原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

サンバクラブリーゼンシー

2007年11月18日 | 恋愛・男女関係
 ウィークエンドのこんな夜は、いつもとちょっと趣向を変えて、心ときめいた青春の一ページでも綴ってみましょう。 


 ひと昔前の話になるが、新宿西口超高層ビルの一角にある外資系Hホテルの別館に、「サンバクラブリーゼンシー」というディスコがあった。ここはディスコとはいっても顧客の年齢層が若過ぎず比較的落ち着いた雰囲気が特徴で、当時、一部のアダルト層にはひとつの隠れた人気スポットだった。

 その日、僕は会社の社員表彰式がHホテルであった流れの2次会のため、表彰式に出席した仲間数人とこの「サンバクラブリーゼンシー」に繰り出していた。
 仲間と盛り上がっていると、隣の席に女の子二人連れが案内されてきた。黒い服を着た方の女の子のノースリーブのすらりと伸びた繊細な腕が、一瞬にして僕の目に焼きついた。年齢的にもちょうど狙い目なのだが、向こうは二人連れ、こちらは数人、人数が合わない。迷ったが、別グループの男連中に先を越されてもしゃくだし、僕はグループのリーダー格でもあったので、思い切って早速声をかけた。ふたりは快く応じてくれ、いっしょに飲むことになった。
 そのうち、運がいいことに僕の仲間のうち若い連中が先に帰ることになり、うまいぐあいに2対2になった。 女の子たちの酔いも回り始め、さらに盛り上がる。僕はどうしても黒い服の彼女の細い腕が気になる。どうにかして触れたい。だんだん後のことはどうでもよくなり、頭の中はその下心だけになっていく。彼女の腕に触れる妙案はないものかと思いをめぐらせているうち、ウィスキーの水割りを作る氷を利用する方法を考え付いた。氷の冷たさを利用して一瞬にして腕を握ろうとたくらんだのだ。これが思った以上の大成功で僕は彼女の腕を握ることができた。

 という訳で、僕の「サンバクラブリーゼンシー」の思い出は“彼女の細い腕”と“氷”なのである。

 その後、二人はどうなったかって?  それは、 ひ・み・つ… 

 
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