じんせい2度なし

かほぱぱの独り言

マーケティングの革新

2024年05月20日 | 本と雑誌

久々の読書録。
会社では一応マーケティングの業務に長く関わってきたつもり。
若手の社員から、
「マーケティングって何から始めたらいいですか?」
なんて問い合わせを受けることもある。
広告宣伝、販売促進、商品企画・開発、プロモーション・・・。
これらはマーケティングの大事な手段、手法ではある。
が、経験から目的や意義を曖昧なままにして、手段や手法から手を付けると痛い目にあう。
個人的には、
「マーケティングとは、商品・サービスとお客様との関係性を考える事」
「我々が提供しているサービスとは、何なのか」
を問う事ではいだろうか。
その基本を教えてくれたのが、セオドア・レビットが書いた「マーケティングの革新」。
鉄道事業が鉄道だけ(線路と機関車)にしか目を向けなかったために、衰退してしまった事例から、経営者の近視眼を強く戒めている。
1990年頃、本社に異動して当時の上司から勧められてこの本を読んで、マーケティングの基本や面白さに目が開かされたのを思い出す。

マーケティングの基本・本質を理解するうえで、とても役に立つと思う。
かなり古い本ですが、今でも新しい気付きを与えてくれる。
このあたりから始めると、マーケティングはとても魅力的なモノになるんじゃないだろうか。


遺言

2024年02月11日 | 本と雑誌

先月、65歳で世を去った人気の経済評論家・山崎元さんの最後の書き下ろし作品『経済評論家の父から息子への手紙』が2月15日(木)に発刊される。

この本は、大学に合格した息子へ手紙を送ったことをきっかけに、闘病中に書き下ろされたもの。
この度、実際に息子へ送った手紙「大人になった息子へ」全文が期間限定で公開されたので、備忘録としてブログに掲載させていただく。
少し偏った考えの部分もあるが、とても素敵だったので。
自分と比較するのもおこがましいが。

▶お祝いの言葉
あらためて、いろいろなことに、「おめでとう」と申し上げます。
先日は、貴君の誕生日だった。
そして、海城中学高等学校を無事に卒業した。
何よりも東京大学に合格して、これから入学を迎える。
考えてみると、入試に臨んでいたのは17歳の時だった。
早生まれの不利を克服してよく合格したものだと思う。
東京大学の合格には複数の大きな意味がある。
私としては、何よりも、自分の息子が目標を立てて、努力してその目標を達成したことを喜びたい。
一連の努力と達成は、人生にあって自信の一つになるはずだ。
この経験を一つ持っていることは大きい。
第一志望の大学でもあったことだし、東大に合格しておくと、将来学歴を気にする必要がなくなることは精神的なメリットだ。
また、実利として、東大の同級生は面白いはずだ。
たとえば、「偏差値66〜70」の人を集めた集団よりも、「偏差値68以上で、上は青天井」が集まると、勉強でも、勉強以外でも多彩な人物が集まる。
傾向として、頭のいい奴は、性格もいいし、面白い。屈折していないし、興味の対象に向かう余裕を持っているからだ。
「頭のいい奴が集まっている面白そうなグループ」があれば、臆せずに首を突っ込むといい。
仮に貴君がその分野の天才でないとしても、貴君には役割があるはずだし、天才君達が可愛がってくれるはずだ。
そして、気がつくと貴君のレベルも上がるし、財産になる人間関係ができる。
合格は、あくまでも貴君が自分のために努力して自分のために獲得したものだ。
そうなのだが、親にも余得がある。
何よりも気分がいい。
ことの善し悪しは別として、特に母親の方だが、世間では「東大生の親」というものにブランド価値がある。
父親の方も、「さすがですね」くらいには褒められることがある。
有り難く受け取っておくことにする。
合格に際しては、毎日弁当を作り、PTA活動などに参加して情報を集め、貴君の話し相手になり、といった日常を積み重ねた母ちゃんの貢献が大きい。
受験生として「母ガチャ」は大当たりだった。
感謝するといい。

