(冒頭写真は、処理済み汚染水の海洋放出の流れのイメージ。 朝日新聞2021.04.14記事より転載したもの。)
冒頭より、汚染水海洋放出に関する漁業関係者のご意見をネットより要約引用しよう。
東京電力福島第1原発事故の後、今もタンクにたまり続けている汚染処理水。その処分を巡り菅義偉首相は7日、海洋放出を念頭に「近日中に判断したい」との意向を表明した。事態が大詰めとなる中、東北の漁業関係者らは憤り、落胆の思いをにじませている。
福島県浪江町の某漁港は東日本大震災の大津波で壊滅した。その後、荷さばき施設も復旧し、2020年4月には9年ぶりに競りが再開された。最近は「常磐(じょうばん)もの」として評価が高いヒラメなどは値が戻りつつあった。そんな需要動向に海洋放出は影響を及ぼしかねない。相馬双葉漁協請戸地区代表者は「多かれ少なかれ風評被害が出る。我々と意見を交わさないまま結論は出さないでほしい」と憤る。
原発から南に約55キロ離れたいわき市の小名浜港働く紡糸も風評被害を心配する。「原発事故から10年かけ、やっと魚種も増えてきたところなのに」。今も「放射能は大丈夫か」と聞く客もいて、中垣さんはそのつど魚の安全性を説明してきたという。海洋放出で、積み上げてきたものが台無しになるのではないか。そんな心配がよぎる。
宮城県の漁業関係者の間でも困惑の声が出ている。女川町の60代の男性漁師は「隣県の漁業者として海洋放出は断固反対だ」と語気を強める。原発事故後、三陸沿岸でもヒラメやタラなどから放射性セシウムが検出されたことがあり、風評被害で韓国向けのホヤの輸出は止まったままだ。男性漁師は「売れ残ったホヤの廃棄処分をせざるを得なかったこともある。そんなに安全というなら、東京湾に運んで放出すればいい」と語る。
宮城県の村井嘉浩知事は7日、記者団の取材に「首相の口から直接、漁業関係者に話があったということは重く受け止めなければならない」と述べた。同日夕には梶山弘志経済産業相から電話があったとした上で「(海洋放出が)安全であったとしても漁業関係者は不安に思っている。安全性についてしっかり説明してもらいたい」と伝えたという。
(以上、ネット情報より要約引用したもの。)
一旦、原左都子の私見だが。
当該問題の政府方針を決定・発表する場合、当然ながら一番の被害を被る原発周辺の漁業関係者に真っ先に打診を図るべきだ。
にもかかわらず、それらを全く成さないままの昨日の唐突な決定発表だったことに驚かされる。
菅首相とは、どうも国民との対話が苦手(と言うよりも対話を“嫌っている”と言った方が適切か?)のイメージがあるが、これでは地元の反対や不安に上塗りをする結果となったことだろう。 もう少し地元の“痛み”を理解した対応が出来ないものか?
「そんなに安全というなら、東京湾に運んで放出すればいい」。
まさに地元男性漁師氏が仰るとおりだ。
とにかく政府も東電も海洋放出決定を発表する前に、地元との対話が必要だったはずだ。
あるいは「飲んでも問題無い」との無責任発言をしでかした麻生副総理兼財務相に、中国首脳や韓国国民から「汚染処理水が安全と言うならば、貴方がそれを飲みなさい」との非難を受けたとの報道もあるようだが。
こんな処で、軽薄無責任発言を慎むべきなのは当然だ。
まとめとして、2021.04.14付け朝日新聞・社説「処理水の放出 納得と信頼賭けたまま」と題する記事の一部を以下に引用しよう。
処理水海洋放出に懸念を抱く国民が多く、強い反対がある中での今回の決定だ。 政府や東電は社会の理解を得ぬまま放出すること無く、対話を尽くす責務がある。
事故以来、溶け落ちた核燃料や地下水流入で汚染水は増え続け、処理済み汚染水のタンクは1千基を超えた。 東電は2022秋にタンクが満杯になると説明する。
経産省によると、処理で取り除けないトリチウムを含んだ水は国内外の原発でも放出されており、周辺への影響は確認されていないという。 政府や東電は風評被害を抑える説明をし、漁場などの放射性物質の小差も拡充していく。 被害があったら東電は、地域や期間、業種を限らず賠償するという。
それでも住民や消費者が不安を抱くのは当然のことだ。 事件を起こした原発からの放出であり、いつまで続くかも分からない。 初めての試みで不測の事態も心配される。 東電への不信も根深い。
政府や東電は、納得が得られるまで対話を尽くすとともに、放出する場合は客観的で信頼できる放射性物質のモニタリング体制を整えるべきだ。 積極的情報公開を実施する必要がある。
22年秋にタンクは満杯になるというが、新たなタンクを設けるなど更に貯蔵する余地はないのか。 期限ありきの放出は許されない。 地元の理解が不可欠であることを、政府と東電は改めて胸に刻むべきだ。
(以上、朝日新聞2021.04.14付「社説」より一部を要約引用したもの。)
原左都子の考えも、上記朝日新聞「社説」最後の記述と重なる。
過去に医学業務にて放射性同位元素を取り扱った経験がある身として、いくら薄めるとは言えども、それを海洋放出するなどあまりにも無謀過ぎないか?との感覚を真っ先に抱く。
ここは他に妙案が無いのならば、引き続き「タンク」を新設してそこに貯め続けるしか方策が無いのではなかろうか、と結論付けたくなるのだが…
タンクを作るのに膨大な費用がかかる??
人為的事故ともいえる「福島原発事故」を東電や政府が発生させておきながら、それは禁句では無かろうか?
(安倍政権下で)五輪など誘致している場合では無く、元より原発事故後処理に多大な予算を計上しておくべきでは無かったのか?!?
とにもかくにも、まさに地元の理解が不可欠である。
それを最優先して、東電も政府もこの問題を処理するべきだ。