水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (22)未来

2021年12月28日 00時00分00秒 | #小説

 未来が明るいか暗いかは、私達の今の発想にかかっている。地球を汚してもなんとも思わない人々が増えれば、未来は暗くなるだろうし、なんとかせねばっ! と奮起する人々が増えれば明るい未来になることは明々白々である。にもかかわらず、人々は事なかれ主義で、その日がいい暮らしならいい…という人達が増えている現実は嘆かわしいという他はない。夢のパラダイスのような未来が誰だっていいに決まっているのだが…。困ったことに少しも実行されない。
 大衆食堂である。食べ終えた二人の男がテレビを観ながら話している。
「ウイルスの特効薬か…」
「研究してる人は研究してるんだなっ! スタッフの数が少ないそうだっ!」
「そういや、カニ? いや、カニじゃない。エビなんとか言ってたが、独立行政法人が待った! かけたそうだぜっ」
「ははは…あの人達はコロナじゃ死なないんだろっ!」
「だなっ! 悠長な話だっ! イギリスじゃ、感染力が強いコロナの変異種が発生したとかで偉い騒ぎだそうだぜっ!」
「らしいなっ! このままだと、未来は暗いなっ!」
「ああ…。一つ、なんとかしよう!」
「お前がっ?」
「ああ、俺がっ!」
「ははは…一つ、頼むよっ!」
 二人は席を立つと勘定を済ませ、外へ出た。
 人類が全力を傾注(けいちゅう)し、未来が明るい社会になることを祈りたい。飽くまでも希望的観測です。^^

 ※ 眠れ弟子…じゃないレムなんとかは承認されているようですが、それも配布数に限りがあるようです。

                   完


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