▶育児の方針
父親として、貴君の子育てについて考えていることを記しておく。
率直に言って、私は「自分のような息子」が欲しかった。
息子が生まれて大いに喜んだ。
平凡だが事実だ。
自分の息子に対して是非やってみたかったのは、余計なプレッシャーを与えずに育ててみることだった。
子供の方では「プレッシャーはきつかった」と思っていたかも知れないけれども、父親側ではそう思っていた。
ここは、認識にギャップがあるかも知れないが、まあ聞いて欲しい。
私は子供時代に、愛情が深いけれども厳しい母親の「愛と脅しの日々」の下に育った。
そのおかげで頭が働くようになった面もあるし、対人的観察力が養われた面もある。
しかし、物事の見方が悲観的で、自己肯定感が低く、自分にも他人にも厳しい嫌な性格に育った。
もう少しおおらかに育つとどうだったのだろう、と思わなくもない。
私が東大に入ったのは、母親から離れて暮らすことが大きな目的の一つだった。
男の子にとって、早くから母親から離れて暮らすことは有益だ。
母親の物の見方の外に出ることが大事だからだ。
経済的な効率は悪いけれども、貴君に是非とも一人暮らしをさせたいのは、貴君に対する私の最後の教育方針だ。
現在の貴君にはこの方針を適用する価値がある。
何年か早く名実共に大人になるはずだ。
このアドバンテージは大きい。
因みに、私の父親はかつて教師だったこともあり、息子に対して大変よく関わったと思う。
息子の興味の先を見逃さずにあれこれを与えたし、キャッチボールも自転車乗りも気長に指導してくれた。
彼なりの思想や哲学を、頭のいい批判的な息子に対して背伸びをしながらも語ってもくれた。
私は彼が32歳の時の子供なので、富士彦さん(注:著者の父親)には体力が十分あった。
教職を通じて培った子育てへの思いが丁度いい程度にあった。
正直に比較するとして、父親としての息子に対する貢献では、私は私の父に遥かに及ばない。
父親としての私の点数は高くない。
それでも、少しは「男の子の父親」らしいことをさせてもらった。
それらしい気分を味わえた。この点は大いに感謝している。
既に10年前にすっかり肩がへたっていたのは誤算だったけれども息子とキャッチボールができた。
自転車乗りを手伝ったし、サッカーに至っては教えられることが何もなくてボールを目の前に呆然とする経験もあった。
卓球も少しやったか。将棋が共通の趣味になったのは、望外の幸運だった。
金玉の医者にも同行した。
これも父親の仕事だった。
一方、勉強は教えてやれなかったし、勉強を教えることを意図的に遠慮した。
自分の子供に上手く教えられる自信は全くなかったし、きっと逆効果になると思ったからだ。
これは、分かってくれていたと思う。
貴君の勉強については、電車のような興味のある対象を見つけてあれこれを覚えるようになったことで、先ず一安心した。
次に、コンスタントな努力ができて最後に一伸びして本番に強かった中学入試でもう一安心した。
その後は、期待通りの路線を期待以上に伸びてくれた。
貴君自身に底力がある。
受験勉強は辛かっただろうか。もっと別の分野に時間と努力を投入したかっただろうか。
端的に言って、経済的なコストパフォーマンスは、貴君の場合勉強が一番有利だったと思う。
世間一般でもそうした場合は多い。
競争が世界的になっていることを思うと、もう一段階他人に差を付けるための追加的勉強は、これまでの時間と努力の投資を活かす「有効な投資」になるはずだ。
興味のない分野は努力の効率が悪いので、興味のあるテーマを見つけて勉強するといい。

▶貴君の今後について
貴君はこれからどうしたらいいのか。
こちらから指示したり頼んだりしたいことは何もない。
好きなようにやってくれていい。
それがいいと思えば大学を中退してもいいし、学生結婚して孫でも連れてくるなら大変面白いし、才能があるかどうかに疑問があるけれども詩人だのアーティストだのを目指してもいい。
革命でもいい。
仮に、やったことが違法でも、その意図が理解できれば、私は息子の味方だ。
父親である私は、私自身のやりたいことをやればいいし、子供である貴君に引き継いで欲しいと思っている理想なり事業なりがあるわけではない。
貴君は「父の思い」にこだわる必要は全くない。
貴君が将来何をするかは興味を持って大いに楽しみにしているけれども、元気で生きていてくれたら満足以上だ。
親孝行は、18歳の時点でもう十分に済んでいる。
日本では、法的には18歳で大人だそうだが、大半の18歳が話にならないくらい未熟な子供であることを、貴君もご存知だろう。
だが、貴君には早く大人になって欲しい。
まだ慣れないけれども、私としても、息子を一人の大人として尊重したいと思う。
この手紙の宛名に「様」がついていることや、「貴君」という耳慣れない呼びかけは、それを表しているつもりだ。
幸い、息子は順調に育った。
背は父よりも高いし、父がかつて入りたかった東大の理類に入った。
将棋もまあまあ強い。
性格は父よりも遥かにいい。
こうした、自分の言わば「上位互換」の子孫がいることで、不思議な「生物学的安心感」とでも言うべき感情が生じている。
今回、私は癌に罹って、なかなか厳しい状況に立っているのだけれども、気分が暗くならないのはそのおかげだと思う。
一つお勧めを記しておこう。
子供はできるだけ早く持つといい。
私は一巡目の結婚の際も含めてだが、少し遅かった。
自由な時間を手放したくなかったから結婚が遅くなったのだが、結婚しても、子供がいても、自由にするといいのだ。
世間で言うと叱られそうだが、特に息子はいい。
自分の息子が可愛いと思う時に、かつて自分の父親は自分のことをこんなに可愛いと思っていたのかと感じ入ることがあるのだ。
強くお勧めしておく。
仕事は興味が持てて価値観に反しないものなら何でもいい。
面白ければ続けるといいし、面白くなければ変えたらいい。
簡単な話だ。貴君は面接に強いから転職は自在にできるはずだ。
お金の稼ぎ方では「株式」に上手く関わることがコツになる。
起業でも、ベンチャーへの参加でも、ストックオプションをくれる会社への転職でもいい。
私の時代は、出世したり専門家になったりして「労働時間を確実に高く売る」のが無難な道だったが、時代は変わった。
株式性の報酬が有利だ。
「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」ことを目指す古いパターンよりも、「自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る」のが、新しい時代の稼ぎ方のコツだ。
リスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった。
仕事で株式性のチャンスに恵まれない場合は、インデックスファンドの長期投資が効率のいい株式リスクとの付き合い方になる。
これは、凡人でもできるけれども、一見偉そうな他の投資よりも優れている。
お金にも働いて貰うといい。
以上、平凡だけれども、経済評論家としてアドバイスしておく。
貴君の今後が大いに楽しみだ。

