原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

校長、そりゃあみっともないぜ。

2008年03月13日 | 教育・学校
 教え子だった女性を脅して交際を迫ったなどの理由で、埼玉県川口市立高校校長が3月8日、埼玉県警に逮捕された。
 埼玉県警の調べによると、この校長は昨年11月、12月に自らが女性に対して行ったわいせつ行為の様子などを記したメールや文書を数十回にわたって女性に送り、「何があっても知らないよ」などと脅していたとのことである。メールは校長室のパソコンから送信していたらしい。
 そもそもこの校長はこの女性が在校生だった頃から「勉強を教えてやる」などと言って近づき、みだらな行為をするようになったとされる。卒業後も交際を迫り、女性が嫌がると「殺すことは平気だ」などと度々脅していたという。
 以上はこの事件についての3月9日朝日新聞朝刊記事よりの抜粋である。


 話が変わるが、我が子が在籍していた小学校の校長が現職中に教職員に対するセクハラ行為で懲戒免職となったという事件を、我が家でも身近に経験している。

 私は子どもが幼少の頃から教育問題等社会問題についての投書投稿、意見書提出活動をライフワークとしている。 その活動の一環として、このセクハラ事件の直前にこの校長宛にも学校運営に関する意見書を提出し、実際に校長と面会して討論させていただいた経験があった。その後、この校長から私が提出した意見書に対する便箋3枚に渡る直筆の回答書を頂戴した。その内容は私の意見書の趣旨を全面的に受け入れ、自らの学校運営の不手際を詫びるものであった。
 私は子どもが現在まで在校した小中の全校長に様々な意見書を提出しているのだが、これだけ誠意ある回答をいただけたのは、このセクハラ校長と、現在子どもが在学中の私立中学の校長からのみである。(現在在学中の私立中学の校長は教育のスペシャリストでいらっしゃる等別格の存在なのだが)、公立校の校長が誠意ある回答をしてきたことに私は心底驚き、感激したものである。大抵の校長は「どうか学校運営にご理解、ご協力を…」と意見書を受理したこと自体をもみ消すか、あるいは決して自らの非を認めないことが学校の最高責任者としての使命と勘違いしている校長ばかりなのだが…。

 話を本論に戻して、上記のようないきさつがあったため我が子の元在籍校のこのセクハラ校長の懲戒免職処分には私は驚きを隠せなかった。私はセクハラ事件の詳細を把握していないのだが、誠意ある校長がなぜそのような下劣な行動に走ってしまったのか…。
 仕事の能力と性欲は別物なのか。そうであるとしても、なぜ抑えるべきときに性欲が抑えられなかったのか…。


 この川口市立高校の校長も多方面で評判は良かったらしい。
 だが、報道による限りこの校長の脅迫行為は悪質であり、教育者しかも学校の最高責任者という立場にある人間として言語道断、あってはならない事件である。

 私も過去に私立女子高校で、非常勤講師として女子高生の実態に直接触れた経験がある。高1あたりはまだまだ子どもっぽくてあどけなさが残っているのだが、高3ともなると外見はもう立派な“女”である。私などよりよっぽど色っぽい子がざらにいて、教室でフェロモンを放出しまくっている。同性である私でさえ、もう圧倒されっ放しである。男の先生達はこんなお色気ムンムンの女生徒を相手に、自制心を働かせながらの指導はさぞや大変であろうと、同情さえしたものだ。
 ただ、女子高生とはそんな外見とは裏腹に内面はやはりまだまだ子どもなのだ。どれだけ女生徒がフェロモンを放出していようと、教員は生徒を“女”として見てはいけない。教員である以上、あくまでも生徒の内面とかかわるべきだ。 内心の自由は許すとしても、生徒を“女”として捉えてしまった思いを教員という立場の下で決して男女関係の実践に発展させるべきではない。ましてや、深追いして脅迫するなど言語道断である。

 教員たるや生徒に対しては性欲のある人間である前にあくまでも“指導者”であるべきだ。今回の校長の脅迫行為は誰が考えてもみっともなさ過ぎる。いや、“みっともない”などという甘っちょろい言葉では済まされない事件である。
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