原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

一般人も、歯が命?!!

2009年04月29日 | 医学・医療・介護
 自分の血液を“栄養源”の一つとする機会は滅多にないかもしれない。

 好き好んでそうした訳でもないのだが、夕方歯科にて抜歯した後の歯茎から血液が少量ずつ滲み出るのだ。何を食べても何を飲んでもその血液が入り混じり、すべての食べ物がヘモグロビンの鉄分を豊富に含んで血生臭い味と化す、というその日の私の何とも不本意な夕飯だったという話である。


 一昨日、私は我が人生における9本目の抜歯をしてきた。
 人間の永久歯は親知らずを入れて全部で32本。そのうち既に9本抜歯したということは、私に残された歯はあと23本しかない! しかも、残された歯のほとんどが既に虫歯でボロボロ状態… 
 行政や歯科医師会は、80歳にして20本歯を残せるように日頃から歯の健康を保つことを以前より国民に奨励している。 80歳までにまだウン十年の年月を生き延びねばならぬ私であるが、果たしてこの歯の状態で今後我が生命を保持し得るのか??
           

 ではここで、私の痛々しい9本の抜歯遍歴を簡単に披露することにしよう。

 まず1本目は早くも高校生の時のことだ。奥歯の1本の虫歯が悪化して痛み出した。元々歯並びが悪い私の口の中で、その奥歯は上顎の歯列の内側に生えていたのだ。噛み合わせにはまったく貢献していないその虫歯を、歯科医師の判断で抜歯することになった。この奥歯は口の内側に向かって近隣の奥歯と根が交錯して生えていたため、抜歯には大いに難儀し1時間半を要した。 抜歯後私は発熱し寝込むこととなる。

 続いて大人になってから親不知4本を抜歯した。これら4本は完全に成長せずして既に虫歯となり、4本とも抜き去った。

 そして10年ほど前に奥歯の一本の根が真っ二つに割れ、歯茎のトラブルが多発し噛む力も弱まったため抜歯しブリッジにした。 もう一本の奥歯も同様に根が真っ二つに割れたのだが、歯科医師の判断で歯の半分だけ残すことになり、傷みの激しい半分のみを抜歯した。ところが残した半分も1年後に使い物にならなくなって結局抜歯となり、その半分の歯で支えていた自由診療のブリッジ代金 ¥100,000- はわずか1年で泡と消え去った… 

 そして今回も同様にブリッジを支えていた2本の奥歯の根が真っ二つに割れ、2月に1本、そして一昨日残りの一本を抜歯したといういきさつである。自由診療代金合計20万円のブリッジの寿命は、今度は3年間だった…。
 今後私は、一体いくらの金を歯の治療に注ぎ込めば済むのやら… 


 潔癖症で几帳面な性格の私は、決して日頃の歯の健康維持を怠っている訳ではない。幼少の頃より歯磨き習慣は十分に身に付いている。それでも遺伝的に歯が悪いと思われる私は、どうしても虫歯の進行をくい止めることができないでいる。
 現在では糸ようじに歯間ブラシ等々の歯のケア製品を総動員して、食後の歯磨きの都度丁寧な歯の手入れを励行している。

 それでも歯の悪化を防ぎ切れない理由として、元々虫歯になりやすい口内環境であるのに加え、子どもの頃より“歯軋り”の悪癖があるせいと自己分析している。“歯軋り”や歯を食いしばるという行為は、歯と歯茎に大きなダメージを与えることは既に知られているが、この悪癖により私の奥歯の根が次々と真っ二つに割れて、抜歯に至らざるを得ないものと自分では推察している。
 歯を食いしばることに関しては自分でコントロールが可能なため、物事に熱中しやすい私は、常に意識して歯をリラックスさせることを心がけている。
 一方で“歯軋り”に関しては、睡眠中の無意識の行為であるが故に自己コントロールが困難だ。日頃のストレスが夜中の“歯軋り”に連動しているとも考えられるため、日頃よりなるべくストレスを溜めないように心がけたいものだが、人間そうもいかない。


 一昨日の抜歯後、案の定夜中から発熱し、昨日は37℃台の微熱でパソコンの画面を見ると頭痛に悩まされた。
 抜歯後の歯茎が安定して新しいブリッジを作れるまでの今後1ヶ月以上の期間、私は片方2本の歯抜け状態を余儀なくされる。 これがまた体に悪い。食べ物が十分に噛めないため食事がまずいし、胃が消化不良状態となり全身に悪影響を与える。
 まさに、“無くしてわかる親と歯のありがたさ”だ。
 歯とは人間にとっての生命維持の源であることを、身をもって実感させられる。

 「芸能人は歯が命」とのCMのフレーズが昔あったが、芸能人のみならず一般人にとっても“歯が命!”である。 
Comments (5)