▶私の今後について
私は今後どうするつもりか。
自分の残りの持ち時間を推測しながら、自分の行動選択を最適化するのが基本方針だ。
「やりたいこと」は持ち時間に応じて複数ある。
私のやりたいことは、(1)正しくて、(2)できれば面白いことを、(3)なるべく多くの人に伝える、の3条件に集約できる。
経済の仕組みや金融ビジネスの企みについて、他人よりも先に気づいて、できれば辛辣且つユーモラスに広く伝えることは張り合いがある。
一冊一冊の本や、一本一本の記事の目的はその点にあるつもりだ。
一例を挙げる。
仮に、私に時間とエネルギーがたくさんあれば、「マーケティングの効果を解毒するサービス」をビジネス化することに挑んでみたい。
世間が称えるマーケティングとは、「本来の価値以上の価格でたくさんのモノを売るための技術の集大成」だ。
「ボッタクリのテクニック集」だとも言える。
消費者は、マーケティングのおかげで、無駄なモノや無駄に高いモノを買わされている。
このマーケティングの効果を防ぐ免疫のような機能を果たすサービスがあれば、消費者に経済的な利益をもたらすはずだ。
利益を提供するのだから、ビジネスになり得る。
これを適価で提供する仕組みを考えて事業化したい。
だが、このビジネスを形にして、世界に大きな影響力を持つには、先ずアイデア段階から多大な時間と努力が必要だ。
最低10年は掛かりそうなプロジェクトだが、「余命10年」は今の状況では自信がない。
現状では、もう少し短期間でも効果の得られるプロジェクトに取り組むことになると思う。
私が池袋の家を出て一人で暮らすことにしたのは、時間と自由をより多く確保したいと思ったからだ。
仕事にも、趣味にも、生活にも、「もっとこうしたい」と思うあれこれがある。
例えば、近年、自分の趣味に使う時間が少なくなっていたのは一つの反省材料だ。
どの程度のことができるかは分からないが、父のやることを、興味を持って眺めていてくれたら嬉しい。

以上


趣味と仕事の本

2024年01月31日 | 本と雑誌

読書録を。
一つは、発売を楽しみにしているこちらの漫画本。

ロシアとの紛争を扱ったモノで、なんか現実感があるからハラハラしながら読んでいる。
もちろん、プラモデラーとしての視点も持ちつつ。
と、もう一冊は仕事関連のモノ。

電通さんとは、宣伝の仕事をしていた時に大変お世話になった。
東京五輪では色々あったが、彼等の仕事は素晴らしいと思っている。
プレゼンの資料にはいつも感心させられたことを思い出す。
会社でも、新サービスや新ビジネスをスタートする際には、様々なリサーチをする。
マーケティングリサーチって、専門的になればなるほど、フロントや幹部は「本当か」とか「それは違うだろ」みたいな意見を言ってくる。
 ※その意見も個人の狭い体験に基づくモノが多いと思ったが(叱られるなぁw)
また、なかなか理解・納得してもらえないことが多い。
アウトプットを会社の戦略会議やお客様への提案会議で使う事を徹底的に意識した手法を学ぶには、この本は秀逸だと思う。


