原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

岸田首相は、自衛目的ならばミサイルを撃ち込んでも「憲法の範囲内」と繰り返すが…

2023年02月25日 | 時事論評
 表題に関する2023.02.22付朝日新聞「天声人語」の内容を、以下に引用しよう。


 国会でのやりとりを見聞きしてて、どうも腑に落ちない。 憲法9条と敵地攻撃能力の関係についでである。 自衛のためならば、ミサイルを撃ち込んでも「憲法の範囲内だ」と岸田首相は昨年来、繰り返している。 本当だろうか。
 根拠にあげられているのは、1956年の政府見解だ。 たしかに当時の鳩山一郎首相は国会で「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨だとは、とうしても考えられない」との見解を示し、理論上は敵基地攻撃をできるとした。 だがこれには、仰ぎ見る程の高い関門がある。 鳩山氏は同じ答弁で、実行できるのは「他に手段がない」時だけだ、とも言っているからだ。 国連も助けてくれない、日米安保条約もない、救いの手が全くない。 そんな場合だと政府はその後、説明してきた。
 いま国連は存在する。 何より5万人超の在日米軍がでんと駐在している。世界各国の中で最も多い。 築きあげて来た見解と違うじゃないか、と野党が先日の国会で問うた。 すると岸田首相は、いまや米軍に依存せずに「自ら守る努力が不可欠だ」と答えた。
 ならば、政府は憲法解釈を変えた、と考えるのが普通だろう。 だが、首相は「変更しておりません」。
 単に憲法の議論を避けただけではないか、と疑いたくなる。 
 国家権力を縛るための憲法の解釈を、時の政権が勝手に曲げる。 そして曲げたことすら認めない。 罪は二重に重い。

 (以上、2023.02.22付朝日新聞「天声人語」より引用したもの。)



 原左都子の私見に入ろう。

 この私は我が国の憲法論議に関しては、過去より一貫して「護憲派」を貫いてきている立場だ。
 その身にして特に国政選挙等に於いては、その思想に近い党派の候補者に一票を入れたりもしている。

 その立場からすると、現在の我が国首相である岸田氏の「憲法思想」の程が実に分かりにくい。
 上記朝日新聞記事内に書かれている通り、“自衛のためならば、敵基地にミサイルを撃ち込んでも「憲法の範囲内だ」と昨年来のうのうと繰り返しているくせに。
 岸田首相は「憲法解釈を変更していない」と国会答弁でのたまう始末だ。

 これでは朝日新聞天声人語に書かれている通り、岸田首相とは単に“憲法議論”を避けたいだけと国民から疑われてもやむを得ないだろう。



 世界に目を向ければ、プーチン率いるロシアがウクライナに侵攻してから既に1年が経過してしまった…  
 根拠無きプーチンの身勝手な主張からウクライナ侵攻が始まって以降、その収束の出口がまるで見えない状況下にある。

 そんな厳しい状況に世界人民が震撼している折の、我が国の首相による「自衛のためならばミサイルを撃ち込んでも“憲法の範囲内”」発言…


 まったくもって国家を束ねる立場にある人間がせめても、自己の発言は確固たる責任所在の下に発して欲しいものだ。
 まさに、国家権力を縛るための憲法の解釈を時の政権が勝手に曲げた挙句、その事実すら認めない。
 岸田首相の罪は二重・三重に重い。


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