日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

9月1日の風

2010-10-13 | リブレリア
どっどど どどうど どどうど どどう


宮澤賢治 「風の又三郎」の冒頭です。
今年、夏に旅行した時、盛岡で光原社に立ち寄る。
ここは宮澤賢治の「注文多い料理店」の初版出版社だったところ。
今では民藝を扱うショップと珈琲屋さんになっています。
まるで宮澤賢治の童話のようなやさしい空間。
今日のような肌寒い初秋の日も陽光滾る、夏の盛りにも静かな空気が流れています。
その時、賢治の作品を読み返そうと決める。


岩手は宮沢賢治の故郷であり童話の舞台。
朴訥とした東北弁は賢治の童話のように温かく素朴でやさしい。
時には難解な東北弁ですが、それもまたいいのだ。
耳に心地よい不思議な言葉は賢治の描く物語の世界の言葉となって響く。
東北の方言といってしまえばそれまでだけどエスペラント語の知識を持つ
作家は東北の土着の言葉とそれを併せより濃い物語の世界を創り出す。

イーハトーブもエスペラント語による造語。


久しぶりに読み返す宮沢賢治の作品。
セロ弾きゴーシュ
注文の多い料理店
風の又三郎
銀河鉄道の夜

華やかではない。
劇的でもない。
時にもの悲しく、洒脱で素朴。


文章ををたどるだけできちんと映像がついてくる物語です。
個人的に宮沢賢治のの作品ではどんぐりと山猫
そして夜鷹の星がすきだ。
小品ではあるけど秋の夜長にしんみりと染み込むお話です。


風の又三郎は9月1日の風からはじまって9月16日迄の物語。
夏の盛りに読もうと決めて、9月1日から読み始める。

そしてあっという間に10月の夜長へ。
今日こそ読み終わろう宮沢賢治の作品集。