水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (20)世の中

2021年12月26日 00時00分00秒 | #小説

 世の中には明るい出来事から暗い出来事まで、いろいろと起きている。隣の家でチィ~ンと小鉦(こがね)が叩(たた)かれ、誰ぞがお亡(な)くなりになっていたかと思えば、そのまた隣の家ではオギャ~オギャ~と赤ん坊がお生まれになっていたりして、暗い出来事と明るい出来事が混存する・・それが私達が暮らす人間世界なのである。^^ 禍福(かふく)は糾(あざな)える縄(なわ)のごとし・・とは、上手(うま)く言ったものだ。
 とある街はずれである。二人の男が立ち話をしている。
「ええっ! 一億円の宝くじが当たって外国旅行に行かれたって聞いたぞ…」
「明るい話だったんだがなっ! だが、そのあとがいけない。行かれたのはいいが、交通事故だっ!」
「暗転だなっ! それでっ!?」
「幸い、処置が早かったそうで大事には至らなかったというんだが…」
「最悪だっ!」
「いや、それがそうでもないようなんだ」
「どういうことっ!?」
「事故に合われず、予定通りの旅をされたとすりゃ、帰りに飛行機事故だっ!」
「一巻の終わりか…」
「そういうこったなっ!」
 このように、私達の暮らす世の中は、明暗が入り混じる訳である。^^

                   完


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