マーケティングリサーチ

2024年01月21日 | 本と雑誌

たまには読書録など。
サラリーマン最後の仕事と覚悟を決めている取組分野は、現場の実態や課題は徐々に解明してきたが、全体像をきっちり把握するにはまだまだリサーチが必要。
僕に限らず、マーケティングを担当する部門で、調査やリサーチを担当することになり、サービスや商品の課題解決につながるリサーチを実施したい、リサーチ会社と対等に渡り合ってよい調査にしたい、そんな時に頼りになる本なのでは。 
「マーケティングリサーチの論理と技法(第4版)」

普通に調査をまじめに学ぼうとすると、統計学からスタートするわけですが、かなり専門的な広大な世界に迷いこんでしまって諦めちゃう、なんてことはよくある。
でも仕事は待ってくれない。
明日からやらないといけない時に、最低限の知識やスキルがないと、間違ったリサーチを行ってしまって、費用を無駄にしてしまうリスクも。
ここでは、クライアントの立場で必要な知識・情報・スキルを網羅的に記述されている。
理論的な背景や証明も添えてあり、とても親切な内容だ。
リサーチ会社の専門的な説明にもちゃんと付いていけ、なめられずに、相手の力を最大限に引き出すための最低限のベースを作ってくれるモノに仕上がっている。
お世話になった厳しい上司から、
「お前達のは、マが抜けて、マヌケティングなんだよ」
とよく叱られたことを思い出したなぁ(笑)
あの頃あれば良かったが。


戦略論

2023年10月19日 | 本と雑誌

久しぶりの読書ログ。
マッキンゼー社は、僕にとっては初めて接した経営コンサル会社。
32年前、当時無知だった(今もそう変わらないが)僕には、初めて聞く言葉や分析法のオンパレードで、必死に勉強したことを思い出す。
そんなマッキンゼーが出した「ホッケースティック戦略」は、ここ十年で読んだ戦略本の中でもかなりのインパクトがあった。

正しく要約できているかどうかは自信がないが、
▶21世紀に入ってから、同じ市場に留まってシェアを伸ばして成長した会社は存在しない
▶大きく成長してる企業は、衰退・成熟市場に張ってる資源を成長市場に大胆に振り替えた
というようなことが語られている。
これが何を意味するか?
終身雇用制度が基本の日本企業は、柔軟・迅速な資源の張り替えに不向きで極めて不利ということか。
確かに、21世紀に入ってからの日本企業の停滞は事実だからなぁ。
でも僕は、この日本的な家族制度的な社風は嫌いではない。
無責任な評論家文化的な社風よりも遥かに人間らしくて良いと思うが。


微妙な雑誌

2023年09月19日 | 本と雑誌

郵便物にこんな雑誌が混じっていた。

送り主は会社。
今回初めて届いたモノなのだが、どうやら一定年齢以上の社員や退職者を対象としたモノのようだ。
記事のタイトルや文中に、やたら、「いきいき」とか「ハツラツ」と言った言葉が躍っているし、特集が「家庭菜園」ではないか(笑)
 ※ちなみに我が家には菜園スペースはないがw
OBの方々の地域活動等での活躍ぶりも掲載されており、それには頭が下がるが。
個人的には、会社には大変感謝しているし、一部の方々とは退職後もお付き合いしたいと思っているが、大層は地域や同窓会や趣味でのお付き合いがメインになりそうかな。
もちろん、SNS等でのバーチャルのお付き合いも継続したい。
まだまだ若いつもりでいるが、こういう雑誌が届くようになると、やはり寂しいものですね。


