そんなことを言われたら、この原左都子など…
特に職業人になり、曲がりなりにも“人の上に立つ”立場になって以降は、“人に良くする”事こそが生業であり生き甲斐であることを、否定されている気分にすらなる。
昨日2020.10.10付朝日新聞“悩みのるつぼ”の40代パート女性による相談の内容を、以下に引用しよう。
40代女性だが、主人の転勤で5年前に故郷を離れ主人の実家にある関東に引っ越して来た。 親や友人と離れることは寂しかったが、夫の仕事のやりがいを考え、潔く決断したつもりだった。
私は正社員だったが仕事を辞めた。 こちらでは正社員の仕事は見つからず、パートの仕事に就いて3年になる。 職場の方に良くしていただいている。
主人の仕事はそれなりに順調で、子ども達は学校生活を楽しんでいる。 自分は世間的に見て幸せな方だと思うが、その幸せを十分に感じることが出来ない。
主人は移住に当たり、定年後は私の故郷にUターンすることを口にし、私もそれを願っていた。 しかし今は、その可能性が低いと思うからだ。
子ども達はこちらの大学へ進学して就職し、そして結婚も… (一旦注釈だが、この箇所が原左都子には分かりにくい。 要するに相談女性にとってそれを想像すると寂しい、と言うことなのだろうか??)
今更失ったものの大きさに愕然とする。 故郷の街の光景が頭を過ぎり、年老いていく両親に申し訳なく、自分のあの時の決断を後悔している。
主人に「あなたはいいね、実家も近くて幸せよね」と余計な事を言う始末。 今に不満は無いのに、未来を不安に思い、過去を悔やみの繰り返しだ。 どうしたらいいのか。
(以上、“悩みのるつぼ”相談内容を引用したもの。)
一旦、私見に入ろう。
何処までも“後ろ向き”の女性のようだ。
この相談内で相談者が肯定的に捉えているのは、「パート現場で職員の方々に良くしていただいている」の箇所のみだ。
貴女自身から、職場の方々に“良くしてあげよう”とはたらきかける場面は皆無なのだろうか?? そんな状況下で、相談者自身の生きるポリシーは一体何処にあるというのだろう。
子どもさん達が今後成長していく様など、親にとっては何にも増してかけがえのない幸せであるはずなのに。 この女性は、何と! それさえも自分からいずれは遠ざかって行き“失う存在”でしかないようだ。
ご主人定年後に自身の故郷へ戻ることのみにしか、この女性は自身の“生き甲斐”を見いだせずにいるようだが…
何だかこの女性、郷里を離れて以降は“寂しさ”にがんじがらめになっている様子だ。
今回の回答者は、文筆業・清田隆之氏であられるが。 その回答内容のごく一部を、以下に紹介しよう。
得られたかもしれない価値を上回る今を生きない限り後悔は拭えない。つまり現在の価値を高めていくのが最良の方法と思われる。
(相談者自身が)興味のあることに触れ、欲望のおもむく方向に進んでみる。 これからは「家族のため」や「世間的にみて」は気にせず、時間とエネルギーを自分のために使っていくことが大事ではないかと思う。
家族の円満をキープしたままそれが出来たら最高だがもし夫の理解を得られない場合は、“ひとりUターン”もありだろう。
(以上、清田氏の回答内容より一部を引用したもの。)
この清田氏のご回答を読んで、私は過去に経験した“とある事件”を思い起こした。
この相談女性と同様に、自身のご主人と子どもにしか興味がなかった女性がご亭主の転勤に同行し上京したのだが。
とにかく寂しさにがんじがらめになっていた時に、(そのいきさつの詳細を私は知らないのだが)偶然行ったカラオケで男性に声を掛けられたようだ。 な、なんと、その女性が採った方策とは。 その男性と不倫に走るとの突拍子もない行動だったのだ。
しばらくして、女性のご主人より独身の我が家に電話が掛かってきた。 「嫁がお宅に行っていませんか?」
この返答に困惑したが、「いえ、いらっしゃっていません。」 ご主人曰く、「何処か心当たりはないですか?」 私応えて、「申し訳ありませんが、全く存じません。」
この電話の後で、すぐに女性の居場所を推測出来た。 不倫相手と一緒に決まっていると。
その後音信不通で、この女性とはずっと無縁だ。
いや実際、それまで家族にしか興味が無かった女性が転勤族のご主人に連れられて郷里よりも都会に位置する場所へ移住することとは、過酷な現状なのかも知れない。
その寂しさを如何に紛らわすのかが、一番の課題となろう。
それでも朝日新聞相談者女性にアドバイスしたいのは、まさかまさか“不倫”だけは避けようとしか言いようがない。
これぞ、不幸のドツボにはまること間違いない。
せめてもの原左都子のアドバイスとしては。
相談女性が現在唯一所属しているパート職場にて、“他者から良くしてもらう事”ばかりに期待していることなく。
ご自身から少しでも周囲に積極的に声かけをする等の努力をして、自分の世界を少しずつ広げていっては如何だろうか?