、金剛石で悶絶することは未だかつてないけど、この状況にいたく共感したのである。
それ以来、何にか気に入ったものを見つけるとこの金色夜叉の一幕があたしの脳内で再生されるようになった。
金剛石がありとあらゆるものに置き換わり・・・


「SRETSIS!」
「うむ、SRETSISだ」
「SRETSIS??」
「成程SRETSIS!」
「まあ、SRETSISよ」
「あれがSRETSIS?」
「見給へ、SRETSIS」
「あら、まあSRETSIS??」
「可感(すばらし)いSRETSIS」
「可恐(おそろし)い光るのね、SRETSIS」
「九千円のSRETSIS」

  



というわけで九千円+消費税のリングを買ったのである。
しかもx2 リング部分の★が可愛い(すばらしい)。
金色夜叉が書かれたこの時代、消費税はなかったのだな、今では300円は324円だなあと馬鹿なことを想いつつあたしもひとり「金色夜叉」状態。


  

ついでにオリエンタルなドレスコートを目にして金色夜叉状態再び。


「ドレスコート!」
「うむ、ドレスコートだ」
「ドレスコート??」
「成程ドレスコート!」
「まあ、ドレスコートよ」
「あれがドレスコート?」
「見給へ、ドレスコート」
「あら、まあドレスコート??」
「可感(すばらし)いドレスコート」
「可恐(おそろし)い光るのね、ドレスコート」
「二万七千円 税別のドレスコート」




colette malouf (コレット マルーフ)の売り場でも再びの再び



「カチューシャ!」
「うむ、カチューシャだ」
「カチューシャ??」
「成程カチューシャ!」
「まあ、カチューシャよ」
「あれがカチューシャ?」
「見給へ、カチューシャ」
「あら、まあカチューシャ??」
「可感(すばらし)いカチューシャ」
「可恐(おそろし)い光るのね、カチューシャ」
「一万八千円 税別のカチューシャ」



ああ、鬼が見える。 金色の。












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