読書 備忘録

2023年09月09日 | 本と雑誌

ここのところ、仕事で大学や官庁と関係のあることをやっていて、いわゆる論文を書いたりチェックすることが多いので、こんな本を読んでみた。

どの学問体系にも共通する「論文の型」を紹介することを目指した本。
いろんなことを考え学ぶきっかけとなった、気がする。
▶︎実証的な科学とは何か。
 それは、この世の「見たり聞いたりできるもの」を観測して、「見たり聞いたりしない法則」を探求する試みです。
 そう考えるなら、対象とは、「見たり聞いたりするもの」です。
 難しい言葉でいえば、経験的に観測できるものです。
 では、主題とは何か。
 それは、個別の対象とは別の次元にある、普遍的な法則の探求です。
主題と対象、論文のテーマを考える際に迷ったり悩むポイントであり、ここを最初に理解することが重要なのだと再確認。
▶︎わかりやすくいうと、いくつかの方法methodを組み合わせて、一つのシステムにするのが方法論(調査設計)です。
方法論はレシピであると、「何かを作るための一連の手続きを記述したもの」と考えると分かりやすいと解説。
▶︎とっている推論が①演繹deductionか、②帰納inductionか、③アブダクションabductionを組み込んだ仮説演繹法か、といった話になります。
 ひたすら、実験結果を積み上げるのが帰納、法則を前提にして(信じて)検証するのが演繹、いちばん現実を説明できそうな仮説を設定するのがアブダクション、仮説を作りながら仮説検証をくりかえしていくのが仮説演繹法ということになるでしょうか?
マーケティング研究は、まさにアブダクションを組み込んだ仮説演繹法を使って行うことが求められている?
▶︎「全体を推し量りたいなら幕の内弁当がいいだろうし、変わった一品料理を楽しみたいなら寿司とかでしょう。」
 ここで、幕の内弁当に例えているのが、英語では「サーベイsurvey」にあたります。
 これは大きな集団、たとえば日本全体とか、一つの自治体住民とかの全体を統計的に推し量るために、調査対象のサンプルをまんべんなく集めてくるやり方です。
 それに対し、ここで「寿司や納豆」に例えているのが、事例研究case studyです。
 これは、それじたいが興味深い対象を調べます。
 「とても極端な事例」でもいいし、「とても平均的な事例」でもいいし、「極端な事例をいくつか調査して比較する」でもいい。
これも悩むポイントの一つですね。
何を明らかにしたいのか、自分ができる調査研究はどの範囲かを考えながら、決めていかないといけないんだけなぁ。


戦略的思考

2023年06月12日 | 本と雑誌

元国会議員の方がお亡くなりになった、とのニュースが流れていた。
〇〇のドンと呼ばれていた。
申し訳ないけど、もうそういう呼称が使われる世界ではいけないのでは。
あらゆる分野が国際化しているのだから。
以前読んだ本を備忘録として。

国際的な国家間関係を読み解くには、「価値の体系」「力の体系」「利益の体系」という3つの力の総合的な関係性から見る必要があると説いている。
民主主義対全体主義といったイデオロギーで見る「価値の体系」、国力の差という現実路線で見る「力の体系」、そしてエネルギーのやりとりという損得勘定で見る「利益の体系」、複眼的に見ないと国を誤ると主張している。
高坂正堯からの引用で、
▶各国家は力の体系であり、利益の体系であり、そして価値の体系である。
 したがって、国家間の関係はこの三つのレベルの関係がからみあった複雑な関係である。
 国家間の平和の問題を困難としているのは、それがこの三つのレベルの複合物だということなのである。
 しかし、昔から平和について論じるとき、人びとはその一つのレベルだけに目を注いてきた。
太平洋戦争は、肥大した「価値」の体系が「力」「利益」の体系を抑え、開戦に至った。
ウクライナ戦争もまた、一つの視点に偏ることで膠着しているのかもしれない。
早期解決を祈るばかり。


青春時代?

2023年04月18日 | 本と雑誌

僕達は時代や世代の影響を多分に受ける。
社会は、ちょっと大袈裟に言うと、上の世代と下の世代との覇権争い(?)を通じて進んでいくものかもしれないと思う。
「僕らの時代」とか「されど、われらが日々」といったコトバは、そういった世代の思いから発せられたものなのかもしれない。
僕が生まれた1960年の世代は、上に「学生運動」の激しい時代を生きた世代と下には「新人類」といった新しいタイプの世代との狭間にあって、正直あまり注目されることがなかった。
そんな僕が16歳から21歳の青春真っ只中の、1978年~1983年までを取り上げた本。

それが「黄金の世代」。
本当かよ?
主にエンタメ分野の事が書かれているが、読んだら、あの頃のことがまざまざと色付きで蘇ってきた。
目次を見るだけで、その時代を生きた人は、ビビッと来るだろう。
▶1978年
「ザ・ベストテン」黄金の6年の幕開け
ユーミン再始動、松任谷由実
村上春樹が小説を書いてみようと思った時
松本隆のゴールデンエイジは原田真二から始まった

ベストテン司会を引き受ける時、黒柳さんは「絶対にランキングに嘘をつかないこと」と注文を付けたそう。
番組の生命線を見抜く眼力がすごいですよね。
▶1979年
「魅せられて」「異邦人」シルクロードブーム
「銀河鉄道999」作家性と商業主義
「3年B組金八先生」
「戦国自衛隊」最強タイトルの青春群像劇
1980年
「TOKIO」東京が最もエキサイティングだった時代
「YMO」とは高橋幸宏のことである。
羽田へ舞い降りた松田聖子
女子大生ブームの扉を開けた宮崎美子
1981年
アニメ新世紀「機動戦士ガンダム」
大滝詠一と松本隆「A LONG VACATION」
萩本欽一、視聴率100%男
向田邦子「父の詫び状」
新しいクルマ文化「ホンダ・シティ」
▶1982年
松田聖子はB面がいい
チャコの海岸物語
インテリ芸人タモリ 紅白司会までたった8年
宮崎駿も降板、アニメ「NEMO」
▶1983年
クロスオーバーの象徴「戦場のメリークリスマス」
「ふぞろいの林檎」とサザンオールスターズ
ATGの「家族ゲーム」
原田知世「時をかける少女」

読んで懐かしい気持ちになると同時に、その黄金の時代に、地元山口で時代の空気を底辺ながら吸っていたなと思ったが、その空気を作る側の人間にはなれなかったな、と改めて思う。
思いっきり翻弄されていた自分がいたなと再確認。


読書 備忘録

2022年07月05日 | 本と雑誌

朝から雨予報が、時間の経過とともに後送りになり、結局夕方までは曇りの天気。
気温も30度ちょいで、過ごしやすく感じたのは、まだまだ順応性があるということか(笑)

記憶力は薄れるばかりなので、最近読んだ本を備忘録として。

有意差検定に関する本。
長年、疑問に思っていた事に対する答えの本だったかな。
統計に関する難解な部分は半分も理解できていないと思うが、この本が応えようとしている課題や問題については、何となく理解しているつもりなんですが・・・。
これまで、調査はよくやった。
特にサービス開発とか営業スタイルとか。
だいたいn=100~200位が多かったように思うが、自社:50%評価 競合他社:45%の評価といった差が出て、この調査結果に有意な差(統計的な差)があるのかという質問を受ける。
この調査結果を有意差検定にかけるが、n=100~200位のサンプルでは容易に有意差はつかない。
だからといって、この2つに差がないといって、開発とかスタイルを否定できるのか? 
あるいは、有意差が出たといって、この5%の差で、自社は競合に勝てると判断できるのか?という事を常々感じてきた。。。。
その問いにこの本は答えてくれている。
有意性検定は、そんなことには応えてくれない、と言い切ってくれている。
有意差検定はn数に依存するものなので、大量のn数を使って、有意差を出しても、その差が微々たるものであれば、決して競合に勝てるものではないということは明白。
「ドメイン知識を持った者が納得する基準点を作れ」とこの本では推奨している。

感覚だけでなく数値でその凄さやポテンシャルを示すというアメリカの考えは結構好きですしわかりやすいと思う。
“最先端のセイバーメトリクスが明らかにしたもの”というサブタイトルがついてい.る。
野球に関するビッグデータを駆使して、野球のチーム力や選手個々の力を客観的に示す指標が次々と考えられている。
セイバーメトリクスの「セイバー(saber)」は、「Society for American Baseball Research」の略語で、「アメリカ野球学会」という意味。
「メトリクス(metrics)」は、「指標・評価基準」という意味。
野球がデータを駆使して戦われるようになって久しいが、MLBで活用されている指標を解説し、日本のデータを使ってプロ野球の分析している。
この本を読んで感じた事は、データサイエンスを学ぶ人のための、教科書・参考書として非常に示唆に富んだ本になるのではないかという事。
そして、データサイエンス力というのは、決して単なる計算力ではないという事、指標やモデルを構築できる仮説力こそが、求められる力であるという事、それを学べる良書ではないでしょうか。

働き方改革、時短とか言われているが、本当によい仕事をするためのスキルや取り組み方、姿勢は昔も今も、あまり変わらないかなと指摘している本だと思う。
会社も「ジョブ型雇用」の時代に。
どの部署や会社に属していようと、一人ひとりの専門性や「らしさ」で活躍することができるということなんでしょうか。
▷「圧倒的な行動量がインプットの質を生む」  
 プロフェッショナルは3倍基準、「効率化」「時短」「働き方改革」だけでは、創意工夫もできなければ、人の心が動くような新しい意味や価値のある商品やサービスを生み出すことはできません。  
(プロフェッショナルは)ただただ夢中です。
「夢中でいる時間の量」がずば抜けています。
▷「神様が降りてくる瞬間を信じて、とことん追求する」  
 理想として設定したゴールイメージのスローモーションが生まれるためにはどうしたらいいか?を「とことん追求する」こと。
 それが「量」だと。
▷「「自腹でやる感覚」が、本気度と長続きする関係を引き出す」  
 お金の使い方に関しての基準があります。  
 それは、「自腹でも払いたいか?」「自腹でもやるか?」です。
▷「大切なものは目に見えない」  
 心で見るというのは、言葉ではなくて行動を想像すること、これからするであろうことを想像する。  
 そして、目の前にいる人と関係のある人の行動を想像することである。
▷「数字には意味を宿らせて伝える」  
 私は、数字に「意味づけをする」ことで、すべてが変わっていくと考えています。  「会社にとっての意味」「チームにとっての意味」「自分自身にとっての意味」の3つがセットになっていると、推進力がとても強くなっていく。
▷「記憶の中の、いつか見た、あの時のあのシーンに紐づける」  
 「共感」というのが、これからしばらくの間、マーケティングやクリエイティブの仕事におけるキーワードになります。  
 本質的なマーケティング活動、つまり、気づきや発見、出会いを生む出すことが求められてきています。  
 「データの先にある人の喜怒哀楽をイメージする」ことや、「いつか見た、あの時のあのシーンに紐づける」ことをすればするほど、アウトプットの中に、誰かの人生と何かが関係していることが直観されるような運命の出会いが増えていくように思います。

 

漫画の世界で終わりますように

2022年06月09日 | 本と雑誌

週刊漫画以外に、購入している漫画本が何冊かあるが、その一つである「空母いぶきGREAT GAME」の最新刊が発売されていたので購入。

内容が日本とロシアの話で、北海道が舞台になっている。
ウクライナ侵攻の前から始まっていたのですが、急に現実味を帯びてきて、ドキドキしながら読了。
また、実は昨日、お客様として元陸上自衛隊の大幹部の方とお会いしたことも、ドキドキの要因になったように思う。
漫画の世界で終わりますように。

もう一つドキドキネタを。
証券会社に書類を提出する際に、免許証等のコピーが必要になり、コンビニへ。
本来であれば家のプリンターでコピーできるのですが、機械が不調。
実は初めてコンビニのコピー機を使用。
最近はペーパーレスで、会社でもコピーなんかしたこともない。
じっくりマシンの使用説明書を読みながら実行。
一度誤操作(笑)
後ろのおばさんに無言のプレッシャーを受けながら、なんとか終了。
あ~、ドキドキした(笑)


デアゴスティーニ戦略

2022年06月03日 | 本と雑誌

本屋へ行く。
定期購読している漫画本を買いに。
本屋の中をブラブラするのは大好き。
模型、建築・家具、ファッション、時計、車、トレンドなどの雑誌をざっと立ち読み。
と、いつものコースを辿っていると、デアゴスティーニのコーナーに私が大好きなスターウォーズシリーズが・・・。
いつもの一部の部品が入っている組立モノかと思いきや、完成品のラインナップパターン。
創刊号は私がお気に入りのモノ。
初回限定価格で安い、当然衝動買い。

これ以外は買わないぞと、心の中で叫びながら(笑)
帰宅して開封の儀を行う。
▶マイコレクションに仲間入り
このスターウォーズシリーズの予告を見ると、あと2冊くらいは欲しいモノがあったが、なんとか我慢できそうだと安心していたら・・・複数号を買うと、その応募券で貰えるモノがレアでお気にではないか・・・。
上手いよなぁ。

でも引っかからないぞ(笑)


空気

2022年05月17日 | 本と雑誌

マスク着用の条件緩和発言で、様々な意見が飛び交っている。
確かに例の医師会の方の発言だったので、個人的には変な邪推をしてしまう。
ただ現実的には、電車乗ったら全員マスクをされてるし、ノーマスクだと視線で殴られそうな空気が流れている。
夜のほとんど誰とも会わないウォーキング中でも、たま〜に会うと、すれ違うざまに何やら「ブツブツ・・・」と言われる、特に年配の方。
ただ、渋谷などの若い方が多いエリアは最近行っていないのでよくわからないが。
このマスクに限らず、「法律」「制度」じゃなくて「空気」が一番エラい国が日本なのでは。
アメリカやヨーロッパは法治、中国は人治、日本は空気って感じ。
この「空気」を理解し抑え自分の流れに持っていくのが難しい。
山本七平さんの本を思い出す。


読書 備忘録

2022年02月20日 | 本と雑誌

北京オリンピックが閉幕。
ジャンプ、フィギュア、スピードスケート、スノーボード、カーリングなど多くの種目の勝者から元気をもらった。
また逆に、敗者(失礼な呼び方でごめんなさい)からはチャレンジ精神を、ドラマを。
 ※「成し遂げることは出来なかったが、やり遂げることは出来た」小平選手、名言だなぁ。
スポーツの国際大会では、毎回日本人選手や放送関係者の所作が、世界に良いイメージをもたらす。
素晴らしい。
ただ、政治が絡むとロクなことがない。
スポーツ界だけではないですが。

最近読んだ本を備忘録として。
▶5000日後の世界
インタビューをベースにしたもの。
講演録みたいでとても読みやすくわかりやすい。
シンプルにまとまっているし、今現在読んでおいて損しない本です。
すべてのものがAI(人工知能) と接続され、デジタルと溶け合う世界で生まれるAR(拡張現実) の世界「ミラーワールド」
これから作られるAIもそれぞれが単機能なものになるでしょう。
「テクノロジーは良い面が 51%で悪い面が 49%」
はとても納得できる考え方。
▶観光立国の正体
同窓会関係やG3の仕事で、地方自治体の方と話す機会が増えたこともあり、手に取ってみた。
”地方政府”という言葉、社会科の授業で聞いたかなぁ、地方の政府ね、と分かったような気持ちになっていた。
さて、地方政府ってどこになるのか? 
国には国会があり、内閣があって、まあ政府と言ったら内閣と官僚のいる各省庁かな、とか漠然に想像できるが、地方政府って?
市町村には首長がいて、議会はある。
じゃあ、内閣みたいなのはないなあ?
役場や役所の人たちが、地方の官僚ということ?
だから、役場や役所が地方政府??
正直、政府って感じはしない。
考えてみると、なかなか難しい。
地方政府が必要とされるのは、この”存在意味”を創り出すことにあるのかもしれない。
政府と名乗るためには、頭脳や企画実行力の強化が喫緊の課題ではないだろうか?
それにしても、我々は、日本国民であり、○○県民であり、▽▽市町村民でもある。
それぞれにどう関わっていくかも、実は難しい問題かもしれない。
▶無理ゲー社会

地球温暖化や人工知能の問題など、科学や技術がもらたす課題として「リスク社会」が語られる事が多いが、若者世代からすると、自分たちのこれからの人生に立ちはだかる壁や不安こそがリスクなのだと思う。
この『無理ゲー社会』はそんな視点で書かれていると感じた。
わたしたちはいつのまにか、「どんなに嫌でも生きてしまう」未知の世界に放り込まれたのだ。
いまの若者たちは、1世紀を超える人生を生きなければならないという途方もない難題を背負わされている。
これこそが、若者がうすうす感じているリスク/不安の正体ではないか?


成功するって、やっぱり大変

2021年05月22日 | 本と雑誌

曇り空の東京。
かほままが体調を崩したので、久しぶりに洗濯など。
長女はバイトだったが、二女・三女がヘルプしてくれた。
早く体調が戻ってくれると良いが。

昨日に続き、読んだ本の備忘録。
▶BLITZ SCALING
GAFAを例に出すまでもなく、いまやスタートアップに成功しても一気にスケールアップして世界市場を捉まえないと将来はあやうい。
それを実現する考え方が、リスクやコストの増大と引き換えに電光石火の成長を実現することだと本書は主張している。
膨大な成果を出すには、市場に素早く参入することが重要な戦略となるということである。
つまり、現代における成功は、スタートアップの成功×ブリッツスケーリングの成功の掛け算の結果となり、限りなく困難で難しいことになっている。
成功のポイントを7つが挙げられている。
➀モノではなくビットが重要  
 商品であれサービスであれ、モノよりもビット(ソフトウェア)がキーとなる。
➁プラットフォーム  
プラットフォームがデファクトスタンダードを作り、圧倒的なネットワーク効果を生む。
➂フリーミアムモデル  
「無料」はディストリビューションとバイラル性(口コミ)を促進するツールとなる。
④マーケットプレイス  
オンラインのマーケットプレイスには制約がなく、グローバルである。
⑤サブスクリプション  
インターネット配信の効率性がサブスクリプションモデルを成功に導く。
⑥デジタルグッズ販売  
収益性と拡張性を兼ね備えたビジネスモデル。「例:スタンプ」
➆フィード  
ニュースフィードはユーザーエンゲージメントを促進する。
ビジネス・イノベーションを支える法則
根本的な法則➀ ムーアの法則 テクノロジーの進化を先読みする必要性
根本的な法則➁ 自動化する オートメーションなくしてブリッツスケーリングは難しい。
根本的な法則➂ 最適化ではなく適応に重点を置く 変化する環境を前提に動く。
根本的な法則④ 反逆的思考をもつ 人が行かない道を行く。
マネジメントのイノベーション
キーポイント➀ 小さなチームから大きなチームへ 
キーポイント➁ ゼネラリストからスペシャリストへ 
キーポイント➂ 担当者からマネージャー、そして幹部へ 
キーポイント④ 対話型から放送型へ
キーポイント⑤ データに対するインスピレーション
キーポイント⑥ シングルフォーカスからマルチスレッドへ
キーポイント➆ 海賊から海軍へ 攻め一本やりから、攻めと守りの両方へ。
キーポイント➇ 自分自身をスケーリングする――創業者からリーダーへ

読後感としては、成功するのも本当に大変だな~(笑)